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ホワイトな学校へ#12 その8 最高学年6年生を、最高にする

出会いを大切に

4月、着任したら、まず最初に6年生を褒めることにしている。褒めるというより、望ましい言動をきちんと評価すると言った方が適切だ。

材料はいくらでもある。

例えば、見知らぬ私に、自分から挨拶してくれた子。多くの子供は不思議そうな顔をして通り過ぎたとしても、数名の挨拶してくれた子を評価する。

例えば、話の聞き方を評価する。やんちゃな数名がふらふらしていたとしても、多くのきちんと話を聞いている子を認める。

このように、当たり前の、やろうと思えば誰にでもできそうな、簡単なことでよい。

これらを、始業式の校長先生のお話で紹介する。
下学年には、6年生をお手本にするように言う。
そして、「これから皆さんの良い所をたくさん見付けて、全校朝会で紹介していきます。」と、約束する。

褒める係に徹する

実際、毎週のように、良いところを伝えていく。
たった一人だったとしても、こうなってほしいという姿を見つけたら、すかさず紹介する。そして、そういう姿が増えたら、増えたことを評価する。
6年生だけでなく、下学年の行動も評価する。

悪さをしているところを見つけたら、緊急の場合を除いて、担任やその辺にいる職員に指導してもらう。私は、褒める係に徹する。(いいとこ取りですみません…)
でも、この立ち位置が大切。

材料はたくさんある。
例えば、本校では、毎年5月、全校遠足で、災害時の広域避難場所になっている公園に行く。往復の徒歩での移動、公園での活動、すべて6年生の班長を中心とした、たてわり班で行動する。果たして、進級してほんの一月程度の新米班長さんが、素晴らしい力を発揮する。道の歩き方の声かけ、低学年が楽しめる遊びの計画、くたびれてしまった1年生への励まし…大人顔負けの活躍ぶりだ。
立場は人を作るとはまさしくこのことである。

ベタな「ほめほめ作戦」です

こうやって褒め続けていると、数か月もしないうちに変化が見えてくる。もちろん、やんちゃな子はやんちゃなまま、特別支援が必要な子は相変わらずマイペースだったりするのだが、全体が落ち着いてくる。

望ましい言動が評価されることで、そちらが正義となっていく。

べたな「ほめほめ作戦」ですか、と思われるかもしれないが、多くの人が効果を実感しているからこそ、定番の説になっているのだと思う。

Q:褒めるにかこつけて圧力をかけているのでは?
A:圧力と感じるとすればできていない数名で、多くの当たり前にできている子たちは、正当に評価された!と嬉しく思うのではないでしょうか。

Q:子供たちに、こちらの意図を見抜かれるのでは?
A:口先で美辞麗句を並べたのでは、子供たちには見抜かれてしまいます。ですから、必ず事実に基づいて評価しています。子供は、自分(自分たち)のことだとわかるので、説得力があります。また、評価の視点がマンネリにならないように気を付けています。学校内を歩いていれば、材料はたくさん転がっています。先生方の週ごとの指導計画(週案)の中にも、あります。

エピソード
前任校でのこと。私がどこかに置き忘れたペンケースを6年生女子2人が見付けて届けてくれた。名前はローマ字で小さく書いてあるだけなのだが、=^_^=の柄なので、その子たちは私のだとわかったようだ。しばらく見つからず、困っていたので助かった。丁重にお礼を言ってドアを閉めたら、その向こうで、小声で、「校長先生、全校朝会で褒めてくれるかな。」と言うのが聞こえた。
やはり、子供たちは、良い行動を評価されることを嬉しいと感じているのだと確信した。(もちろん、褒めた!)
中身は、このような、やろうと思えば誰にでもできる、当たり前の、簡単なことでよいのだ。

私のペンケース 裏に同じような字体で名前が書いてある
10年以上使っています!

こうして、6年生を下学年のお手本となれるようにすることが、学校全体を落ち着いた雰囲気にする近道だ。
全職員に便乗してもらうのは言うまでもない。

そして、毎年必ず、始業式から6年生を褒める。
斯くして、毎年6年生になると、全校のお手本となれる最高学年になるという、よいスパイラルに入る。

褒められる方が、ずっと気分がいい。これだけでも先生方は、少し楽になると思う。
(個々の課題への対応については、またの機会に)

学級での出会いも大切に

4月、子供たちは、新しい担任との出会いに期待している。学年が上がるという節目を、子供たちが変わるきっかけにしよう。
子供たちは、誰もが、よりよくなりたい、成長したいと思っている。
その気持ちをとらえて、評価する。

年度当初の学級集団は、お互いの力関係を探り合っている状態。そこに信頼できる担任が存在することで、いい学級集団になっていく。
子供の信頼を得るためには、子供に寄り添って、話を聞くことは大切だが、迎合してはいけない。
先生が、信念をもって、ぶれないこと。
中心がしっかりしていれば、子供は自ずとまとまる。

担任が持ち上がりだったとしても、同様。
専科の授業でも、同様。
このタイミングを逃さず、よいスパイラスに入れるようにするとよい。

とはいえ…

スタートがうまくいかない、長続きしない、波がある・・・よくあることです。連休明け、行事の終わり、長期休業の後などを敢えて節目として、先生も子供たちも気持ちをリセットし、また、ゼロから立て直しましょう。
手順は同じです。

とはいえ…

「6年生は、こんな風には変わらないよ。」という方もいると思います。
私の場合、1校め、2校めとも、こうやってうまく行ったのですが、もしかしたらこの地区なりのうまくいく要因があるのかもしれません。

この要因については次回、寄り道② 中学校受験について思うこと で=^_^=




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