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アジア地域の国々でノーベル文学賞と平和賞が授賞された(続)

 ※-1『日本経済新聞』2024年10月12日朝刊1面が「日本被団協のノーベル平和賞受賞」を1面冒頭記事にしたその紙面

 【前記】 「本稿」の前編に当たる記述は以下のものである。できればさきに読んでからこちらに戻るかたちになることを希望したい。


 まず,上記の※-1にかかげる見出し文句でもって指示した,2024年10月12日『日本経済新聞』朝刊の1面冒頭記事はこれであった。

「赤線」(傍線)を引いた小見出しの内容に関しては

「本稿」昨日:10月12日の記述が
佐藤栄作のノーベル平和賞受賞の件をめぐり
かなりきびしい批判をくわえていた

佐藤は平和賞を受けていたが
ノーベル財団側においてはその決定に関して
「完全なる錯誤があった」

その問題は前日「本稿」のなかで具体的に指摘・批判した

 前段に紹介した新聞記事に対して脚注的に添えた,この「以上の文章」の含意を,さらに加筆して補うことにしたら,本来こういう意味があった。

 すなわち,日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が今回,ノーベル平和賞を授賞されるよりもだいぶ昔,日本で初めての授賞となっていたが,佐藤栄作が同賞を受けていた。

 しかし,佐藤に対するこの平和賞の授賞は,現時点においてあらためて再判断するまでもなく,「ノーベル財団」側が完全に錯誤を犯していた。

 しかも,その錯誤だと指摘した問題点は,単に核兵器(原水爆)の製造・使用という軍事方面における論点にかかわっていただけではなかった。つまり,ここでさらに考えるための材料としては,「原爆とは一卵性双生児」の間柄にあったというふうに,しごく当たりまえに意味づけられる「原発との関連性」を挙げておく必要があった。

 その種の「問題の性質」が大前提に置かれてこそ,電力生産のために利用される装置・機会である原子力発電の存在が,核兵器の問題とは表裏一体性を有する事実として,しかも事前に併せて認識することができた。

 どういうことか? 前段に指摘した問題性はすでに現実化していた。つぎの画像資料をみよう。なにが語られているか,説明など不要なくらい明らかである。

ロシアのプーチンは
ウクライナないしはNATO諸国側に対して
しばしば戦術核を使うぞと脅してきている

 前段の画像資料に脚注した点,「核兵器使用を口にした」プーチンの文句をめぐっては,そもそも,今回のウクライナに侵略している戦争を始めたのは,ロシアであったにもかかわらず,それでもプーチンは,自国領土が侵略されたら自分はそうするのだおと勇ましく恫喝していた。

 そのリクツ以前のこの脅迫の言辞は,核兵器保有国に特有の「傲岸不遜・傍若無人・夜郎自大・我田引水」的な精神暴虐性を,あますところなく表現していた。

 実際問題,ウクライナ側は2024年8月6日,ロシア領内西部クルスク州への侵攻(越境攻撃)を開始し,一定地域を占領下に置いている。これに対してプーチンは10月1日までには,このウクライナ軍を追い払えと軍に命令を出していた。ところが,現在(今日は10月13日)になっても依然,ロシア側はウクライナ軍を両国の国境から外へ掃討できていない。

 しかし,前段の画像資料で紹介したなかに出ていた「ウクライナのザポリージャ原発」は,開戦当初からロシア軍に占拠されたままの状態が,現在までつづいている。その間,この原発の原子炉が何度も危険な状況にまで追いこまれる事態が発生させられていた。

 

 ※-2 以上のごとき「戦争と核」の危機の関係性を考えるさいには,「原爆が核兵器として使用される危険性」とともに,「原発を保有・稼働している国々にとっての危険性」に関しても,日本被団協のリクツ:論理に照らしてモノをいわねばならない

 だから,それら〔原爆と原発と〕において「危険性が共通する点」については,事前に厳重に警告し,まっこうから反対し,極力排除するための「最大限の注意努力」がなされねばならなかった。ところ,これまでのニュース報道などで接しうるかぎりでは,その点に関して明確な発言をした記事はみうけられなかった。

「核の危機」とはどう定義できるものなのか?

 この記事は,被団協の「和田征子事務局次長(80歳)が読み上げたアピール文では日本政府を『原爆被害者への補償から目を背け,核廃絶に向かって国際世論をリードすると口にしながらも,その責任を果たしているとは思えない』と非難した」と,批判する点に言及があった。

 けれども,核兵器を含めてその「核(廃絶の問題)」を,より正当かつ合理に関連づけたかたちで,いいかえれば,より広義の理解ができるための枠組を用意したうえで,基本の方向性としてならば,これに本質的な論点を集約しておくうえで不可欠となるはずの「原爆も原発も同じ被害を発生させる核害だ」といったごとき,

 「諸結果の現象」から「その原因のありか」に逆にまでさかのぼって,その関連を把持し,集約していくための要領が要求されていた。問題じたいを抱えていたその出立点にまで到達するために要求される科学的な知見,つまり,本来的に同源であるほかなかった「原爆と原発との本質」は,

 まずは,原爆が「兵器そのものとして利用」される場合と,つぎに,原発が「過酷な事故を起こして」原子炉などを破壊した場合との,それぞれにおいて発生する被害状況とのあいだで観取できる「共通性・本源性」に着目しておく必要があった。

 前者の原爆は,殺戮兵器の効能(殺傷能力)が主面になり,しかもその裏面においては放射性物質の加害(害悪性)も,その主面が裏面を不可避に随伴させる特性として発生させる。そしてさらに,後者の原発が大事故を発生させたときとの基本的な差異は,結果としてはもちろんなにもありえない。

 ただ原爆は,核兵器としての爆発力が超高度に激烈である点に,かくべつの特性があることはいうまでもない。

 そうだとすれば,その「核の危機」とは核戦争の脅威からだけ生まれるものではなく,原発が電力生産のために利用される過程において,なにかの表紙で大事故を発生させた場合にもまた「核の危機」そのものとしては,まったく同じ性質である事件の発生を意味する。

 すでに人類は体験済みであった。

 とりわけ,チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日)および東電福島第1原発事故(2011年3月11日)は,まさに「核の危機」そのものとなっていた。そのさい,原爆の核兵器そのものの「使用ではないけれども」,「それと同等になる基本的な技術特性をもつ危機そのもの」となって,登場させられた「核の危機」が問題になっていた。

 以上は「核の危機迫る」という警告を発した日本被団協側のいいぶんが,たとえそれはそれでもっともな提言であったとしても,原発の過酷な事故の発生じたいが,まったくにその「核の危機」に該当する事実を,まるで完全に無視したかのごとき被団協の見解は,問題含みであった。

 要するに,もとからして「双生児である原爆と原発の近親性」を直視しないで,いままでを済ませてきた核問題の理解方法であったと,その片落ちである戦争観としての「核兵器観」を批判しておく余地は,そのまま放置しておくわけにはいかない。


 ※-3『日本経済新聞』2024年10月12日朝刊3面に掲載された記事,「軍縮・不拡散,厳しい現実 日本も米の『核の傘』に」という記事

 この記事は,1878文字を費やした内容であるが,そのうち前文ではまずこう述べていた。

 世界の核軍縮・不拡散に向けては厳しい現実がある。世界の核兵器総数の減少ペースは足元で鈍り,使用への脅威は高まる。ウクライナに侵略するロシアは核の威嚇を続け,中国や北朝鮮も不透明な核開発を進める。核軍縮・不拡散を国際社会に訴える日本も安全保障を米国の核抑止に頼る。

日経記事引用

 そして,最後の段落まで読んでいくと,こういうふうな,いささかチンプンカンプン風の記述をもって締めていた。

 日本被団協とは核兵器の開発・保有などを法的に禁止する核兵器禁止条約をめぐって立場が異なる。日本被団協は2021年に発効した同条約を後押しし,日本政府を含め各国に加盟を求めている。

 日本政府は核兵器保有国がいない同条約は「保有国と非保有国を分断する」と参加に慎重だ。中国や北朝鮮の脅威にさらされる安保環境で米国の核抑止力に頼る現実を踏まえ,距離を置く。

 核なき世界の理想へ一歩ずつ前進させる取り組みに腐心してきた。2022年1月発足の「『核兵器のない世界』に向けた国際賢人会議」はその例だ。

 米欧や中国やロシアなどさまざまな立場の国から有識者らを集める場を設けた。2026年NPT再検討会議へのメッセージをまとめ,「核兵器の使用・威嚇をしない」といった原則を確かめた。

 「包括的核実験禁止条約(CTBT)」や「核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT,通称カットオフ条約)」も重視する。2022年以降、国連総会の機会にこうした条約に理解ある友好国の首脳会合を開いている。

 一方,〔2024年10月〕1日に就任した石破 茂首相は,米国が核兵器を使う場合に同盟国も意思決定にかかわる議論の必要性に言及してきた。「核共有」の考えについて「意思決定の過程を共有しようということだ」と述べ、非核三原則に抵触しないと主張した。

日経引用続き

 この日経記事の内容は,中途半端の立場を自認していたはずの日本の立場が,被団協の見解とは擦りあわせられる余地がみつけにくい(みつける気がハナからなかった)事実を示唆している。

 日本側の本心,核兵器をもちたい願望は,いままで長期間,まともに稼働したことすらない「核燃料サイクル・高速増殖炉」の,現行的な構築体制をけっして諦めなかった事実からも理解できるように,本心として核武装を諦めていない。

 日本は,伊達にプルトニウム44トンを保有しているのではない。核兵器用を第1に意識していないといったら,大ウソになる。

したがって,「『核兵器のない世界』に向けた国際賢人会議」だとか,「包括的核実験禁止条約(CTBT)」や「『核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT、通称カットオフ条約)』も重視する」と記事に書いた日経紙面における日本政府を代弁するかとごとき話法は,しょせん「嘘・偽り」であった。

 実際,この点を一番よく承知(他者に公言できずに自認)しているのが,政府側の関係機関・部局の要人たちであった。

 だから,ある意味,被団協側が核兵器の問題に焦点を合わせてその反対,廃絶をいくら唱えたとしても,原爆の原料を生産させるための「核燃料サイクル・高速増殖炉」が,核兵器生産のために必要不可欠の工場体制であった事実になんら変質はない。日本も核兵器をもちたい。それだけのこと。

 だから経団連も,明確にこう要請していたではないか。原発体制は当面,大いに金儲けの種にもなるゆえ,そのために関連する製造業の存在一群を要求するのである。

原子力を再生可能エネルギーと同列に置く理解は
完全に間違いである

その事実は
チェルノブイリ原発事故や東電福島第1原発事故で
嫌というほど思いしらされた

だが経団連には懲りない面々がオンパレードしている現状にあり
なんといっても当面は儲かるエネルギー産業として

原発体制は現状維持の「再稼働」以上の「新増設」を狙っている
このトンデモな路線を前首相の岸田文雄は勝手に決めた

 『日本経済新聞』2024年10月12日朝刊「社説」は「ノーベル平和賞に結実した被爆者の訴え」と題して,被団協のいままでの地道な反核努力を評価する論説を書いていた。

 しかしまた,その「反核努力」に対する評価ウンヌンの問題は,昔,アメリカ大統領のアイゼンハワー大統領が「原子力の平和利用」だと説いた「完全なる虚言」の連続線上に置きなおし,みなおすべきそれでしかありえず,論旨展開の面で欠陥が目立っていた。

 すなわち,「原爆も原発も義兄弟」であったどころか,完全に「危険な兵器」と「電力生産方式」の同士であったゆえ,要は「本物の一卵性双生児」であるこの由来に即して考えるとき,「原爆問題」のほうをひとまず問答無用に排斥しおくといった苦肉の策が,無言のうちに適用されていた。


 ※-4『毎日新聞』2024年10月12日朝刊「社説」は,「日本被団協に平和省-高まる各リスクへの警鐘」と題した文章を掲載していた

 だが,原発という電力発電のための装置・機械が,これからは絶対に過酷な事故を起こさないという保証は,どこの誰にも与えられていない。この点だけは,工学の一般論的な原理思考の見地からしても,必らず請けあえるほうの話題であった。

 いってみれば,「核の危機」に常時接面を有してきた「危険な核兵器」ならびに「核発電装置・機械の原発」は,いってみれば相乗効果的にその度合を併せて上げてしまうかっこうで,人類・人間の立場により危険(危機)な要因をもちこませる結果をもたらしてきた。

 まさしく,この「核の危機」の最たる〈南北の極地〉のごとき「原爆と原発」の位置をめぐり,いまさらわざわざ,あたかも「呉越同舟」させておくごとき手順を採るようでは,科学論としていえば当然,初めから暴挙以外のなにものでもなかったことを意味する。

 だから,『毎日新聞』2024年10月9日朝刊8面「経済」のコラム的記事として出ていた〈新閣僚に聞く〉で,経済産業省大臣に就任した武藤容治は,経団連のオウム返しのごとき口調の乗せてだったが,「原発 最大限に活用」と語っていた。経産省の役人にそう語ってくれればいいと,きっと,そのように教示されたに違いあるまい。

 ちなみに東電福島第1原発事故の現場では,溶融した結果,原子炉・建屋の底面・下部に溜まったデブリの取り出し作業が,いまだにその第1歩にすらたどり着けないでいる。

 本日(2024年10月13日)の時点だと,その大事故発生から13年と7ヶ月もの歳月が経過したことになるが,いつまで経ってもその程度の後始末しかできないで,なんの原発活用か? それこそにっちもさっちもいかない事故現場の糞詰まり状態が,実質すでに10年以上経過した。

 さてここでは,あくまで仮想話とするが,ちょっとしたはずみで,北朝鮮からのミサイルが日本海側に立地するある原発を直撃することになったら,この日本,もしかするとその1発で「一巻の終わり」になる危険性(危機)=可能性「大」である。

「カメラ・・・が」というこの種類の故障は
いままでなんども聞かされきた

いったい何年前の記憶であったか?


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