映画「泣く子はいねぇが」を観た(ネタバレなし)
飛躍の俳優、仲野太賀さんが主演を務めた「泣く子はいねぇが」。
公開は2020年11月。舞台は秋田の男鹿ということもあり、県民としての嬉しさで直ぐに観に行った。
胸が締め付けられるようなシーンで映画は終わった。
エンドロールの余韻は好きだ。
出演者の名前と、折坂悠太さんの「春」が流れる。
余韻に浸る暗闇が終わり、明るくなった時、右隣の席で観ていた知らないおっさんがボソッと言った。
「クッ、これで終わりが。」(ネイティブ秋田弁
)
(…ん?え?「クッ、これで終わりか?」)
個人的には視聴者に想像を委ねるような、良い終わり方だと思っていた。
しかし、そのおっさんにとっては半端に感じたらしい。
おそらくエンドロール後に出てくるかもしれない"その後の展開"を期待していたのではないかと推測。
このおっさん、もしかして、淡い期待を持ってエンドロールまで待っていたのか…?と思うと
吐き捨てた呟きが虚しく思えてじわじわ笑えた。
おかげでラストシーンがどんな終わり方だったか…
具体的な記憶が飛んでしまうのだった。
歳を重ねてから、年末にまた観たいと思った。(なまはげは年末の行事だから)
あれから2年。先日DVDを購入し、2回目の鑑賞。
確かに、
「クッ、これで終わりが。」
と言いたくなるような終わり方をしていた。
だけど、あれ以上を映像で説明するのは野暮な気もした。
だからやはり、あの終わり方は想像する余白があるから良いのではないでしょうか?と、心の中であの時のおっさんに結論つけた。(知らんけど)
ちなみに主題歌「春」を歌った折坂悠太さん。
声色はもはや楽器。独特の世界感があってこちらも惹かれた。
MVは、「泣く子はいねぇが」のその後のシーンと繋がっているような気がして…胸と目頭が熱くなる。
あとこの映画を観てから男鹿のなまはげ館に行くともっと男鹿が面白い。(演出のある「なまはげ体験」がオススメ)
伝統を守り継いでいく難しさ(人手不足など)、時代の変容、世代のギャップ、悩める若者の葛藤、時事的な問題があちこちのシーンに含まれている。
舞台は男鹿だけど、全国、世界の伝統文化がある地域でも共通する現代のテーマだと思った。
面白い映画だった。