時が終わる、まで。
アスファルトを小雨が叩く灰色の街を踏みしめながらボクはいつもの駅を目指す。
片手でスマホをいじって、YouTubeMusicを一瞥する。
「今日も何も聴くになれんなあ」
とか呟きながら。
しかし、ふとある曲のタイトルが目に止まり、僕はきまぐれにそれを再生する。
懐かしい声が聞こえる。
今日は本当にどうもありがとう。
最後の曲で
「時は終わる」
そして、耳をつんざくあの轟音が鳴り響く。
途端に、
全てだ。
ここには、僕が考える人生の全てが詰まっている
と思った。
それは、若かりし頃、足繁くライブに通っていたときと寸分違わぬ感覚だった。
「ったく、成長してないなあ」
自然とじわる瞳の最高湿度を感じながら、俯いた僕はククッと嬉しそうに苦笑いした。
そして、ゆっくりと顔を上げて、改札を目指す。
さあ、僕もまたあのときの彼と同じように、全力でもがき苦しもうじゃないか。
そう、
ボクの時が終わる、そのときまで。