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ブランディングの差別化はもう古いのか? ③
いつからある言葉かわかりませんが「餅は餅屋」という言葉があります。「餅以外も売ります」「餅なら数百種類を売ります」というより、「餅は1種類だけです」という方が意外と売れる日本なんじゃないのか。というのが自論ですが思います。先進国家、サービス供給過多社会では「餅以外も売ります」は、「何も売れません」と言っているのとほぼ同義ではないのでしょうか。極論ではありますが。
前回記事からの続きです。ブランディングにおける差別化のさせ方を具体的に例を上げて紹介していきます。
私たちは「マーケット」という名の巨大なテーブルに自社のブランド商品を乗せる時、乗せるものが多いと当然ですがテーブル内で埋もれます。乗せる物を削ぎ落とし、シンプルにすることでようやくテーブル上で光りはじめます。なぜかというとマーケットのテーブルは雑多な情報で溢れかえっているからです。情報でひしめき合っているテーブルで、より光り際立つものはその真逆の性質を帯びています。それはつまり
・シンプルさ
・個性
シンプルなものは喜ばれます。そしては個性はもっと喜ばれます。ウェルカムですね。
差別化とはいわば「選びとる」行為です。市場のあるポジションを選びとることというのは、同時に何かをあきらめることとも言えます。こうして何かを限定させることは、リスクでもあり、同時にチャンスをもたらすものでもあります。
ただ、この限定させる行為は前回までお話ししてきた以下の条件が前提になるでしょう。
・自社ブランドの価値が可視化できていること
・競合他社が可視化できていること
では、競合他社との違いを見つけマーケットでのポジションを構築することにおいて、「○○○」を限定させるかはいろいろ考えられると思います。
◻️「サービス」を限定する
◻️「タイミング」を限定する
◻️「カスタマー」を限定する
◻️「手段」を限定する
◻️「価格」を限定する
◻️「時間帯」を限定する
◻️「期間」を限定する
この「○○○」は別に以上の項目に限ったことではありません。
これだとイメージが湧きにくいと思いますので、私の本業の「ブランディング」をキーワードに例を上げながらご紹介していきます。
◻️「サービス」を限定する
「ブランディング」
(限定1)→ 「ブランディング/デザイン」
(限定2)→ 「ブランディング/デザイン/CI制作」
手掛けている事業をかけ合わせることでその範囲を限定させていきます。
ブランディングというと、コンサルティングやリサーチなども含めますが、例えばブランディングのデザインだけに特化すると、範囲が狭まります。ただ、これでも市場の母数は依然多いためさらに絞り込みます。ここでCI(コーポレートアイデンティティ)というブランドの理念の制作だけに特化する場合は、競合がさらに少なくなっていくはずです。
プレゼンシートしか作らないデザイナー。社内報しか作らないデザイナー。など極めて戦略的に範囲を限定させている方々を知っていますが狭めることで業績を上げています。
◻️「タイミング」を限定する
「ブランディング」
(限定1)→ 「ブランディング/起業時だけ」
(限定2)→ 「ブランディング/起業時だけ/起業後3ヶ月以内」
ブランディングというのは起業する時だけでなく、事業がうまくたちいかなくなっている時などにリブランディングすることもあります。これを限定して「起業のときだけ請け負う」とした場合に範囲が狭まります。その上、期間も指定すれば自ずと同じことをやっている同業は減ります。起業時以外の案件お断り。うーむ、なかなか言うのは挑戦です。
◻️「カスタマー」を限定する
「ブランディング」
(限定1)→ 「ブランディング/シニア世代」
(限定2)→ 「ブランディング/シニア世代/事業地が港区」
事業のターゲットであるカスタマーの限定させてみるの機能します。例えば世代、性別、業種、事業地域、あるいは役職などでもいいのですが、ここでは一旦シニアに限定させてみました。超高齢化社会者では医療や食の流通が発達してきているため労働力が落ちない健康な定年退職者が増えますよね。その中で年金受給でも十分に暮らしていけない方が多いと自ずと事業を起こされる方も増えていくのかもしれません。ただ、収入理由からだけでなく、仕事のやりがいからも。労働はそもそも「人から受ける感謝」が喜びだからです。お金のためだけじゃありません。
以上のシニアターゲットですが、この内容でも同業が比較的いるかもしれませんので、さらに港区で限定させてみるとか。
先日あるコピーライターさんからお話をうかがったのですが、九州でコピーライターをされているお知り合いが、「一人勝ち」状態だということでした。競合が少なすぎて同じ内容を東京で行うよりニーズが掴めるということなんだと思います。地域を絞り混むことで自ずとシェアは取りやすくなります。
◻️「手段」を限定する
「ブランディング」
(限定1)→ 「ブランディング/非対面型」
(限定2)→ 「ブランディング/非対面型/拠点を持たない」
ブランディングは手段を例えばzoomなどによる非対面のミーティングだけに限定している同業は少ないはずです。例えばもしこれをやる場合のメリットはお互いのミーティングにかける移動時間を別の生産的なことに当てられる点です。また拠点を持たないというブランディング会社というのも、地域を超えて広くターゲッティングしていけ、なおかつフットワークの軽さを印象つけられる売り出し方になるのかもしれません。
◻️「価格」を限定する
「ブランディング」
(限定1)→ 「ブランディング/ブランドコンサル初回100万円」
(限定2)→ 「ブランディング/ブランドコンサル初回100万円/2回目以降は都度130円」
ブランドコンサルを上記の金額でやる会社は少ないです。そして当然ですがクライアントも減ります。これに応じれる会社が減る分、価格でクライアントを限定するというやり方です。2回目以降は「130円」というのも破格も思いつきで書きましたが、これは当社の創業日です。これは別になんでもいいのですが、意味のあるものとの掛け合わせです。見る側から「不可解な料金設定で印象に残す」というのもやり方かもしれません。要するに他社がやらない料金設定とは何か?という視点で何かを考えてみるということです。
◻️「時間帯」/「期間」を限定する
「ブランディング」
(限定1)→ 「ブランディング/午前のみ稼働」
(限定2)→ 「ブランディング/午前のみ稼働/1年後に別事業へ移行」
時間や期間限定って、昔からある気を惹きつける一つの手法ですよね。ブランディングをケースにすると少し無理があるかもしれませんが考えてみました。
昼の5時間だけ営業するつけ麺屋、ケーキを夕方15時までしか売らないケーキ屋。いずれも行列ができている場所を知ってますが、時間を限定させるということで、他社と印象の差をつける手法です。
最後に。
差別化の行う最終地点。目的ってなんだろうな?って、
改めて考えてみたんですが、やはりこれなんじゃないのかなって思います。
「人にサービスを届けるための手段」
やり方次第で届きもしませんし、届きもします。
伝え方って本当超重要ですよね。