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銀河鉄道999 4巻 第6話 あなたはこういう人好きですか?
「サケザン大陸」
停車駅 サケザン大陸
今の世の中「男らしさ」などと言うと、価値観が古いと言われるでしょう。でも、ここまで読んできたみなさんにはもうお分かりの通り、この物語には様々なタイプの「男の中の男」が出てくるのです。
今回の主役サケザンもその一人です。
この当時ターザンというジャングルで育ったキャラクターが人気だったのですが、イメージはまんまその通りです。
星全体がジャングルに覆われた星「サケザン大陸」そこに住む王がサケザンです。
この星に降り立ったメーテルと鉄郎が猿が作ったお酒「サルザケ」を飲んでしまいます。
すると突然どこからともなく棍棒が飛んできて、二人は気絶させられてしまいました。女性でも容赦なしです。
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理由は単純。
「サルノサケミンナサケザーンノモノ!カッテニノムコレドロボー サケザンオコル‼︎」
一応言葉は喋れるみたいです。
そしてメーテルだけがサケザンに連れ去られてしまうのです。
しばらくして気が付いた鉄郎は、メーテルを救うためにサケザンの元へ向かいます。
しかし大人と子供、あまりのポテンシャルの違いに、あえなく捕まってしまうのでした。
サケザンの家では、なんと鎖で繋がれたメーテルがお酌をさせられているのでした。
これぞ昭和の男尊女卑の典型的イメージです。今こんなシーンを描いたらどんな事になるかわかりません。
「世も末だなあ・・」
鉄郎も牢屋に入れられて思わず呟いてしまうのです。しかしこんな事で挫ける鉄郎ではありません。あきらかに敵わない相手なのですがメーテルを救うためサケザンに戦いを挑むのです。
途中ですでに捕まっていた女性ライザが逃してくれようとするのですが、全く歯が立ちません。
しかし突然メーテルと鉄朗そしてライザは999に返されるのでした。
「強い男の友達をとりあげるのはいけないことだといって出してくれたわ」
メーテルはなんかこうなる事がわかっていたような口ぶりです。
自分よりはるかに小さな体で、どんなにやられても立ち向かってくる鉄郎をサケザンは強い男だと認めているのです。
松本零士マンガの男の中の男は決して完全無欠ではありません。それどころかむしろ欠点だらけの場合が多いのです。しかしただ一つこれだけは譲れないというものを必ず持っています。サケザンの中ではそれが大切なものを守る勇気だったのではないでしょうか。だからこそ鉄郎は999に戻されたのだと思います。もしかするとライザの仲間はサケザンを恐れて逃げてしまったのかもしれません。
そしてライザは出発の間際にサケザンの元へ帰っていくのです。おそらく仲間に見捨てられた後の生活の中で寂しさを癒してくれたのはサケザンだったのかもしれません。
「ライザさんは逃げられなかったのじゃなくて逃げなかったのよ いままで・・サケザンの魅力ね」
メーテルの女性ならではの意見に納得です。
今の世の中サケザンのような男が社会の中で認められることはないと思います。それどころかあっという間に世の中からつまはじきにされるでしょう。
しかし鉄郎は機械の体をもらえなかったらもう一度ここにきてサケザンに会いたいと言います。
この言葉にはできないサケザンの魅力を私たちはすべて無くしてもいいのでしょうか。その答えを知るためにもしばらく999で旅をして行きたいと思います。
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「偉大な男が宇宙には所々にいる 偉大な男とはサケザンのごとき男のことをいうのだという」