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多様なままでまとまらない未来にダイブする|Works

地球の持続可能性について、市井の人々がこう発言しました。

「輪廻転生の世界観では、来世のために現世の環境を大切にするわ」
「私たち博愛主義者は、神の愛に基づき資源の公平な配分や持続可能な発展を推進します」
「人間だけでなく全ての生物が共存し、調和した生活を目指すのがマルチスピーシーズだぜ!」
ガイア仮説では、地球を一つの生き物として捉え、ホリスティックに環境を保護するのよ」

しかし大阪のオバチャンは、輪廻転生は現世での行動変化を促しにくく、博愛主義は現実の競争的な社会には適合しにくい、マルチスピーシーズは世界全体の経済活動には適さず、ガイア仮説は地球環境の深刻さを過小評価している、と批判します。
彼女は、厳しい規制や産業の構造改革、大規模な人口抑制などを推し進め、人間の自己保身や短期的利益への欲求に対抗せよと檄を飛ばすのです。

ああ、人間たちは「多様性」をいいことに、またも言い争っているようですね。
それを聞いたお釈迦様はカンダタに言いました。

カンダタよ、今日は地球の未来について提案します。
まず、一人ひとりが地球のためにできることから始めなさい。学校や地域で環境教育を強化して、次世代に持続可能な生活の大切さを伝えるのはどうですか? 
また、地元の環境保護活動に参加してみませんか? コミュニティガーデンやリサイクルなど身近なことから始められます。再エネ利用を広めることも重要です。
企業も環境に配慮したビジネスモデルを採用すべきです。
政府や企業や市民が協力して、CO2排出量を減らしていきましょう。みんなで力を合わせるのです。

しかしカンダタは、お釈迦様の官僚主義的な物言いにあきれて、こう反論します。

お釈迦様、ちょっと待ってください!
今の話、きれいごとばっかで現実感がないですよ。主体が曖昧すぎます。誰が何をするのか、明確にしてください。
それに、温暖化防止の名のもとに私たちは搾取されていると思うんです。再エネやSDGsって、結局は大資本が儲けるための道具になってないですか? 私たち市民はそのコストを払わされているんじゃないですか? 本当に効果があるのか疑問です。

ブチッ

カンダタはぶら下がっていた蜘蛛の糸を自ら切りました。

「煉獄の炎のほうがもはや地球よりも涼しいぜ。」
カンダタはそううそぶきながら、閻魔大王の鶴の一声で導入された「クリーンエネルギー地獄」へと、満面の笑みで落ちていくのでした。


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