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【短歌エッセイ】新入社員教育について思うこと
「まだ慣れぬ 不手際もまた ういういし 手ほどき受けたる 新入社員」
ある年の4月初旬、受診した病院の会計で、先輩職員と思しき人が窓口で応対する職員に、こういう時はこうする、というような指導をしていた。指導された方は全く慣れていない様子の若い人だったので、きっと入社したばかりなのだろう。冒頭の短歌は、その時の情景と心情を詠んだものだ。
仕事の手順というものは、実際の現場で状況に応じて変化する様々な事例を前にした方が覚えやすい、というものもあるだろう。事前のシュミレーションだけではわからないイレギュラーな事態にも対応して行くために、客を巻き込んだ教育も必要かもしれない。
当時の私は、その後に予定がタイトに詰まっているわけではなく、時間に余裕があったこともあり、普段より時間がかかっているその状況においても、微笑ましく思いながら待っていられた。それは、慣れないながらも習得しようと頑張っている若者への、応援の気持ちもあってのことだ。
私自身も、新しく入って来た職場の新人の、教育を担当したことがある。たいてい教える相手は一人だが、ある年は同じ立場の職員は私以外全員新人という、部署の新人割合が高い時もあった。
習得した日常業務というものは、慣れた人にとってはその都度確認しながら進めるまでもなく、ある意味無意識にさえ行えるものであるかもしれない。逆に無意識にさえ行えるからこそ、教え説明するために改めて言語化することに難しさを感じたりもする。
教え説明しても、何人もいれば理解度はバラバラだったり、理解したつもりで実際の行動からは抜け落ちているものがあったりもする。それに気づいて指摘し、根気良く繰り返し教えることが必要になる。人数が増えればその機会も増える。
「ネガティブな 小言と思われざるように 後輩等へも 言葉選べり」
指導と叱責は違うし、叱責のつもりではないのに叱責だと受け取られるのも困る。だからこそ、そういう時に発する言葉は、随分慎重に選んだものだった。
上司と部下、先輩と後輩、新人とベテラン。職場における人間関係とは、そこで働く多くの人にとって大きなストレスを孕んでいるとも言えるし、それはいつの時代も変わらないことだろう。
細部の細かいところまでルールが定められていて全く自己裁量がないのも、「もっとこうすればいいのに」という不満が募るものだが、全く意味もなく指示される内容もないだろう。
それぞれが無駄にストレスを感じることなく、スムーズに意思疎通を図り、気持ち良く日々の仕事を行うために、お互いを尊重し合える職場であることを願うものだ。
そしてこの季節、新社会人・新入社員の方々が、一日も早く職場に慣れ、新しい生活の中の不安が減って行くことを願っている。
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