見出し画像

書店パトロール47 『まちの本屋』には全てがあった。と、今更ながらに思う。

久方ぶりのパトロール。何かいい本はないかしら。

と、まずは松本人志の名前が。

このタイミングでこういう本が出るんだなぁ、と思いながら。1,320円。うーん、比較的安いなぁ。と思い、暇つぶしに買おうかな、と思っているが止める。

本、というものは、基本的には、やはり、読む前が一番面白いのであって、つまりは、その存在を識り、どうやら、このようなことが書いてあるらしい……と、識り、その本を手に入れようか迷うその瞬間が、一番面白い。つまり、なんでも、手に入れてしまえば面白さはなくなるものなのだ。

松本人志、と言えば、私は結構『大日本人』は好きな映画で、『しんぼる』、『さや侍』、『R100』は駄作だと思っている。『大日本人』だけは、映画的な匂いがした。

その横には、水道橋博士の新刊が置かれている。

お笑い芸人の本、それは、著者の場合、評論される側の場合、と大別されるが、まぁ、私は結構好きで、たまに読んでいる。けれど、やはりお金がかかるので、節約しているわけだが、書店をパトロールしていると、どうしても面白そうな本が目につき、財布が痛むので、最近では本の値段当てゲームに終始している。

然し、欲しくなる危険性もあるため、その場を離れると、突然、パトローラーの私には恐ろしいタイトルが目に入ってくる。

書店員は見た!怖い話だ。私はいつもパトロールしている。パトロールがメインなので、あまり買わないが(ちゃんと買うときもある)、書店員から見れば、きっと買いもしないでウロウロする糞野郎だと思われているに違いない。糞、そして野郎。冷静に考えれば、悪口の最上級に当たる言葉だ。まぁ、糞、それは、生きていく上で欠かせないものであり、実は生命の根源に関わるものでもあるのだがー。

先日のパトロールの折、私は、2028年に書店が街から消える、という、激震が走るようなタイトルの本を見つけたが、ここにもまた、一冊。

書店は危機である。つまりは、紙の本が売れていないのである。
私だって、なるべく書店で本を買いたい、そう思っている。だが、然し、恐らく、まぁ、シブチンの私ですら、書店界隈にはいいお客さんなのかもしれない。本に見向きもしない人も大勢いるのだから。

さて、そうして歩いていると、映画本のコーナーにたどり着く。美術、映画、文藝、このコーナーが私の鉄板コースだが、やはりそれらのジャンルの新刊、というものは気になるものだ。

こういう、映画館にまつわる本は好きである。ミニシアターにまつわる本は特に好きで、お金が無限にあり、時間が無限にあるのであれば読もうという気分になるのだが、生憎私は貧乏人。なので、よほどこれは!とならない限り、涙がちょちょ切れる思いで棚に戻す。
然し、この尼崎の塚口サンサン劇場。今度言ってみようかなぁ。尼崎と言えばタウンタウン。松本人志。全ては繋がっている。のか?

ホームページを観ていると、『まちの本屋』なるドキュメンタリー映画のポスターが目に入る。

尼崎の書店を描いたドキュメンタリー映画のようだが、地元の映画を地元の映画館で上映する。これは大切なことである。私に取り、いくらもすごい本屋さんとは出会ってきた。大型書店のラインナップ、ネット書店の便利さ、それらに町の書店が叶うはずはない。然し、いつだって、誰だって、町の書店が先生であったことは疑いようのないことのはずだ。
私はこの映画を観に行こうと誓う。誓うが、時間が合わない場合は諦めよう。

さて、フィルムアート社からはこんな本が。

私の好きな出版社ベスト3に入るフィルムアート社。
名前が良い。やはり、社名、というのは、ある種、パブリッシュしている物の血族であるから、瀟洒な名前の出版社は、瀟洒な本、美しい本、充実した本を出しているものなのだ。
私は常日頃から、高い〜高い〜、と本に対して思っているが、その出来の良さが価格を上回る志があれば話は別だ。1万だろうが2万だろうが、はたまた10万だろうが、安い!と言えるだろう。高い!と思わせるのは、中身が伴っていないからである。

この本は結局買わなかったが、もう1冊、フィルムアート社の本で気になるのはこちら。

漫画と同人誌の40年。この本には、『ぱふ』のことが多く掲載されていたが、ぱふ、とは亀仙人のぱふぱふではなく、漫画情報誌の『ぱふ』のことである。
多くの読者からのハガキが掲載されていた、ある種異様な魔界の如しもう休刊した雑誌である。
私は、『ファンロード』とか、『ぱふ』とか、『活字倶楽部』とか、『電撃プレイステーション』とか、ああいう、雑誌が大好きなのである。無論、そんなものは、まちの本屋さんには置いていないものである(あっても1冊だ。電プレはあるか)。もしくは、縛られていて読むことが出来ない。この本も欲しいと思えたが、値段が2,200円する。今日ではない!とアラゴルンの声が脳内を谺する。王の言葉だから致し方なし。私は、脳内アラゴルンに、今日なのか?今日ではないか?とよく尋ねる。すると、大抵脳内アラゴルンは、今日ではない!と言うので、買わない、というパターンが多いのである。偶には、今日である!と言って欲しいものだが、それなら林修先生に頼んだ方がよさそうだなぁ。

その後、文学コーナーでは芥川龍之介の写真集を発見。

パラパラと見る。文豪の写真集ってなんでこうも人を惹きつけるのだろーか。まぁ、多分、モノクロームであり、そして、枚数が少ないからかもしれぬな、と思いながら、然し、私は芥川龍之介は全然好きでもないので、棚に戻す。
最後、美術コーナーで見つけたお魚の本に目を奪われる。

毛利梅園が手掛けた(無論、この本で初めて識る)魚の図譜である。ああ、魚って綺麗な色してるし、静かだし、いいなぁ。いいなぁ。お鮨が食べたいなぁ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?