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銀河鉄道999 2巻 第2話 生み出した責任
「エルアラメインの歌声」
停車駅:エルアラメイン
今回の停車時間は10分です。こんな天体はないと思うので、おそらく人工星と思われます。
降りないほうがいいと言われているのに、メーテルと鉄郎はまたもや降りてしまいました。この星は一面砂に覆われ、そこに戦車や銃の残骸が無数に放置されています。誰がいつ置いていったのか、手がかりは何もありません。
エルアラメインとは第二次世界大戦のアフリカの激戦地のひとつです。松本氏は戦記物も多く描いており、特に戦車や戦闘機に深い造詣を持っていらっしゃいます。この星に残された兵器も素晴らしい画力でデザインされています。
砂に埋もれる戦車の群れ、それが突然鉄郎達を攻撃しはじめます。普段は動かない兵器は生命反応があると自動的に攻撃するようプログラムされているようです。
メーテルの機転で鉄郎と自分を仮死状態にしてこの場は何とか逃れる事ができました。
「生命反応がなければ戦闘コンピュータも戦闘指令信号は出さなくなる・・人間がいなくなれば戦いをやめて・・またねむりにつく・・」
このメーテルの言葉に鉄郎は思わず叫びます。
「人間がいるかぎりかれらは戦いつづけるのか!」
今年の米アカデミー作品賞は「オッペンハイマー」でした。原爆の父といわれるオッペンハイマーが自ら生み出したものに苦悩する物語です。鉄郎を襲った兵器の主人はとうの昔に全滅しており、今では誰が何のために戦っていたのかすらわかりません。我々もこの星の人々のようにいつか兵器だけを残して絶滅してしまうのでしょうか。
「エルアラメインに風が吹く 生きた残骸のあいだを吹きぬける風の音はここで滅亡した生物の過去を悔いる悲しみの歌声のように聞くものの心に響くという そしていまここには残骸だけしかない・・」