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化粧

30代後半の頃、女性用トイレに併設された化粧ルームの鏡を見ながら思ったこと。
「自分と同年代以上で人目のあるところで化粧直しをしている人をほとんど見たことがないのだけれど、みんな何処で化粧直しをするのだろうか。」
外出先ではおしろいで崩れをおさえるのみの化粧を、トイレの個室内で行っているのだろうか。
年齢に合わせた上質な化粧品を使っているため、お直しの必要がないのだろうか。

あれから月日は流れ、随分と化粧直しの回数が減ったなと感じています。
外出先で化粧直しを全くしない、素顔で出かけることも多々あります。
清掃業と単発の倉庫バイトでどのみち汗をかくから、クレンジングを使わずとも気付けば化粧が全て落ちてしまっていますが、それを気にかけるほどの生きる時間が自分にはないと感じるのです。

以前一時だけ付き合っていた人に言われた言葉を思い出しました。
その人があまりにも素でも(寝起きジャージ姿でも)美しい人だったため、そこまでの美しさを持ち合わせていない私は武装を固めるように常に化粧崩れしないようにしていたのですが、その人は半年前まで事実婚をしていた10歳以上年下のモデル級の外見の女性と私を較べる発言をしたのでした。
「あの娘は家では素顔でラフな格好で、外出先ではつけまつ毛を含むバッチリメイクをして、オンとオフを切り替える人だった」と。

それから何度かその女性と私を較べる発言が続き、私が傷ついていることを告げると、
「何かと発言が後ろ向きだし、そんなメンタルの人あまり好きではないわ」と言われてしまうのでした。

出会った頃、あなたには才能がある。何か他の人と違う。
書くことだけに集中していればいい。と言ってくれた彼。
元配偶者も確かそのようなことを言っていました。
けれど、いずれも目標に向かう隙を与えないほどに経済的に頼りにしてきたのでした。
自分は女性的な魅力に欠けるから経済的に尽くすしか生きていけないのだと感じる中で、いつしか相手が惹かれたという夢のある言葉、個性を発揮できなくなったのかも知れません。

今の彼と会うときも私は普段よりはしっかりと化粧をします。
そして、相手が自分自身の障がいを受け入れ、合った環境で生き生きと過ごしている様を見て、私は自分の目標の話も出来ず、ありのままを見せることが出来ないのです。


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