焼肉部位解説② 焼肉メニューの「みすじ」「とうがらし」ってどの部位? 輸出・インバウンドに役立つ英語中国語訳付き
今回も牛肉の小割部位についての解説である。 意外にも業界のプロからも「いったい牛のどの部分からとれる部位なのか?」 「英語では何と呼ぶのか?」「中国の観光客からどの部位なのか聞かれて困っているので教えて欲しい」などの質問を受ける。食肉業界、焼肉業界の方々であれば、当然どの部位の肉かご存知の方は多いとは思うが、英語での名称や中国語に至ってはご存知で無い方も多いのではないかと思う。そこで、これら小割部位の主要なものについて、簡単に解説して行きたい。
なお、できるだけ部位の筋肉名(学名)についてラテン語で表記した。学名は、欧米のパッカーの加工場で品管オフィサー(QA Officer)と必要な部位や不要な部位を特定するために非常に役に立つ事を覚えて頂きたい。
たとえば、シンタマ(Knuckle)からトモサンカク(ナックルサイド)を集めたい時に現場の品管オフィサーにトモサンカクの筋肉学名Tensor Fasciae Lataeを書いて示せば一発でどの肉が欲しいかが分かるといった具合である。なお余談だが、このトモ三角は185Cトライチップ(トライアングル)と同じ筋肉であるが、カットする場所でトライチップになるかナックルサイドになるか呼称が異なっているのである。
なお、解説には肋骨(リブ)の番号を用いているが、牛の肋骨は13本あり、首に近い方から1番2番と呼んでおり、腰に近い肋骨は13番となる。国や地域によってロースなどのカット位置が異なっていることなどを表示する上で、肋骨の番号や本数が関係して来るため是非覚えて頂きたい。
1、うで
【別名】 シャクシ、ショルクロ、クロッド
【英語】 114 Shoulder clod(北米) Blade (豪NZ)
【中国語】肩胛肉(Jian1Jia3Rou4)
【牛の部分】 牛の肩からうでの筋肉、ミスジとウデ三角(クリ)が主要な筋肉である。
【特徴】多くの筋肉に分かれているためスジが多い。肉質は小分け部位によって大きく異なる。
【用途】焼肉、ステーキ、挽き材。
・ うでの小割部位名称
1-1 ミスジ
【別名】 トップブレード、 フラットアイアン
【英名】 Top blade, Flat iron(北米)Oyster blade (豪NZ)学名M. Infraspinatus
【中国語】牡蛎肉(Mu3Li4Rou4)
【牛の部分】 クロッドの上部にある筋肉でウデ三角を除去した後の筋肉
【特徴】霜降りになりやすく、柔らかい。赤身肉中心部分の硬いオニスジの除去と肩甲骨の骨ハダの掃除が必要。
【用途】焼肉
1-2 うわミスジ
【別名】 ショルダープチテンダー
【英名】 Shoulder petite tender(米国) 学名M. Teres major
【中国語】上牡蛎肉(Shang4Mu3Li4Rou4)
【牛の部分】 ミスジの上部にある筋肉
【特徴】赤身で軟らかい。スジの少ない部分がヒレ肉に似ているためプチテンダー(写真)と呼ばれている。
【用途】焼肉、ローストビーフ、グリル
1-3 トウガラシ
【別名】 トンビ、チャックテンダー
【英名】 Chuck tender(北米 豪NZ)学名 M. Supraspinatus
【中国語】嫩肩肉(Nen4Jien1Rou4中国)、黄瓜條(Huang2Gua1Tiao2台湾)
【牛の部分】 肩甲骨の内側にあるトウガラシ状の丸い筋肉。
【特徴】肉質はやや硬めの赤身。中心部分の硬いスジがあり分割して除去が必要
【用途】和牛は焼肉、輸入牛では煮込み料理やスライスして炒め料理に最適である。台湾では炒め材料の定番として多く使用される。
1-4 クリ
【別名】 うで三角、しゃくし
【英名】Clod heart, shoulder center 学名 M. Triceps brachii
【中国語】臂三角(Bi4san1jiao3中国)
【牛の部分】 ミスジからウデにかけての3角形の筋肉。
【特徴】肉質はやや硬めの赤身肉。
【用途】和牛は焼肉、輸入牛では煮込み料理やスライスして炒め料理に最適である。
(注)写真は全て輸入牛肉のものである。
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