水槽の彼女〜カバー小説【1】〈YouTube追加版〉|#しめじ様
しめじ様のこちらのnoteを拝読。
小説の続きを募集されていたので、
そのようなカバーをさせて頂きます🙇
(後半部分引用しますが、
是非記事を
ご一読下さいませ🥀)
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【続き】
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部屋を勢いよく出て廊下を走ったものの、行くあては何もなかった。
だけどざわめき立った心が収まらず、取り敢えずロビーまで向かうことにした。
夕食時間が終わりかけたホテルのロビーは、案外人が多く行き交っていた。
(フロントで、何か情報を得ることは出来ないだろうか・・・?)
頭がめまぐるしく回り始める。
―――知り合いのふりをするとか、
忘れ物があったとか・・・
いや無理だ、こんなホテルで個人情報なんて出すはずがない。
すると、そのとき―――
信じられないことに、抱き枕サイズの魚のぬいぐるみを抱えた小さな女の子が、ロビーフロアの奥から僕の前を小走りで通り過ぎた。
「・・・・・?!」
(あれは、先刻の・・・)
レストランにいた、ふたりの女の子の小さいほうだ。
呆然と、小さな女の子が背中越しの魚とともに、自動ドアを開けてホテルの外へ出るのを見送ってしまった。
・・・そして・・・
洗い髪の香りがしたかと思うと、「ママ」と呼ばれたほうの女の子が、ゆっくり僕のすぐ前を横切って、立ち去りかけるのが目に入った。
Tシャツを長くしたような、白いカットソーワンピース。ざっくりしたニットのカーディガンを羽織って、足はハイカットのスニーカーを履いていた。
「―――あ、君!!待って」
僕は思わず声を掛けた。
振り返った彼女の顔は化粧っ気がなく、その分こちらを見つめる瞳の勁さが際立っていた。
黒い瞳・・・というより寧ろ、蒼みがかって見えるくらい、深く暗い瞳の色をしていた。
彼女は僕を初めて見るような表情で、冷ややかな雰囲気を漂わせていた。
「いやあの、・・・君たち・・・」
僕は口ごもった。
「―――何か、困ったことがあるんじゃないかと思って」
我ながら、莫迦げた質問の仕方だったと思う。咄嗟に訊くには、それが限界だった。
振り返った態勢のまま、彼女はじっと僕の言葉を聞いていた。
でもそれ以上何も言わないことが分かると、一言も発しないで・・・
また、泳ぐように、ホテルから出て行った。
彼女の深い瞳。
若い娘らしからぬ、絶望の闇が宿ってはいなかっただろうか?
底無しの沼。もしくは虚ろな崩壊星【collapsar】※・・・
近くで顔を合わせて、異国の人と彼女の関係が歪だということを、僕は更に強固に確信するに至った。
(だけど、僕は・・・)
僕には、何が出来る?彼女に何の縁がある訳でもない。
溜息と同時に項垂れ、足を引き摺るようにして、自室へ向かうエレベーターへ歩を進めた。
―――そう、その時の僕は、もう一度、彼女と話すチャンスが訪れることを予期していなかったのだ。
【continue】
※崩壊星(collapsar)…ブラックホールの別称。
はい、今日はここまで。後篇は明日以降に仕上げます。
(申し訳ありません。お花見に行きます🌸🌸)
しめじ様、拙作ですが、宜しくお納め下さいませ😊
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途中の飾り罫線は、いつき様の#賑やかし帯を使わせて頂きました。
感謝します🙇🥀
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また、次の記事でお会いしましょう!
🌟Iam a little noter.🌟
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