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ワルシャワ冬日記 東方三博士の礼拝、伝統の復活 2025年1月6日

本日は1月6日、東方三博士の礼拝を記念する祝日だ。正教会ではこちらの方がクリスマスのメインイベントである。
ワルシャワでは旧市街を中心にパレードが開かれる。見物に行こうかとも話していたが天気が微妙なのと人出がやばそうなので中継見るのでいいんじゃないかと結局家から出ずテレビの前でみんなで眺めた。

ポーランドにおいては、1960年ごろまでには祝日扱いでお祝いをする伝統もあったらしいが、宗教色を嫌う共産党政権下において廃止、平日扱いになり特に祝われることのない時代が続いた。が、2010年に再び祝日化、2011年からは正式にパレードが(ほぼボランティアによってだが)行われるようになり、年々規模を増し全国にも同様の催しが波及しているという。

以前下の記事でも触れたスラヴの年越しの伝統行事コレンドヴァニェ

と降誕劇の伝統が融合し、三博士と聖家族に扮した人々を中心に聖歌を歌い街を練り歩き、礼拝を再現するちょっとした劇が行われる現在の形になったらしい。
年明けに授業の一環で降誕劇やコレンドヴァニェをやっていた小学校の教師がある年、学校内ではなく街中に出てやるのはどうか、と思いついたのが始まりで、ここまでの大きなイベントになったそうだ。ポーランドがコレンドヴァニェを復活させたことで、近年旧共産圏だった近隣諸国でもこの行事の復活が起こったりと影響を与えているらしい。

三博士(ポーランド語では三人の王)はそれぞれヨーロッパの王、アフリカの王、アジアの王からなるのだが、ワルシャワのパレードではアフリカ王役の人はルワンダ人の方、アジア王はなんと日本人の方が今回務められていた。アジアっていってもアナトリアとか小アジアらへんの人だったんじゃないかしら本来は、トルコとか中東の方とかに頼めなかったのか…あ、大体イスラム教徒だから頼めないのか…、とかぐるぐる想像しつつ、中継では他の地域のコレンドヴァニェの様子も紹介されていたのだがそちらはそちらでアフリカ王役の人が黒塗りされており浜田雅功氏の一件が脳裏をよぎったりした。宗教行事だから炎上することはないんだろう、勝手に焦るな自分。首都ワルシャワではここ数年で街中にアフリカ系の人々が一気に増えた印象があるが、地方ではまだそんなことないんだろう。本物に頼めなかったらそりゃ仮装になりますよね、そうだよね。

青がアフリカ、緑がアジア、赤がヨーロッパの行列チーム
にこやかにインタビューを受ける三博士役の方々。
アジア王役は写真家の糸沢たかし氏。
Żmigródという町ではアフリカ王はポーランド人が肌を黒く塗るメイクで、逆にアジア王は特になんの工夫もなくて、色々いいのかそれはとドキドキした。
ワルシャワのパレード。中国の龍舞が先導するアジアチーム。
小アジアが東アジアまで拡大解釈されててグローバルでいいですね(?)
アフリカといえばそうだよねサバンナだよね、確かにね、キリンと象が輿をひくアフリカチーム。
乗用車が輿を引くヨーロッパチーム。
船?なのかもしれないけど馬とかが引いてた方がカッコいいような…?
パレードを守護する天使隊。
白いダウンジャケットを着込み防寒対策はバッチリです。
マリア(妊婦)とヨセフ。
行列のゴールは王城前に設置されたステージ。
ステージ上にはマリア(出産後)とイエス(リアル赤子)とヨセフの聖家族が待っており、三博士がそれぞれ母国語で聖歌を歌い黄金・乳香・没薬の贈り物を捧げた。日本語のきよしこの夜がワルシャワに響き渡っていて面白かった。
集まった人々。みんな王冠をかぶってる。行かなくて正解だったな、と思った画面。

伝統行事って言ってるけどこれ京都の時代祭みたいなもんだよね、と夫が呟いていた。こら、エセ伝統とか言うんじゃありません。「創られた伝統」論争を安易に呼び起こそうとすな。これから伝統になっていくんですから見守りなさい。諸々のクオリティもこれから上がっていくかもしれないんだから。
ただあまりにも画面に保守的なことを言うお偉いさんたちが出てきたりしたので義母がPiS(前与党)の支持者がこれでまた増えないといいなぁとぼやいていた。夫は基本的にキリスト教(カトリック教会)が嫌いなので、現代のカトリック教会の政治性を感じさせない、民俗学的な方向の要素がもう少し見えるような行事にしてくれたら大歓迎、と言っていた。
よそ者としてはツッコミどころ含め大変面白く拝見しました。いずれにせよナショナルアイデンティティの構築って色々難しいね。


夜は夫の高校からの友人夫婦と数年前にできたというアジアンタウンへ火鍋を食べに行った。2年ぶりに会う4歳の息子くんが人語を話すようになっていて成長すげーと思った。
アジアンタウン、名の通りベトナム人、韓国人、中国人、(アフリカ人もそこそこいた)がたくさん集っており、ワルシャワでこんなにアジア人に囲まれるの初めてだーとテンション上がった。あともう一つ初めての気づき、周りに東アジア人が多いと謎の安心感を得る。普段街中で無駄に緊張していたのだなぁと気づいた。身長が高くないからか威圧感を感じないせいかもしれない。

ベトナム料理がメインだが中華料理、韓国料理、日本料理、インド料理の店などがある。
中国海賊版キャラクターグッズ系雑貨屋もあり面白かった。
ドライアイス演出のため具材ほぼ見えない。
火鍋自体は大変美味でした。

クリスマス最終日色ゼロの食事であるが羊肉が食えて私は嬉しかったです。





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