Momotaro ロマンス〜桃のパルフェ〜|#白4企画
白鉛筆様のnoteを拝読。
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Momotaro ロマンス
〜桃のパルフェ〜
それは気分転換に、ひとりで白桃のパルフェを食べようとしていた日のことだった。
柄の長い、先が割れたシルバーのスプーンで、皮をつるりと剥いた白桃を刺したとき、ポン!とクラッカーに似た破裂音がして、細い金色の光の筋がいくつも流れた。
私はその幻に目をぱちくりさせて、まじまじとパルフェのグラスを覗き込んだ。・・・何も、変わったことはない。
然し・・・
目を上げて、
真正面の、
空いているはずの
椅子を見てみたら。
―――そこには、見目麗しい黒髪の美青年が、こちらを見て座っていた・・・。
キラキラ光った星が見えそうな、涼しげな瞳。彼は流れ落ちる前髪をさらりとかき上げて、白いシャツの衿もとを、きゅっとつまんで整えた。
「貴方は・・・誰??」
「Je suis Momotaro.(僕は桃太郎です)」
・・・モモタロウ、というのだけ分かった。
「モモタロウ!?」
「Oui, ils le sont.(はい、そうです)」
言葉が全然意味不明だ。
スプーンを手にしたまま、呆然と眺めていると、彼はにこりと笑ってパルフェを手のひらで指し示した。
「Prenez votre temps.(どうぞ、ゆっくり召し上がって下さい)・・・」
パルフェを指し示されたのは良いとして。
途中何を話しかけて良いか分からず、どぎまぎとなった私はかなり居心地が悪かった。
片肘をついた彼に黙って見つめられながら、パルフェの味さえあやふやになっていたけれども、ようやくすべてを食べ終わった。
すると、彼はスプーンを置いた私の右手を取って、両手でそれを包み込み、手のひらに彼の唇をゆっくりと押し付けた。
(―――え!?ちょ、ちょっと・・)
私は突然のことに声も出なかった。
彼はそんな私の狼狽を気にかけず、テーブルの上で手をつないだまま、もう片方の手で髪をかき上げ、にこりと笑った。
「・・・これで、貴女の言葉が話せるようになった・・・
―――これから、貴女を守っていきます」
日本語を話し始めた彼は、さらに美しさを増したように感じた。
守る、なんて言われた私の目は、きっとハート型になっていただろう。
彼はおもむろに椅子から立ち上がって、私に軽く目礼をし、そのまま店を出て行こうとした。
何人かの女性が、彼の美しさに喋るのをやめて、テーブルの間をすり抜けるのを釘付けで見ていた。
「・・・一体、何なの・・・?」
店のドアに取り付けられたチャイムを鳴らして、背筋の伸びた彼の背中が立ち去るのを見送ったあと、私はようやく声に出してつぶやいた。
彼ひとりが居なくなっただけで、店の中ががらんと空いてしまった気がした。
狐につままれたような気分が続いていたが、翌日は月曜日で、これからの1週間のために切り替えて気を引き締めないといけなかった。
出社後すぐ、全社員が並んで社長訓示を拝聴したあと、業務連絡として、人事部長が人を率いて前に出た。
(・・・モモタロウ!?)
人事部長の横には、身体に綺麗に合ったスーツを着て、黒縁の眼鏡をかけた彼が居た。
彼は鼻にかかる眼鏡のブリッジの部分を上げ、位置を整えた。
穴が空くほど私が彼を見ていると、目が合って、彼は私に小さく微笑んだ。
はい、このモモタロウのお話は、一旦切りの良いところで区切りといたします。
明日この続きを書いていきたいと存じます😊
ちなみに、この企画では、以下のことを述べておられました。
↓ ↓ ↓
お言葉に甘えて、お話を分割させて頂きます😌
このあと、終活フェスティバルに登壇しまーす😊🌿
よろしければ見て下さいませ!
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また、次の記事でお会いしましょう!
🌟Iam a little noter.🌟
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