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ニーズを捉えないブランドは大きくても知られない事実(panasonic認知調査を受けて)

今朝、日経の一面で面白いニュースがありましたのでご紹介を。

なんと、パナソニックの20代の認知度53%だそうです笑。2人に1人がパナソニックを知らない事実… ニーズを無視したマス級の情報がいかに人のアテンションを捉えないかを証明した調査結果ですね。まあ、逆も然りで20代で大流行りしているものを中高年も知らないわけで。

これは今日お話するトピックととても関連があるものですので取り上げましたが、ブランドの規模がどんなに大きくても、どんなに世界的に有名で、おびただしい数の商品や広告を展開しても、「ニーズを捉えないと意味なくね?」ってことなんじゃないでしょうか。

「若い人が使う商品が少ないのが最大の理由。街で見かける商品は自転車くらいしかない」。楠見雄規社長は語る。

引用:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC22AX00S5A120C2000000/

記事内でこのように代表が語っていますが、では、果たして原因は本当にそれだけか?ということが問題になるのかと思います。

ということで。
今日は顧客ニーズを知ることがブランド構築において、いかに重要なことかを解説します。
昨今、ビジネスにも個性が大事とは敢えて言うほどのことではありませんが、この個性を見出すのが難しいわけです。
やはりこの理由としては、個性、別の言い方ですと、ブランドの「らしさ」というのは他社との相対的な比較の中で見出されます。そのため、置かれている環境や競合の状況が変われば、自社の個性も埋もれてしまう上に、ニーズがない個性や強みは受け取る側の顧客にアピールできなくなります。そこで、ブランドアイデンティティ(BI)を作るにあたり以下を2点を踏まえことが重要です。

  1. ニーズを見極めること

  2. ニーズの上で強みを伝えること

そんなことわかっているよ。と言われそうですが、わかっていても解決の筋道がわからない方も多いと思います。ちなみにニーズの見極め方については具体的なリサーチの手法をお伝えすべきですが、ここでは本題から外れるため別のタイミングで解説します。
そこでこのニーズのある強みをBIに込めることが、ビジネスの初めの段階で必要になります。その理由は、BIはブランディングの中核として機能して、その後のすべての経営戦略やブランドのPR施策における意思決定のベースになりえるからです。ちなみにBIが経営戦略まで影響が及ぶ理由としては、それが企業・ブランドの認知度に大きく影響するからです。
ちなみにブランドアイデンティティ(BI)とは何かは前回の記事で触れていますので参照してください。

ちなみにブランドの個性が顧客ニーズとしっかり絡み合った時、強い需要喚起が起こりえます。独自性の高いものは低いものよりも市場価値は高く、より求められる傾向にあるため、ブランディングにおいて独自性をブランドアイデンティティに込めることは重要です。
では、どのようにニーズと個性という強みの折り合いをつけながら、他者を凌ぐ競合優位性を得ることができるのか。深掘っていきます。

以前私の親友がこんなことを呟いたことがありました。
「人類になぜ個性があるかわかるか?」

しばらく上手い回答ができずにいる私に向かい、彼が言ったのは
「それは、サバイバルのためだ」

つまり、人との違いは「強み」だと言う視点のお話でした。これは人だけでなく企業やブランドにも当てはめて考えられます。ただ問題としては、ビジネスではもっと厄介な話になるということです。というのも、私の経験則から以下の7つが主に問題となるケースです。

皆さんの置かれた事業がどれに当たるものか見てみてください。


※以下図案の表記:
ニーズ→「N(eeds)」
強み→「A(sset)」


ニーズがわからない
(顧客ニーズの問題)

自社の個性が明確にわかっているがニーズがわからない場合。


ニーズがあるが、自社の強みと合わない
(ブランドアセットの問題)

ニーズがわかっているが競合を凌ぐ自社の強みがわからないケースもある。


ニーズがあるが強みを求める顧客がいない
(商圏・ターゲットの問題)

あるいは強みもわかっているし、ニーズも捉えているが、背景の社会経済や市場のトレンドから継続的に同じやり方が通用しなくなるケースもある。


ニーズをとらえた強みがあるが、認知されない
(ブランディングとマーケティングの問題)

顧客ニーズを捉えながらも、競合を凌ぐコミュニケーションアイデアが不足の場合も。いわばブランドイメージ構築のためのデザイン力やリソースが欠如したケースか。あるいは強みがコモディティ化して差別化がしにくいケースもある。


ニーズをとらえた強みがあるが、業績が伸びない
(市場シェア・競合・ロイヤリティの問題)

対象の商圏の大多数シェアをすでにとってしまい、サービスとしては需要が飽和状態。供給量を上げても業績が振るわない場合は、新しい事業を始めるか、商圏かターゲットを選び直す必要も。


ニーズをとらえた強みがあるが、ブランドイメージが陳腐化する
(ブランドの進化の問題)

認知も業績も良い盤石な状態とは言えますが、ブランドイメージが時代やトレンドに合わずに古臭くなるパターンです。これは放置していたら競合の進化の影響などでブランドへのロイヤルティが落ちる可能性は十分あります。


ニーズがある強みにおいて、短期的な売上とブランドの長期的価値が衝突(ブランド戦略の問題)

ブランディングとマーケティングの戦略がうまく連動しないパターンです。業績を取るのか、認知をとるのかは判断においてブランディングが内部統制が取れずに迷走するパターンか。





以上に挙げたケース以外にも思いつきましたが、熟考すると以上の7パターンに集約されるものが多いと思います。こうした問題は必ずしも一つの問題と言えるケースの方がむしろ少なく、2、3つの問題が複雑に絡み合っていることがほとんどではないでしょうか。そのため、問題解決のアプローチはケースに応じて柔軟に変えていかないといけません。

次回は以上の7つのパターンにおいてそれぞれに必要な対策を奥野流に考察していきます。


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