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[最近読んだ本の話#5] -懐かしいあの人に会いたくなった時-

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「お薬飲んで」
「いやだ」
「いやじゃない。飲んで。」
「どうして。」

「なんでもいいから飲んで」
「それなら、あんたが飲め」
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認知症の人と大抵発生するやりとりなのだろうか。
亡くなったおじいちゃんと私の全く同じやりとりを思い出した。

おじいちゃんに薬を飲んでもらおうとあの手この手を繰り出して
なんとか飲んでもらえた時の達成感、
そしてぽろっと飲み忘れの薬が出てきた時の脱力感も蘇ってきた。

“認知症はゆっくりと記憶を失いながら遠ざかっていくため、アメリカでは「Long good bye(長いお別れ)」と呼ぶ”という話がこの本の由来になっています。

少しずつ少しずつ症状が進み
一つずつ話ができなくなっていき
理解できないことが増えていき
できないことが増えていく。

そんな事実に寂しさを感じながらも懸命に時を過ごす家族の様子が忠実に描かれていて、
認知症の家族がいる人はただひたすらに共感でき
大切なその人が亡くなってしまってもう同じ時間を過ごせない人は
またその人に会えたような感覚になります。


認知症になってからのあなたとの時間も大切な思い出です。
そんなあなたとの時間を思い出したくなったら、またこの本を読みますね。

長いお別れ 中島京子


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