【ショートショート】ちょっと待ったー!!
最愛の真由美との結婚式。
純白のドレスに身を包み、ヴァージンロードを歩く真由美は本当に綺麗だった。
真由美とは、友人を介した食事会で出会った。
ほとんどお酒も飲めない純粋な真由美に一目惚れして、僕達は付き合うことになった。
そして、晴れて、結婚式という今日の日を迎えた。
真由美のベールをめくり、誓いのキスをしようとする。
そのときだった。
「ちょっと待ったー!!」
大きな声と同時に、チャペルの扉が開いた。
そこには、1人の男が立っていた。
「真由美!おれとやり直してくれ!」
男は手を伸ばし、真由美に向かって言った。
僕はその男を見たことがあった。
若手イケメン俳優の桂木幹久だった。
まさかの芸能人の登場に、式場はザワついていた。
そのときだった。
「ちょっと待ったー!!」
チャペルの扉に新たな男が現れた。
「真由美!おれとやり直してくれ!」
Jリーガーの長谷川貴彦だった。
まさかのスポーツ選手の登場に、式場はザワついていた。
そのときだった。
「ちょっと待ったー!!」
チャペルの扉に新たな男が現れた。
「真由美!おれとやり直してくれ!」
プロ格闘家の相田誠司だった。
まさかの格闘家の登場に、式場はザワついていた。
そのときだった。
「チョット、マッター!!」
チャペルの扉に新たな男が現れた。
「マユミ!オレトヤリナオシテクレ!」
アメリカのロックスター、マイケル・ホーランドだった。
まさかの世界的アーティストの登場に、式場はザワついていた。
それからも、
「ちょっと待ったー!!」
歌舞伎役者の市川夢蔵。
「ちょっと待ったー!!」
I T青年実業家の黒木隆一。
「ちょっと待ったー!!」
キャンドルアーティストのキャンドル・ケン。
気がつけば、とんでもない人数の男が、真由美に向かって手を差し伸べている。
真由美…あれは嘘だったの?
僕に言っていたじゃないか。
「西麻布で遊んだことなんてない」って。