【短歌エッセイ】ある夏の海の思い出
今から約4年前、2019年の夏に、私とパートナーと、私の妹と姪の4人で、小学5年生である姪の夏休みに合わせて、海に出かけた。
目的地が海になったのは、波で削られたガラスの欠片であるシーグラスや綺麗な貝殻などを採集したい、という姪の希望だ。私は事前にネットでシーグラスを拾える可能性のある海岸を調べ、旅程を計画した。
当日の運転担当はパートナーだ。
出発から1時間半程で1つ目の目的地である海岸に到着した。
私達は撤収時間を確認し合い、その時間までこの海岸で、姪と共に姪のためににシーグラスと貝殻を採集することにした。
晴天に恵まれ日差しが照りつける石混じりの砂浜を、大人3人と子供1人が、貝殻などが打ち上げられて集まっている辺りを中心に、それぞれビニール袋を手にうろうろと探して回る。
海水浴もできる海岸ではあったが、目的は海水浴ではないので、服は普段着だし履物もビーチサンダルではなく、濡らさない想定でのスタイルだ。
しゃがんで探していると、波が打ち寄せて来たりもする。それに対して姪は、はしゃぎ声を上げて立ち上がりながらかわしている。
楽しそうで何よりだ。日差しが水面に反射してキラキラと光る中、はしゃぐ姪の姿は、幸せなワンシーンとして大人達の脳裏にも刻まれるのだ。
声上げて 波打ち際で はしゃぐ君
水面に揺れる 煌めきの夏
海岸に打ち上げられている貝殻は、どれも角が取れ、滑らかになっているように見える。中には穴が開いたり割れてしまったりしているものもある。
長い時間をかけて、寄せては返す波に洗われた影響であり、それだけ強い海の力を感じさせられる。
どれ程の期間そうされて来たのかと思うと、少し姿を変えても元の形がわかるように残されていることが、かえってロマンを感じさせられるのだ。
遥かなる 時刻まれし 貝殻は
海が歌いて 残したる星
その後ホテルに移動して1泊し、2日目も別の海岸でシーグラスと貝殻の採集を行い、土産を買ったりして帰還した私達だった。
翌年以降は流行性の病の影響で、4人で出かけることは控えることが続いている。
今年は中学3年生、来年は高校生となる姪が、今後もまたこのような機会を希望するかどうかはわからない。
それでもこの夏の海の出来事が、懐かしい思い出となって姪の中に残されていることを、勝手ながら願っているのだ。
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