教育にはいつ投資すべきか

　教育とお金の問題、これは切っても切り離せない関係になっています

　教師という仕事柄、勉強についての相談は多く受けるでしょう

　しかし、教師の中には一定数塾よりも学校のが優れていると認識している人もいるのが事実です

　この考え、流石に甘すぎます

　世間知らずとも言えるでしょう

　塾というのは毎年受験に対するノウハウを磨き、情報を収集し、一人でも多くの生徒を志望校に合格させるために力を注いでいます

　更に、成果が出なければ収入を得られないというまさに生き死にがかかった勝負を毎年行っているのです

　ですから、いわば勉強のエキスパートです

　教師であっても自分が学生時代塾や予備校に通っていたはずですが、そのことを忘れているのか、自分が正しいと思っているのか、いまだに教育にお金をかけることに否定的な感情を持つ先生がいるのが残念です

　実際に東京大学に通っている学生の親の年収は半数以上が１０００万円を超えていると調査結果で出ています
　
　簡単な話です

　教育にお金と時間というコストをかけたことによる結果です

　つまり、親が教育に投資することで得られる結果はしないより良い結果になることが証明されています

　文部科学省の調査によると、家計が大学卒業までに負担する平均的な養育費は、幼稚園から大学まで全て国公立の場合でも約１０００万円、全て私立の場合では２３００万円に上ります

　日本政策金融公庫の調査では、子どもがいる家庭は、なんと年収の約４０％をも教育費に使っているそうです

　なぜ、親はこれほどまでに子どもの教育にたくさんのお金をかけるのでしょうか

　もちろん、子どもにたくさんのことを学んでほしいという気持ちもあるでしょうが、教育を受ければ将来の収入が高くなるという期待もまた、あるこだと思います

　経済学では、「将来子どもが高い収入を得るだろうと期待して、今子どもの教育に支出をする」のは「将来値上がりすると期待して株を買う」のと同じ行為だと考えます

　これは、「人的資本ろん」という考え方です

　教育を経済活動として捉えると、将来に向けた「投資」として解釈できるというわけです

　人間本能では、子孫繁栄が本能に刻まれているため、少しでも子孫を残す可能性を高めるために投資すると考えます

　どちらの面から見ても、子どもにお金をかけることは至極正しい行為なのです

　子どもへの教育を「投資」と表現することに抵抗のある人もいるかもしれませんが、あくまでも教育を経済学的な側面から見たということにすぎません

　では、ここで、本題に入ります

　「子どもの教育に時間やお金をかけるとしたらいつがいいのか」

　結論です

　最も収益率が高いのは、子どもが小学校に入学するあえの就学前教育（幼児教育）です

　ヘックマン教授の研究では、人的資本投資の収益率は、子どもの年齢が小さいうちほど高いという結果を明らかにしました

　就学前が最も高く、その後は低下の一途を辿っていきます

そして、一般により多くのお金が投資される高校や大学の頃になると、人的資本投資の収益率は、就学前と比較するとかなり低くなります

　意外だと思いませんでしたか

　世間一般的には「教育段階が高くなればなるほど教育の収益率は高くなる」と信じられていると様々な研究で明らかになっています

　子どもの成功のためには、年齢が上がるほどお金や時間を費やすべきだという認識です

　確かに、大学や就職先選びなど大事な選択の直前をどう過ごすかが、その人の人生により大きな影響を与えるのではないかと考えるのは理にかなっています

　このため、人々は、子どもが小さい時にはお金を貯めておき、そのお金を子どもが高校や大学に行くときに使おうとするのです

　そういう保険があるくらいですから、納得ですよね

　ですが、経済学的に考えればこの考え方が真逆だったというわけです

　ここまで聞くと、「明日から塾に通わせよう」と考えるかもしれませんが、そういうことでもないのです

　「人的資本」とは、人間が持つ知識や技術のことですから、しつけや人格形成、体力や健康などの支出も含まれます

　必ずしも勉強だけではないのです

　この話、すごく簡単にします

　小さい頃にピアノを習っていた子はある程度まで技術を習得して途中で辞めたとしても、大人になって弾けます

　ですが、大人になってからピアノを始めてもそういった人に追いつくまでには膨大な時間がかかってしまいます

　また、レッスン費用もかさみます

　どちらのが収益率が高いか簡単ですよね

　だから、幼いうちに投資するのがいいのです

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