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欧米映画への感性を磨きたい方へーカイエ・デュ・シネマの「作家主義」という本

◆「カイエ・デュ・シネマ」って知ってますか。

映画を受け止めるには知識も必要、私は常々そう思っています。

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去年オンラインの勉強会で「カイエ・デュ・シネマ」という雑誌の存在を学びました。戦後間もない1950年頃にフランスで創刊された雑誌です。「作家主義」という考え方を提唱したのは映画史への大きな貢献ではないかと私は思います。

そのカイエ・デュ・シネマがかつて世に送り出してくれた「作家主義」という本が2022年4月に復刊しました。「体系的に欧米映画を知りたいな」「欧米映画への感性を磨きたいな」という方におすすめの1冊です。

私は発売日に買いました。今ならまだ容易に入手できると思います。

◆「作家主義」ってなに?

作家主義とは簡単に言えば「絵画や小説といった芸術を創作者による芸術とみなすのと同様に、映画も監督という個人によって作られる表現、芸術である」という考え方です。

◆「カイエ・デュ・シネマ」のなんと豪華なことよ

「カイエ・デュ・シネマ」が輩出した映画人はエリック・ロメール、ジャック・リヴェット、ジャン=リュック・ゴダール、クロード・シャブロル、フランソワ・トリュフォーなどなどの錚々たる面々です。

彼らは「カイエ・デュ・シネマ」においては批評家、インタビュアーとしても活躍しました。(私の大好きなジャック・ベッケルもインタビュアーの一人です、この監督の「穴」は映画好きは必見です!


◆インタビューを受けた監督たちもすごいです。

ロベルト・ロッセリーニ、フリッツ・ラング(「M」の洗練された作りは1930年の作品とは思えない)、ハワード・ホークス、アルフレッド・ヒッチコック、ルイス・ブニュエル(カトリーヌ・ドヌーブの「昼顔」を作った人です。人間への洞察力すごいと思います)、ロベール・ブレッソン(彼の「掏摸」「抵抗」「ジャンヌ・ダルク」を観ないのは一生の損です)などなどがインタビューを受けています。すごいです。

「M」 予告だけからでも時代を越えたスタイリッシュさが感じられると思います


「昼顔」 50年以上前にこういう作品を撮ってくれたことに尊敬の念を抱きます。人間の本質は時代を超えて普遍なんだと感じます。


ロベール・ブレッソンの「掏摸」と「抵抗」 極限まで削ぎ落とされた表現なのに美しくて、かつ人間の感情が強く伝わってきます。まさにこの監督は天才です。


このようにインタビューする側もされる側も、とにかく出てくるのは欧米映画を語る上で欠かせない人ばかり。一人ずつ取り上げてもそれぞれの記事が書けます。

オールスターキャストとはこういう時に使う言葉ですよね。

こんな簡単な説明でも「カイエ・デュ・シネマ」の存在が欧米の映画史を語るには欠かせないものなのが分かっていただけると思います。

◆映画の魂は受け継がれる

製作前に役者ととことん対話し、役者の中に演ずる役柄を作り上げるというロベール・ブレッソンの手法を「ドライブ・マイ・カー」作成時に濱口監督は取り入れています。西島秀俊氏がトークで言ってました。

「映画の魂ってこうして受け継がれていくんだ」と私は感動でした。




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