登場人物を誰も置いてけぼりにしない、涙の第8話/ドラマ『西園寺さんは家事をしない』
私の中で、登場人物たちの株が爆上がりである。
(以下、ドラマの内容を一部含みます)
最初は「きゃー、ルカ可愛い」「西園寺さん、バババーッ」「ツダケン善良!」「楠見くん、稔さん、稔さん、稔さん」などと軽い気持ちで視聴していたが、毎回家族のあり方や、自分らしく生きていく手段について自問自答させられる。メンタルが強くないので、こうしたコメディの中にさりげなく真意があるものが好き。だから、他局だがクドカンのドラマにも惹かれるのだと思う。
楠見への気持ちを封印して、横井とつき合うことを真剣に考えはじめた西園寺さん。でも楠見親子とも離れたくない。自己中心的と言われても仕方ないけど、そこはちゃんと突っ込む友だちがいる。さすがの野呂ちゃんと塚本くんポジション。
横井は「仮」が取れて、正式に西園寺さんと付き合うことになる。一方、ざわざわした気持ちに悩む楠見は、横井から伝授された「ノールック西園寺」を実行。これって、西園寺さんがやっていた「ノールック楠見」と同じじゃん(笑)。
西園寺さんは西園寺さんで、エリサの登場によって「もし楠見にそういう人ができたら? アメリカに戻ってしまったら?」とようやく気づく鈍感ぶりを発揮。横井に向き合おうとすればするほど、楠見へのモヤモヤが募る。なんでもバババッとやれるのに、こういうところで不器用さが前面に出てくるのは楠見と同じ。似た者同士なのだ。
聖人・横井のおかげでなんとか成立している4人での偽家族。ツダケンさんが、かつてこんなに善人を演じたことがあっただろうか。売れっ子・横井の車が実は某軽自動車だったあたりから、一気に親近感が湧いた。ずっと前から西園寺さんのことが好きだった彼は、彼女の気持ちが手に取るように分かってしまい、なんとも切ない。花火観賞のお誘いもいじらしかった。もっとうなぎパイ、食べな! 西園寺さんとルカを楽しませるためにがんばった彼に、どうか幸あれ。って、もうフラれる前提で言ってるけど。いや、この流れだと史上最高の“当て馬”になる予感しかない。それはアリ寄りのアリ! 私の中の堀井しのぶが、そう言っている。
ところで、颯爽と現われたエリサは、西園寺さんに近づいたのもレスQの仕事を請けたのも、楠見の妻・瑠衣のためだったように思う。西園寺さんと楠見、ふたりの偽家族としての信頼に少し嫉妬もあっただろうし、友だちとして楠見親子を応援したい気持ちもあっただろう。台風の目になるのか?という匂わせ登場だったが、とても大人で友だち思い。旧友に再会できた嬉しさと背中を押すときが来た寂しさとが、両方駆け巡ったエリサ。こちらも切なかった。
彼女が瑠衣から渡された数式の問題は、楠見が先へ進むためのもの。序盤に触れる程度だと思っていた瑠衣について、出会いから結婚、最期に託した楠見への思いまでしっかり描かれ、この物語の「家族」に対する特別なものを感じる。彼女は置いてけぼりをくらうことなく、これからもずっと楠見とルカの中で生き続ける。最愛の人を失った過去もひっくるめて、今の楠見であることが伝わってくる。それが第8話のラストに溢れていた。
数式を解くことで瑠衣の愛情に改めて触れた楠見は、自分の気持ちを必死にことばにしようとするのにうまく言えない。居なくなってもなお瑠衣が自分を思ってくれていること、先へ進むよう促していること、そこに瑠衣が居ないこと、そのことをどうしても西園寺さんに話したいと思ってしまうこと。恋愛感情なのか、家族愛なのか……。それを大きく飛び越えた何か。混乱し、無防備に泣きじゃくる彼に釘づけ。仕事はできるのに、数式もいくらでも解けるのに、自分のことになるととんでもなく不器用な楠見くん。そんな彼を、偽家族としてがっつり受け止める西園寺さんがかっこ良すぎて、私が惚れそうだ。
お願いだから、みんな幸せになってくれ。好きなドラマの登場人物は幸せになってほしいもの。亨は舞ちゃんにフラれて爆笑したけどさ(それは新宿歌舞伎町の話)。
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今月は、帰省などを含めていろいろメンタルがやられていたため、このドラマと聖まごころ病院と、ズレまくる一香軒の店主(公式で売っている店主のアクスタキーホルダー、持ってたら生きていけそうな気がする 笑)には、特に助けられている。ありがとう、エンタメ。そういえば、今夜から中村倫也さんのドラマも始まるんだった。もうちょっとがんばる。
わが家の周辺で台風被害はなかったが、かなりの雨が降った。雨台風が来てからは、気温30度前後と涼しい。しかし、今日からまた最高気温35度という予報。いつになったらこの暑さから解放されるのやら。まだまだ、エアコンに扇風機&保冷剤併用で過ごす日々が続きそうだ。
雨雲に覆われているエリアの皆さまも、どうぞお気をつけて。