映画のような小説
僕は映画のような小説を書くことを、ひとつの指針としています。長編映画一本分の長さの物語が気持ちよく読めるボリュームだと考えているのと、映像で思い浮かべることができる描写を目指しているからです。
7月18日発売の「夏のピルグリム」も映画一本分を念頭に書いた物語です。もちろん、映画化の話などどこにもありませんが、読むと映像が頭に浮かび、読み終えると映画を鑑賞したような気分になることを目指しました。
「夏のピルグリム」は、心に傷を負った夏子が、ひと夏の巡礼の旅をする物語です。
夏子は、妹とぬいぐるみでお話をつくるのと、ひとりの友人と推しについて話をすることが楽しみな少女です。
その夏子が心に傷を負い、巡礼の旅に出て、いくつかの地方を巡り、様々な人に出逢いながら、目的地に向かいます。
本作はロードムービーを念頭に描きました。土地ごとの風景を描きながら、その土地で生きる人たちを描くのは楽しかったです。好きなんですよね、ロードムービー。「レインマン」とか「リトル・ミス・サンシャイン」とか。ロードムービーにハズレなしとよく言いますよね。
夏子は、どこのクラスにでもいるちょっと内気な普通の女の子です。
その子が、辛い思いをして、旅に出る決意をします。
不器用なのに、必死に頑張る夏子の姿が心に残ると思います。
映画を観るように、一気に読める長編小説だと思います。
著者初の単行本形式の小説「夏のピルグリム」がポプラ社より発売中です。「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作です。よろしかったら書店で手に取ってみてください。善い物語です!