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アラームの音♪~親子のひとこま|エッセイ


静養のためベッドに休んで微睡まどろんでいたら、突然携帯のアラームが鳴り出した。


(………?)


目覚めて不審に思いながら携帯を取り上げて、アラームの表示を見て、昨夜の出来事を思い出した。



ーーー


【9:00 一度鳴らす|家事】



ーーー


note中毒になって携帯ばかり見ている私は、昨晩息子から膝詰めで2時間くらい説教を受けたのだった。



「1日のタイムスケジュールをちゃんと組みなさい!


…ほら、携帯貸して!!


いつ、何をするの?」


と取り決めをさせられたのだ。



【9:00 一度鳴らす|家事】



【11:00 一度鳴らす|昼ご飯の準備】



【13:00 一度鳴らす|買い物】



【16:00 一度鳴らす|散歩】



【18:00 一度鳴らす|晩ご飯の準備】



【21:00 一度鳴らす|お風呂】

アラーム表示



そこには、自分たち家族を省みて欲しい息子の気持ちが表れていた。


14才になって、私より背が高くなった息子は、精神的にも大人びて、まるで軽く束縛する恋人みたいだ。


「…まあ、ひとつずつで良いから。

出来ることから」





息子がポチポチ打つ様子を見ながら、


「ーーアラームの音、それぞれ変えてくれる?メリハリが出るから」


とお願いすると、


「そういうふざけるところが良くない!!!!


あとで自分で変えて!!」


とまた大目玉を喰らったのだった。




はい、ごめんなさい。


産まれたときから君にはお世話かけてます。


不肖の母ですが、死ぬまで見捨てないで、ね。


 



―――それから。


2、3時間おきに、軽やかなアラーム音が携帯から流れた。



私はそのたびに音を止めながら、
息子がもっと小さな子どもに戻って、


「お母さん、起きてよ」

「お母さん、買い物行った?」

「お母さん、ごはん作って」


と、可愛い声で話しかけられているような気がした。


―――心が温かくなった。



―――



夕方頃、ドアが開いて息子が部屋に入って来た。


「お母さん、飲むものある?」

「あるよ。大丈夫」

「咳止めの薬持って来る?」

「うん……まあ、大丈夫」


気遣きづかわしく訊いてくれる息子に、
いつの間に、こんな頼りになる存在になってくれたのだろうと
今度は嬉しくなった。


有難うね。
小さな赤ちゃんの頃、
熱性けいれんで周囲の市民病院には
すべてお世話になった息子。


救急車で運ばれた息子は、こんなに
優しい青年に、なってくれたんだね。



布団を引き寄せながら、


( 風邪が治ったら、大好物のオムライスを作るからね。 )


と、安らかな気持ちでまた、休むことにした。



✢✢✢


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また、明日の誕生花でお会いしましょう!


🌟I am little noter.🌟



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