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小説家にとって単行本を出版する意味

ご存知の方が多いと思いますが、小説には主に単行本と文庫本の2種類があります。
単行本と文庫本では、まずサイズが異なります。単行本の方が大きく、B6版や四六判が多く、文庫本はA6版が多いです。
装丁も異なります。単行本はハードカバーと呼ばれる表紙が硬いものとソフトカバーがありますが、文庫本はソフトカバーしかありません。
価格は単行本の方が文庫本の2倍ぐらいします。

内容も違います。単行本は初めて刊行された小説しか基本的にありませんが、文庫本は単行本が出版されてから数年後(最近は2年ぐらい)に文庫本化することがあります。
最近では、文庫本書き下ろしの出版も増えていて、文庫本だけを出版するレーベル(と言っていいのかな)もあります。

文庫本と単行本どちらにも良い点があります。
文庫本は価格が安く持ち運びしやすく、単行本は大きくて読みやすく、飾っておくのにも適しています。

作者にとって単行本での刊行は別の意味があります。
それは、文学賞です。
正式に決まっているかわかりませんが、多くの文学賞の対象は単行本です。直木賞は単行本が対象だと明確に記載されています。
本屋大賞は単行本と規定しているわけではないですが、過去のノミネート作品のほとんどが単行本です。
逆に、宮崎本屋大賞のように文庫本が対象な賞も中にはあります。

著者の2作目「夏のピルグリム」は単行本形式の出版になります。
ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」が文庫本で出版されたときもめちゃくちゃ嬉しかったですが、「夏のピルグリム」が単行本で刊行されることが決まったときはまた別の嬉しさがありました。
もしかすると、ひょっとすると、直木賞や本屋大賞に選ばれるかもしれないんですよ。商業デビューしてから新人賞への応募をやめているので、賞をもらえる可能性があるのはワクワクします。

ただ、最近はインフレで価格が上昇していて、単行本は気軽に手に取ってもらえない価格になっているのが気がかりです。
それでも、単行本の装丁は芸術性が高いものが多く、「夏のピルグリム」の表紙も美しいものに仕上がっています。読み終えたあとにインテリアとして飾っておくのにも良いと思います。
損はさせません(きっと)。

著者初の単行本形式の小説「夏のピルグリム」がポプラ社より7月18日に刊行されます。「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作です。よろしかったら予約してください。善い物語です!


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