見出し画像

バリュー株発掘:消費者金融株はなぜ買いなのか、アイフル株か?アコム株か?

2024年12月にアイフル株を買う検討をした時の備忘録です。アコム・アイフルどっちにするか迷いましたので、この時の判断基準も付記します。

消費者金融とは

消費者金融とは、個人を対象に融資を行う貸金業者で、主にカードローンなどの個人向け無担保融資を扱っています。バブル崩壊以降、自動契約機の導入、広告規制の緩和から手軽にお金を借りたい層を中心に利用を伸ばしています。

消費者金融株が買いの理由①過払金請求の減少

昭和43年に最高裁判所は、元本完済後に超過利息の支払が続けられた場合、過払いになった金銭を不当利得(民法703条)として返還請求できるとの判断を示しました。それまで、利息制限法の年15%~20%を上回り、利息制限法出資法の上限29.2%まで、貸していた消費者金融各社は一斉に過払金請求に苦しむこととなりした。
これによって、大手の武富士が潰れ、プロミスが三井住友フィナンシャルグループの傘下に、アコムが三菱UFJフィナンシャルグループの傘下に入ることになり消費者金融冬の時代となっていました。
そんななか、このような記事がでていました。

過去にはアコム、アイフルを含む大手3社で年2000億〜3000億円の返還金の支払いがあった。24年3月期でも支払額は合計で500億円強に達する。日本貸金業協会によると、業界全体の返還額は8月で月50億円ほど。武富士が経営破綻した10年と比較すると10分の1ほどの規模だ。

日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB3031H0Q4A031C2000000/

アイフルの決算資料を見てみると

https://www.aiful.co.jp/group/ir/pdf/PR202403.pdf

確かに右肩下がりで利息返還請求の件数、金額が落ちています。費用減少分は、配当または投資に向かうと考えます。
2024年度発生額
アイフル62億円、アコム273億円
アコムの方が件数の減りが緩やかで発生額も大きいです。

消費者金融株が買いの理由②金利上昇幅の鈍化

消費者金融の基本的なビジネスモデルは
「高く貸す-安く借りる=差額」です。
高く貸すことが法律で上限が決まっている中、できる限り安く借りることが経営上重要となります。
このモデルの最大の逆風が日銀の金利上げだと考えます。
日本の政策金利が最後に0.5%を超えていたのは1995年で、ちょうど30年前なので、消費者金融は低金利時代のビジネスだったともいえます。
トランプ大統領就任前の1月に0.5%まであげると予想します。一方で、0.5%→0.75%は早急な利上げをしないと私は予想しており、0.75%以上には相当なインフレが起こらない限り利上げしないと予想しました。
各社とも0.75%までは織り込んでいると思いますので、あとはどれだけ格付けを上げられるかが勝負だと思います。
◯格付け
アイフルBBB+ アコムAA-
◯平均調達金利2024/3
アイフル0.94%、アコム0.56%
銀行系のアコムに軍配。独立系のアイフルはスポンサーを付ける可能性が調達金利次第ではあり得ると予想。

消費者金融株が買いの理由③デジタル化による店舗レス

このような記事が2024/11/18の日本経済新聞に出てました。

全国の無人店舗数は2024年9月末で2167店舗で、19年9月末の4014店舗から5年でほぼ半減した。

日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB012DM0R01C24A1000000/

カードを使わずアプリ上でお金を借りることができるようになり、店舗の必要性が薄れたことが大きな要因だと考えます。店舗を減少させても貸出残高が維持できる場合、店舗維持費用分か丸々収益となるため、各社ともにデジタル化は本丸と言えます。
アイフルはその流れをより戦略の中心にすえており、決算資料に4p割いています。

https://www.aiful.co.jp/group/ir/pdf/PR202403.pdf

消費者金融よりも強力なデジタル接点を持つプラットフォーマーも貸付を増やしています。

スマホ融資サービス「LINEポケットマネー」 サービス提供開始5年で累計貸付実行額2,000億円を突破

https://www.lycorp.co.jp/ja/news/release/009212/

消費者金融業界に明確なデジタル勝者はいないと思うので、デジタルプラットフォームとの連携等、デジタル化は今後も重要な経営課題だと思います。

結論

結論、消費者金融株は買いだと思います。
アイフル PBR 0.82倍、PER 7.49倍
アコム PBR 0.95倍、PER 11.32倍
-2024/12/27
各種数字は上記の通り割安水準であり、成長期待を株価に取り込めていないと考えます。一方過去のアイフルの暴落(2026年1月1万円台→2009年3月100円を切る)、武富士の破綻等々、リスクがある株として認識されているため、そこが上値の重荷になるかなと思います。

アイフルか?アコムか?

アコムは成長戦略として東南アジアへの進出を掲げています。一方アイフルはデジタル化を掲げています。
過払金請求は、両社とも徐々に減っていくため差がなくなるとしたら、調達金利がより低いアコムが投資銘柄としては順当かなと思います。

ただ、これは完全に好みなのですが
決算資料にCPAだけでなくLTVまで載せてるアイフルを私は推します。
人口が減る中、獲得効率だけでなくどれだけ顧客に生涯使わせるかが勝負になるかなと思います。LTVを意識した経営、LTVの構成要素がKPIに落とし込めているだろうなという経営に期待したいです。
(また、cpaだけ見ていてLTVまで見ていないクライアントはデジタルへの本気度が低いというSEM業界に身を置く立場の経験からの直感も多分にありますが、、、)

再編等々も起こりそうな業界でもあるので注視していきたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

しももん@バリュー株発掘
よろしければ応援お願いします!いただいたチップはより有益な情報集めに使わせていただきます!