運命が動き出した第5話/日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』
ついに、いづみの正体が明かされた。
(以下、そのことについて触れています)
1958年の端島。彼らの運命が一気に動き出した。動き出したというより、歯車が狂い出したと言った方が良さそうだ。
ふたりは結ばれないということなのか?
彼は、現代にいないということなのか?
進平とリナの刹那的な恋が、玲央と地続きということなのか?
第1話の冒頭。1965年、赤子と小舟で島を脱出するリナを思い出す。確かあのとき、血にまみれていた。間違いなく何か良からぬことが起きている。「ああ、もしや進にぃは……」といろいろなことを想像してしまう。なにしろ、ここ数話は斎藤工さんが演じる進平から目が離せない。子どもの頃はお喋りだった彼が、戦争から帰って来たら別人のようになっていた。長男を戦地で亡くした荒木家は、次男の進平が父と同じ道を歩んでいる。おそらく生きて帰って来たことの意味を見出せずにいたところで、栄子に出会ったのではないだろうか。その栄子も失い、人生をずっと彷徨っている進平。そんな彼を前に、自分が愛した男は死んじゃうからと、本心を隠しつつ笑うリナ。似た者同士のふたりが魅かれあうのに、そう時間はかからない。ずっと妻の死を受け入れられずにいた進平が、リナの前では栄子が死んだこと認めている。彼なりのケジメだったのかもしれない。
戦地での経験、命がけの炭鉱夫であること、妻を亡くしたこと。「自分はいつ死んでもいい」という気持ちが燻っているようにも見える進平。彼には、ずっと負の空気がまとわりついている。それがまた色気につながっていて、もう斎藤工さんバンザイ!な気分である。池田エライザちゃんとふたり、実に退廃的な美しさの大人のラブストーリーが成立していて、正直、自分の中で鉄平の存在が完全に薄まっていた(笑)。しかも進平とリナが秘密を共有することになる終盤のシーンでは、迷いなく拳銃の引き金をひける進平の戦争経験を想像し、また栄子の死から遺体は上がらないことを語る彼に、涙が止まらなかった。
ところが最後の最後にいづみの正体が明かされ、彼女が朝子だと判明すると、たちまち「え? じゃあ、今いい感じになっている鉄平と朝子は結ばれないということなのか?」と、再び鉄平の存在が気になって仕方ない。もしかして彼は、早い段階でもうこの世にいないということになるのだろうか。60年経っても、朝子は鉄平の日記を大切に持っている。日記を持っているということは、そういう間柄になったということだろうか。どういうことなの?
また、これはずっと考えていることだが、被曝している百合子の今後はどうなるのか。彼女の朝子への態度の理由を知る鉄平と賢将のやさしさ、何も知らない朝子に、あんな態度を取ることで折り合いをつけてきた百合子の人間性。強い意志を持って生きているように見える百合子が、体験者でなければ分かり合えないであろう孤独と恐怖を抱え、この後どう生きるのかはとても気になっている。幼なじみの彼らの愛と青春の物語は、やがて閉山へと向かう端島と同じような運命を辿るのか。 幸せが訪れてほしいのに、考えれば考えるほど情緒不安定になるのをどうにかしたい!
公式サイトのあらすじを読むと、今夜の第6話では少し時間が経過している模様。鉄平と朝子の関係も気になるし、閉山への流れが加速していくのか、もしかして重要な回になるのでは?とも思える。大河ドラマから日曜劇場と、日曜日の夜はとにかく気持ちが忙しい。ずっとドラマを観ていたい。明日仕事休みたい。月曜来ないでほしい!