藝大で元気がない人のためのガイド
この記事の意図
大学生活も2年目になった。身近にも体調を崩したり、大学から距離置いたりする人物をチラホラ見かける。
うちの大学はデザイン科の教授は何も思わないのだろうかと不思議になる程ホームページが見にくく、色々な申請もやりにくい。余裕がない状態でその作業をするの大変億劫だし、それで大学生活を諦めてしまうの人も多いのでは?と思い、ちょっとまとめてみた。
私の略歴
私は東京藝術大学先端芸術表現科に在籍している。私の経歴は少し複雑なので、自己紹介を兼ねて、前もって略歴を書き起こしておく。
一般高校に入学
同高校のデザイン科に転科
適応障害発症
高校中退
↓
某進学予備校の医進コースへ入学
壊死性リンパ節炎発症
同校の私立文系コースへ転科
↓
某私立大学の通信科へ入学
エステサロンに就職
↓
東京藝術大学入学
双極性障害の診断がつく
とりあえずやっておく事
もしあなたが藝大生で、大卒資格は欲しいけれど猛烈に起きれなかったり気分が沈んで仕方がない場合、とりあえずこれをやっておけば当面留年の心配はないといった事項をまとめておこう。
合理的配慮申請をする!
診断書を貰う(大学内でも完結出来る)
具合が悪い時は「具合が悪い」とメールする
出席は0か100で考えず、オンラインや遅刻、早退で大丈夫そうならお願いしてみる
進級に響く授業とそうでない授業を把握しておく
どうしても出席が難しい時は別課題などの措置を相談する
大学のスタッフの事を敵対視しない
東京藝術大学には特別就学支援室という施設があり、申請すれば合理的配慮を受けることが出来る。
「もし進級したいなら」と言う条件付きだとこう言った感じだ。全然進級する気がない人も居るし、やっぱり大学自体が嫌な人も沢山いるとは思うので、そう言う人は参考にしなくて全然大丈夫だと思う。
双極性障害と社会生活を両立するためにしたこと
この章は双極性障害に絞った話になる。また、生活全般の話なので当事者以外の方は興味が無ければ読まなくても問題ない。
通院し服薬する
生活リズムを一定に保つ
ストレスを減らす
記録を付ける習慣をつける
支援機関を活用する
自分が双極性障害であることを忘れない
本当に基礎的な事ばかりで面白みがないが、やはり基礎は大切だ。
各項目になにか特筆すべき事項があるわけではないが、それぞれが絡み合っているように思う。
双極性障害と診断されるまで
双極性障害は、やはり特有の波があるため義務教育課程のようなカリキュラムの高校では卒業の難易度は高い。なので私は高卒認定試験を取得し予備校で学ぶ選択肢を選んだ。そのおかげで入試の際に学科に困ることはなかったので、後悔はしていない。
私は現役の時は高熱にうなされ毎週血液検査を受けていたため受験が出来なかった。一浪の頃は休み休みで予備校に行けるようになり、判定は悪くないところまでいったのだけど、世の中そう甘くなく受験に失敗してしまった。落ちた時はショックだったが仕方ないと素直に受け入れ、通信制の大学に入学し、社会人をしながら一人暮らしを始めた。
母は私の体調不良を「甘え」だと認識していたようだが、一人暮らしをして体調がよくなるにつれ病気だったのだと考えが変わっていったようだった。私も同居していた頃は母に不必要に攻撃的な振る舞いをしていたので、母が当時そう思っていたのも何となく理解できる。
一人暮らしをして落ち着いてきた頃、自分の人生に少しだけ疑問を抱いた。このまま社会に適応して、自分の過去の苦しみに蓋をしていいのだろうか。東京藝術大学を受験したのは、その記念碑的なものだった。その頃には両親との関係も改善しており、受験間際には画塾の費用も負担してくれた。
診断がついてから
私は小学生高学年から藝大入学の半年前までの約10年ほど抑うつが強かったので躁状態はあまり目立たなかった(と自認している)のだが、藝大に入ってからはストレスが減り、一般的な双極性障害の症状に当てはまるようになってきた。
しかし、私自身の体調は前年度より随分良くなっており気に留めていなかった。根底のストレスが減った分、鬱は軽くなったが躁が上がってしまったように思う。気分が全体的に引き上げられた感じがした。その後明らかな躁エピソードを経験し、自分が双極性障害であるとハッキリと自覚し投薬治療を始めることができた。
投薬治療を始めてから遅刻欠席の数は減ったが、気をつけてはいるが、講評前などにどうしても躁状態をセーブできずに疲労が溜まり欠席してしまう事がある。そういう時はすぐ諦めて欠席連絡を入れることにしている。
また、鬱の時は抗うつ剤を飲むなどして対処している。正直、躁状態よりは鬱の方がコントロールしやすいかなと私は思うが、過眠など睡眠に関してはまだ対処法を漁っている。
美術って、精神衛生上悪くないか?
ちなみに東京藝術大学での生活はそこそこ辛い。私は社会人経験があるので食うには困らないだろうと何とか経験から言い切れるが、卒業後貧困になってしまう可能性はとても高いと思われている。確かに、マーケットで評価されるアーティストなど一握りだ。評価軸の分からないものに身を任せて、少ない椅子を競い合う構図が見え隠れする瞬間、気が滅入りそうになる。
そういう時は朝日を浴びたり音楽を聴いたりしてやり過ごす。「意外と食いっぱぐれはしない」という人は内部に入ってから多く見かけたので「美術をゴリゴリやってトップに上り詰めてやる!」といった進学校精神はちょっとずつ捨ていっても大丈夫だと思う。そうしないと、どこかで具合を悪くしそうだ。
でも、そういう戦うスタンスで美術業界を勝ち上がる人もいない事はない。でも、どの場所でもそうであるように全員ではない。私は自分が病気に苦しんでいた頃、普通のことすらままならなかったから、美術界のそういった側面は苦手だ。
でも、純粋に美術を学ぶことは楽しい。力を付けると見え方が変わる。世界がより多面的になり、自分で制御できる範囲も増える。知れば知るほど、美術は魅力的だ。
正直、学部4年間という時間では、そういったメンタリティのバランスを確立出来れば充分だと思う。
双極性障害の参考になるサイト
自分を客観視する上で、参考にしているサイト。双極性障害については医学書も所有しているが、とっつきやすい無料のものを紹介しておこうと思う。
自分の性格と症状を比較検討する癖を付けることが客観視をする為の第一歩だと思って、ちょくちょくチェックしている。
《神田橋語録》
https://hatakoshi-mhc.jp/kandabasi_goroku.pdf
最後に
私はまだ全然誰かにアドバイス出来るような立場の人間ではないが、こういったやり方もあると一つ頭の片隅にでも置いておいてくれると嬉しい。
世間では美大、藝大の人間は精神疾患持ちが多いと若干の棘を感じる言い方で言われる事もあるが、それは一般社会が精神疾患を受け入れる体制や思想が出来ていないことのあらわれであり、精神疾患をオープンにしても問題がなく生活できる環境を誇らしく思ってもいいのではないだろうか。
これを読んでいる人には、元気がなくてもぼちぼちやっていって欲しい。
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