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予測できなかった急変
こんにちは。手術室看護師のnanaです。
前回は術中の急変対応の中でも、イベントが生じた後に予測し、対応ができた際の話をしました。
いわば良く対応できた一例です。
どんな急変に対しても予測し、速やかに対応できたことに越したことはありません。
もちろん医師を含め、医療者は日々進歩する医療に対して、そしてさまざまな不測の事態に対応できるように日々勉強しています。
しかし現実には予測不能な展開へと発展してしまうことがあります。
今回は予測できなかった急変が起きてしまった時の私の行動を振り返りつつ書きたいと 思います。
前回の患者さんの手術の続きです。
止血ができた後は、血液検査データや血液ガス分析結果も大きく崩れることなく、順調に経過していました。
しかし手術のメインが終わりに向かっていた時から血圧が徐々に下がり気味になってきました。
ここで考えることは何でしょう・・・?
まず第一に考えることは出血です。
麻酔科医は術野の様子を確認し、執刀医に声をかけながら血圧コントロールを行い、執刀医はもちろん出血箇所を探しにいきます。
しかし術野では出血箇所が見つかりません。
前回の時のように出血箇所が判明すればいいのですが、どこを探しても出血箇所がありません。
術野で目視で出血が確認できないため、エコーを使用し術野以外での出血を探しますが見つかりません。
麻酔科医による血圧コントロールもいよいよ追いつかなくなり、麻酔科医の応援要請を行い、対応をしていきますが、血圧コントロールができないままです・・・
CEと外回りであった私は、PCPS(いわゆるECMO)を挿入する可能性を考えて物品の準備を始めました。
※PCPSについては長くなるので別の機会に書きますね
ほどなくして執刀医よりPCPSを挿入すると指示がありました。
経食道エコーと術野でのエコーを併用し、PCPSを挿入し、何とか低めではありますが血圧維持が可能となりました。
PCPSを挿入後、20〜30分程度でドレーンを挿入し手術は終了しました。
しかし依然として血圧はやや低めです。
ドレーンからの出血が増えることもありません。
違和感があるため、術直後にCT撮影へと移動しました。
そこで判明したのは大動脈解離でした。
これが血圧低下の原因だった訳です。
今回予定されていた手術は大動脈を触る手術でもなく、人工心肺を使用するような手術でもありません。
また術前のCTでは大動脈瘤や解離の所見はありませんでした。
術中に何らかの原因で解離が生じたという症例でした。
このように全く予測のできない急変に遭遇することもあるかもしれません。
ですが看護師としてすべきことは変わりません。
・状況をしっかりと把握すること
・医師や手術に関わるスタッフと密に報告・相談を行うこと
・必要に応じて応援要請を行いマンパワーを確保すること
・あらゆる事態を想定し、できる範囲での準備を行うこと
・医師の指示のもと介助を行うこと
急変時にはこれらのことをきちんと行い、自分の行なったことを記録に書き記しておくことが大切であると私は考えます。
誰だって急変には遭遇したくありませんし、急変が起きないことが最善です。
私だって出会いたくありません。
しかし命に関わる最前線で働いてる以上、急変は正直つきものであると思います。
なので日頃からどう手術室看護師として患者さんと向き合い、看護を行いたいか、どう動くべきであるのかを模索しながら働くことが大切であると思います。
私はその中でベストな選択が常にできるように日々勉強し、知識を向上させていきたいと思いつつ過ごしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。