怪咲歌影🌙かいさきかえい

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怪咲歌影🌙かいさきかえい

オリジナル小説・詩・ライトノベル等。Twitterでは呟怖等も投稿中。更新頻度低め。リアクション非常に励みになります🙇‍♂️ ほんの少しでも、心に残る作品を目指して……

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オリジナル小説 『日記』 

 祖母の七回忌を期に、無人になった母の実家を土地ごと処分することになった。  中部地方の参観の村で、近所には今ではほとんど民家も無くなってしまっている。  私が子供の頃、夏休みにはいつもその祖父母の家に3週間ほど預けられ、近所の子供達と遊んだり、川遊びをしたり、祖父の畑仕事の手伝いなんかをして満喫していたものだ。 のどかで楽しい村な印象しか残っていない。  高齢化と離村者が進み、村の人口はここ二十年ほどで激減したのだそうだ。  中学生にもなれば、友達と遊んだりゲームをしたりで

    • 貴方と一つになるにはこうするしかなかった。 いくら交わっても私の願いは叶わない。 だから貴方を私の中へ。 噛み締めて飲み込んで私の身体の構成要素になってくれてありがとう 美味しかったよ。気持ちよかったよ。 これからもずっと一緒だね。 幸せだね。でも、足りない……

      • オリジナル小説 ◇ (月下美人]

         ピピピピピー!  けたたましく鳴り響くスマートホンのアラームを恨めしく思いながらむくりと身を起こす。  時刻は六時半。いつもの時間だ。 (まだ水曜か……) 週半ばで疲れも最高潮、眠気は全開。 しかし眠いからと言って仕事を休むことができるほどの適当さは持ち合わせていない。  重い体を引きずるようにベッドから這い出すと、寝室を後にする。  リビングのカーテンを思い切りあげると、燦々と降り注ぐ陽の光で目を瞬いた。  からりと窓を開けパジャマのままベランダに出る。  (今夜だね

        • ◼️オリジナルポエム◼︎ [独白]

          何故生きているのか 何の為に生きているのか 自問自答を繰り返す 弾き出される答えはただ、一つ 死ぬ為 しかし死は 訪れる日を待つか 自ら選ぶか どちらも簡単には選べない 生に疲弊した精神は 死を望む そこには無が待っていると 期待しているから 逃避だと言う者もいるだろう しかしそうだとして 逃避することが悪いのだろうか 苦しんでもがいて 足掻いて苦悩して 妥協と惰性で誤魔化して そんな日々を繰り返す この生に意味があるのだろうか 考えた これでもかとばかり

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        オリジナル小説 『日記』 

          『オリジナル 詞』 静寂は慟哭の残響

          歪み 軋み 絶えぬ痛み 闇の中の闇は無 光射さぬ漆黒は 優しく包み込む絹か それとも がんじ絡めに捉える鎖か 望んだのは私 静寂を 真影を 無を 願い 祈り 希った 覆い尽くされ 全てから 守られ 隔てられ 果て無き闇に堕ちた これが安らぎ 柔らかな絹に包まれ 安堵しながら 絡め捉られた鎖は重く まるで快楽の様に 蝕まれては 溶け逝く 己を失う 絶えぬ痛みは 罪の代償 罰の対価 求めて 堕ちた その先は 安寧の場所 軋む 痛む 潜む快楽 希望は叶えられ 全

          『オリジナル 詞』 静寂は慟哭の残響

          オリジナル ◆ 遺書

           これを読んでいるという事は、私は生きていないでしょう。  貴女にこの手紙が届くかどうか、賭けてみたけど、結果を知ることのできない賭けはやっぱり面白くないものですね。  先に謝らせて下さい。  約束、守れなくてごめん……  先に逝くのは貴女で、それを見送るのが私との約束でした。  絶対に守ると言ったのに、本当にごめん。  貴女を大切に思う気持ちは変わっていません。  出逢ってからずっと……  笑顔も、泣き顔も、怒った時も、全部が好きでした。  手作りのご飯も、時々失敗するク

          実話怪談 ◆ 死神

           健康器具を販売する企業に勤める吉田さんから聞いた話である。  彼は大の落語好きで、休日のほとんどはサブスクリプションのストリーミングサービスを使い、好きな噺家の落語を聴いてひがな一日過ごしている。  その日も彼はいつものように落語を聴きながら、まだ陽も高いうちからベッドで横になっていた。  開け放した窓から吹き込んでくる微風で、レースのカーテンがふわりふわりと波を打つ。すぐ側を通る国道は、車が行き交う走行音でいつも通り賑やかだ。野鳥の鳴き声と、蝉の合唱をBgmに、心地よい時

          毎日通る横断歩道で、少し前から視界の端に男の姿が掠めるようになった。 あれはきっとこの世の者ではない。 その内に気がついた。笑いが止まらない。 その男は私を苦しめていたストーカー。ようやく平穏が訪れた。 そこを通る旅、小さく笑みが溢れてしまう。 まだバレてない。

          毎日通る横断歩道で、少し前から視界の端に男の姿が掠めるようになった。 あれはきっとこの世の者ではない。 その内に気がついた。笑いが止まらない。 その男は私を苦しめていたストーカー。ようやく平穏が訪れた。 そこを通る旅、小さく笑みが溢れてしまう。 まだバレてない。