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春よ、来るな #音楽の薬箱
曲名:「時間よ止まれ」
アーティスト:矢沢永吉
効能:時間を止めること
*
「くだらない」
気づいたら、そんな一言を呟いていた、
3/1昼下がりの国分寺駅北口のロータリー前。
あの都々逸も伊太利も大日本帝國もみんな自分だけは特別だと、
自分だけは特別で永遠に死ぬはずなんてない
きっとそう信じて疑わなかったからこそ、INUも喰わないようなプライドを生命よりも大事に抱えて、他人を見下したり、逆に崇めたりで忙しくして、挙げ句の果てにお互いを殺し合ったのだろう。
もちろん大日本帝國民の末裔である僕もまたその例外ではなく、だからこそ、
くだらない、のだろう。
「神様なんていない。だって、あんないい人たちに限ってどうして…。」
そう、君が泣きそうな声で言ったあの日。
僕はその言葉を聞きながら、こんな日に限って憎らしいほどピーカンに晴れた青空をただ茫然と見上げることしか出来なかった。
「いっそ全人類ごと、その日の前にまとめて滅亡してしまえばいいのに」
そんな不遜な願いが一瞬脳裏を掠めて、慌てて僕は首を横に振った。
こんな僕は果たして何もできない木偶の坊である。
しかし、今はそんな当たり前のことにいちいち悔やんだり嘆いている場合ではないのだから、ひとまず泣きたいのに泣けないあの人たちの傍らでただ茫然と立ちつくす覚悟だけを決めた。
もし万に一つ、彼らが泣けるようになったら、肩くらいは貸せるように、と。
ああ、春よ、来るな
お願いだから、まだ来ないでくれ
それにしても生まれて初めてだよ。
こんなことを強く神様に願ってしまうなんて。
幻でかまわない
時間よ、止まれ
生命のめまいの中で
こちらの企画に(改めて)参加しました。よろしくお願いいたします!