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【卒制】冬のインターンで芽吹いた恋『燻し銀の花』0~5章まで追加更新

☝️0~5章の途中までは こちらから

🌸燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ――


5章 三角形の紙・女王様ペンギン・就職活動の鬼門


 株式会社テトラード。

 スーパーマーケットの運営をしている会社だ。ボクが就職先にここを選んだのは、高校三年生からずっと、近所のスーパーでアルバイトをしてきたからだった。

 冬のインターンシップで、たまたま可愛い女性と隣だった。

 彼女は三角形の紙に「早川」と丸文字で書いていた。名前までは覚えていなかった。彼女の名前は何というのか気になったときに一瞬だけ見た。だけど、すぐに彼女が片付けた。

 だから「早川さん」としか呼ぶことができなかった。

 名前の右上に書いてある大学名が「日本大学」だった。どうやらボクの自己紹介は早川のハートを射抜いたらしい。

 彼女もボクと同じ日本大学の在学生だった。ただ、違う学部だった。彼女は「生物資源科学部です」と恥ずかしそうに言っていた。自分の学部に後ろめたい何かを感じているようだった。

「日本大学、芸術学部、文芸学科の城谷創懐です。あ、早川さんと同じ日大ですね」

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