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【短歌エッセイ】歩道の自転車は車道側走行

 「不安げに 歩道の内側 ペダルこぐ 初登校の 新入生は」


 この短歌は4年前、2017年の4月に詠んだものだ。高校に入学し自転車通学を始めたばかりの、まだ高校にも自転車通学にも慣れていない感じの、女子高生の様子を歌にしたものだ。同じように、この春から自転車通学や自転車通勤を始める人もいると思う。

 ところで、あなたが歩道の内側を歩いている時に、進行方向より自転車が、同じく歩道の内側、つまりあなたの進む直線状、真正面からこちらに向かって走行していた場合、あなたはどうするだろうか?

 自転車を避けるために車道側へと進む? それともこのまま真っすぐ進む? それとも立ち止まって様子を見る? 答は決まっているという人も、判断はその時の気分次第、最接近する状況次第という人もいるかもしれない。

 しかし、不正解は確定している。「自転車を避けるために車道側へと進む」だ。



 「自転車の道路交通法」という、公益社団法人自転車道路交通法研究会が運営するウェブサイトに詳細が記載されているが、道路交通法では「歩道は歩行者優先で、自転車は車道寄りを徐行」ということになっている。


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 つまり車道側を走行するのが自転車なのだから、歩行者は車道側に避けてはならないのだ。歩行者が車道側へ避けることで、結果として自転車に歩道の内側を進ませ続けてしまうことになる。

 私なら真っすぐ進み続けるし、それが不安な人は立ち止まって様子を見てもいいだろう。いずれにせよ衝突を回避するために、自転車は進行方向をずらして歩行者を避けざるを得ない。もちろん、車道側に。

 話を戻すと、冒頭の短歌の女子高校生は道路交通法違反をしているのであって、「色々不安だし、仕方ないよね。これからも歩道の内側を走行するといいよ」という意味合いではない。念のため。

 歩道にも色々あって、中央に線のないものや、時間帯によってはあまり歩行者を見かけない歩道もあるだろう。「自転車も歩行者も、同じ歩道を行く者同士、あまり目くじらを立てずに臨機応変に譲り合えばいい」と言う自転車運転者もいるだろう。

 しかし、それは誤りである。歩行者がいようといまいと、自転車は歩道の中央から車道寄りが許される領域なのだ。歩行者の領域を侵してはならない。何となくふんわりした曖昧なルールに、未然に事故を防ぐ力はないのだ。

 そもそも自転車は「車両」である。危険運転の自動車が突っ込んで来る可能性がないとは言えない歩道で、どうして歩行者が車道側で、内側を走行する自転車の楯になってやらなければならないのか。冗談ではない。

 ちなみに自転車が、歩道の中央から車道寄りと、中央から内側寄りの2列で並走しながら、歩行者を間に挟むように追い越す行為も、歩行者の歩行妨害に当たる危険運転だ。


 「歩行者の ごとき顔して 自転車が 歩道の我を 左右から抜く」


 放課後の練習会場への移動と思われる、揃いのユニフォームを着た地元のスポーツ強豪高校の生徒達が、次々に私の両サイドスレスレを追い抜いて行った時は、ゾッとし、「どうして歩行者の内側を行く!?」と激しい憤りを感じた。

 部活中に一般人に怪我を負わせたら大会どころではなくなるだろうに、そんなこともわからないのだろうか。どんなにスポーツの成績が良くても、県代表になっても、応援したくなくなるというものだ。


 今まで、歩道の自転車は車道側走行だということを、知らなかった人もいるだろう。どうかこの機会に、この一点だけでも心に留めて運転してほしい。それだけで、随分歩行者にはありがたいというものだ。





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瑳月 友(さづき ゆう)
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