水槽の彼女〜カバー小説【3】|#しめじ様
しめじ様のnoteから、カバー小説を綴っております。
今までのお話はこちら
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僕は、朝食会場にいた、崩壊星の瞳の彼女の姿をもう一度反芻した。
僕から少し離れた、全面ガラス張りの窓際のテーブルに、背中を向けてぽつんと彼女は座っていた。肩が小さかった。
異国の人と3歳くらいの小さな女の子が、5分ほど後から、連れ立ってそのテーブルに来た。
二言三言、papaはcollapserの瞳の彼女と言葉を交わした。そのあと、女の子ふたりでバイキングの朝食メニューを取りに行った。
僕もルームキーをテーブルクロスに置いたまま、席を立って朝食を取りに行くことにした。
3歳くらいの女の子は、背が届きにくいのでcollapserの彼女が代わりにトングやスプーンで取り分けてやっていた。
自分のは、後で別に取りに来るようだった。
小さな女の子にまめに世話を焼くことには慣れているようだった。でも僕には、違和感が残った。彼女には、何処か上の空というか、儀礼的な印象があった。母娘、というよりドライな関係・・・
テーブルに戻った3人の様子を、トレイに盛った朝食を食べながら、僕は更につぶさに観察した。
前日の夕食と同じく、女の子ふたりは会話しているが、異国の人は終始無言だった。ゆっくりとロールパンやオムレツを口に運んでおり、眉を少し顰めている表情に見えた。大浴場で、気さくに僕に話しかけてきた男とは別人の雰囲気だった。
―――僕は食事を終わらせ、オレンジジュースを飲み干した。トレイの上を軽く片寄せ、テーブルの端に除けた。
抽出したホットコーヒーを取りに行き、また自分のテーブルに腰を落ち着けたとき。
窓際の3人が席を立って、僕のテーブルの横を通って行った。
collapserの彼女は、一列で進む3人の最後を歩いて、僕の横を過ぎるとき、じっと僕と目を合わせ、合図を送るような顔をした。
そして今の僕は、海辺のカフェテラスで彼女を待っている。
考えが、頭の中を巡っていく。
(―――何故、papaから逃れたいんだろう・・・)
確かに、papaとは親密な様子は無かった。
女の子同士にしても、愛情で満たされている母娘というより、親戚の子を相手している程度のひんやりした雰囲気が漂っていた。あの3人に、実際は何が起こっているんだろう。
打ち合わせのときの彼女の言葉。
『―――おひるを食べたら、いつもpapaはお昼寝するの。
りらって小さい子、わかる?
あの子も横で睡るわ、かならず。
その時しか、機会が無いの・・・』
―――
正確に何時、というのは分からない。
しかも、本当に出て来れる保証は何も無い。
『もしも・・・2時を過ぎても、私が待ち合わせ場所へ行けなかったら、一巻の終わりだわ。
・・・明日には、私たち、チェック・アウトなの』
・・・祈るように、カフェのドアを凝視する。
今の時刻は、もう1時半・・・
【continue】
▶Que Song
劇場/Dios
はい、今日はここまで。思いの外長くなっております😊
散歩していると登場人物の背景が色々浮かんできて、あと数話続きそうです😌🥀
お時間のあるnoter様で、お気が向けばお付き合い下さいませ。
しめじ様、毎度ですが拙いカバーで恐れ入ります。あと暫くご容赦下さいませ。
お読み頂き有難うございました!!
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また、次の記事でお会いしましょう!
🌟Iam a little noter.🌟
🩷
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