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【短歌エッセイ】テレビ番組制作に思うこと2
4月18日付の記事で、テレビ番組を観ての雑感を、短歌と共にお伝えした。
今回はその第2弾だが、記事の内容はそれぞれ独立しているので、第1弾の記事を読んでおられない方も、ご心配なく読んでいただけたら、と思う。
話題なる センセーショナルな ドラマには 批判もあれど 絶賛もあり
これは2019年3月に作った短歌だ。
ちなみにセンセーショナルとは、「大衆の興味や関心をあおりたてるさま」という意味だ。
人の感情を煽ったり世間の注目を浴びるような、強く関心を惹くような内容で、話題になっているドラマがあった。
強く関心を惹くような内容で話題になる、という時点で、作品としては上手くやっていると思うが、煽られた感情に関して、ネガティブな受け止めもあればポジティブな受け止めもあった。
「自分が主人公と同じ立場だったらと考えると嫌な気持ちになる」、「主人公に敵対する相手の感じが胸糞悪過ぎる」、「ここまで振り切れた修羅場はありえなさそうで共感しにくい」等が、ネガティブな受け止めだった。
逆に、「登場人物達の関係がどうなるのか(崩壊するのか丸く収まるのか)気になる」、「主人公に敵対する相手の演技が怪演過ぎて目が離せない」、「ありえなさそうで実は起こり得るかもと思うと興味津々」等が、ポジティブな受け止めだった。
私は、最初は何気なく観た。途中、主人公が敵対者の策略で苦境に陥る辺りは、可哀想で観たり観なかったりした。やがて、主人公の勇気ある立ち回りや敵対者の行き詰まり感等にどんどん惹き込まれ、気がつけば毎週楽しみに最終回まで視聴していた。
全てのクリエイティブな作品が万人受けするわけではなく、より攻めた内容のもの程好き嫌いが分かれるものだろう。
それでも、序盤に興味を持った視聴者に、最後まで好感を持って視聴してもらえれば充分に成功だと思う。そういう意味で、批判もあったものの絶賛もされていたこの作品は、大成功だったのではないかと思っている。
ただ、あまりにもセンセーショナルな作品ばかりが世の中に蔓延するのも、何だか疲れそうで賛成はできない。
劇薬は、程々がいいように思うのだ。
ドラマでの セクハラめいた セリフでも イケメンならば ロマンスになる
これは2019年11月に作った短歌だ。
最初に断っておくが、賛同や肯定の意見ではない。むしろ不満であり皮肉だ。
現実社会においては眉をひそめられるような言葉でも、創作された虚構の世界においては、現実ではないからということで許容される。好意的にではないにせよ、存在する事象の一つとして。
それでも、何を言ったかではなく誰が言ったかによって受け止められ方が違うのは、何だか理不尽な気もするのだ。
例えば、脂ぎった成金社長やだらしない風貌の酔っぱらい中年から、「俺の女になれ」、「今夜は俺が抱いてやるよ」等言われたら、「お断りします」と言ってピシャリと突き放す女性登場人物が多いのに、イケメンで敏腕な青年実業家の財閥御曹司や、イケメンで人気絶頂のバンドマンから、「俺の女になれ」、「今夜は俺が抱いてやるよ」等言われたら、ドキドキしてよろめいてしまう女性登場人物がいるわけだ。
そして、その女性登場人物に自身を重ねて、好意的に展開を妄想する女性視聴者も。
どちらの場合も、言われている言葉は同じなのに。
もちろんそれは、言葉だけでなく総合的に判断している結果なのだと言える。
それでも、どんな相手だろうと、「俺の女になれ」、「今夜は俺が抱いてやるよ」等と、上から目線で傲慢なセリフを吐いている時点で、女性を対等ではない見下した存在だと思っている気持ちが溢れているわけで、夢を見ている女性視聴者には夢から覚めて欲しい、と思うものだ。
そして、「俺の女になれ」、「今夜は俺が抱いてやるよ」等言うイケメン登場人物に、「お断りします」と言ってピシャリと突き放す女性登場人物を見てみたいと思うのだ。
ぼうっと生きてるわけじゃないよ 決めつけて 頭ごなしに 叱るな五歳児
これは2019年12月に作った短歌だ。
テーマとして挙げられている雑学教養の質問に答えられなかったゲストが、「ぼうっと生きてんじゃないよ!」と5歳児のキャラクターに叱られる、というコンセプトの番組がある。
本音か建前か、出演するゲストは叱られることを楽しみにしているらしいが、観ている視聴者としては一々不快になる。
人は人生において、深く精通していることもあればそうでないこともあるわけで、「知らない」=「ぼうっと生きている」というわけではない。
にもかかわらず、知らないというだけでぼうっと生きていると決めつけられ、頭ごなしに叱られるのだ。そして知っている5歳児のキャラクターは「偉いね~」という流れでまとまる。
この番組を楽しめている視聴者は、大の大人が5歳児に叱られるという構図にニヤニヤしているのかもしれない。もしくは、もう叱ってくれる者がいなくなった寂しさを、キャラクターに叱られるという内容で満たしているのかもしれない。
それでも、理不尽に非難される状況を観るのは嫌な気持ちになるものだ。
私は、たまたまテレビ画面にこの番組が映ると、そっと違うチャンネルに変えている。
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![瑳月 友(さづき ゆう)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/49011500/profile_4e4d12eb28b8c6f397684f4941e813ee.jpg?width=600&crop=1:1,smart)