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台湾映画LOVERのつぶやき【その2・自国の魅力に気づかせてくれた映画たち】
◆台湾ニューシネマ以降、自国の魅力に気づいた台湾
台湾ニューシネマが終わりを迎えた1990年代後半以降、台湾はニューシネマの反動を受けたかのようにハリウッドなどのいわゆる大作のエンターテイメント映画の市場になりました。
*「台湾ニューシネマ」についてはぜひ【その1】を読んでください。
ですが、いくつかの映画をきっかけにして2000年以降、自国の良さを見直すこととなります。きっかけとなったのが「海角七号 君想う、国境の南」(2008年)や「練習曲」(2006年)たちです。
◆「海角七号 君想う、国境の南」
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予告↓
「国片回帰」(国片=台湾映画)のきっかけとなった一作、台湾映画が「前海角」「後海角」と呼ばれるほどになったエポックメイキングな作品です。
この映画は日本の統治が終わった1945年に別れざるを得なかった日本人と台湾人の男女と、現代で出会った男女がシンクロして物語が進み、喪失と再生が描かれます。音楽と共に迎えるラストには私も泣きました。
多分、全面的に昇華されることのなかった戦後台湾の喪失感を、観客たちが「再生」という形で共有できたのも国内でのヒットの大きな要因でしょう。
この作品のウェイ・ダーション監督は常に「台湾と日本」をテーマにして素晴らしい作品を作り続けています。軸のある監督は良いです。
*この監督の他の作品たちについては次回以降書きたいと思います。
◆ 「練習曲」
そして「環島ブーム」の火付け役となったのが、日本ではほとんど知られていない「練習曲」です。私は探しまくって中古のDVDを買いました。
それまで台湾では、中国本土の地名は言えても台湾の地方都市の名は言えないというのも当たり前の状況でした。
ですがこの「練習曲」をきっかけに多くの人が自国の美しさを見直しました。結果、映画同様に自転車で台湾を周る「環島」がブームとなったのです。映画の力って素晴らしいです。
作品自体は、聴覚が不自由な精悍な青年が(役柄だけでなく演じる青年が実際に聴覚が不自由なのですが、それがまた良いのです)一週間かけて自転車で台湾を1周するというもので、その間に人や民族、知らなかった風習に出会います。特別なイベントは全くありません、
でも台湾各地の風景が泣きそうになるくらい温かく優しくそしてどことなく懐かしい、心にじんわりと沁み何度も観返したくなる、なかなか無い素晴らしい一本です。 機会があったらぜひ観て頂きたいです。
*【その3】では時代を映す鏡としての台湾映画について書きます。