原発体制の安全保障問題は完全にガラ空き状態の日本が「原発と再生エネ活用を競争力の土台に」(日経2024年12月19日「社説」)などと脳天気以前のお花畑の発想(前編)
※-1 3E+Sという概念にすぐ原子力(原発)を結びつけたがるマヤカシのエネルギー観
a) 日本のエネルギー政策の基本となる「3E+S」の組み合わせは,エネルギーの
安定供給(Energy Security),
経済効率性(Economic Efficiency),
環境への適合(Environment),
安全性(Safety)
からなる基本概念であると説明されてきた。
しかも,これらの概念によく適合するエネルギーとして原子力(原発)があると,少なくとも2011年「3・11」以前は,それはもうたいそうな自信をこめていたが,当の原子力村側からは自身をもって発信されていた。
だが,東電福島第1原発事故の発生は,これからも事故などけっして起こしてはいけない原発(原子力発電)の,人間・人類にとって決定的に不利であり,不都合であり,災厄である。
その事故の発生の場合・具合によってはこの地球環境の大々的な破壊を惹起させられること必至である予測は,この原発という技術・機械装置の特性からして,すでに周知の事実となっている。
しかも,その事実は「今後における予測」として必然的な意味あいをもち,われわれがふだんから重々に踏まえておくべき最大の注意事項,あるいは重大な警戒事象なのである。
b) つぎの『日本経済新聞』2024年12月18日朝刊「社説」は,そうした原発(原子力)の利用の,潜在的にも現実的にも恐怖に満ち満ちている危険性など,なんのその,このように「原発と再生エネ活用を競争力の土台に」などと提唱する。
けれども,そもそもが「運転中は温暖化ガスを出さない原発の役割は重要だ」といったごとき,根柢から欺瞞の言説と虚偽の提案をすることじたい,問題だらけであった。
自国において発生させてしまった原発の大事故に懲りることもなく,「運転中は温暖化ガスを出さない原発」の重要性・不可欠性を説くところは,エネルギー問題のイロハさえわきまえない,あえてそれに目をつむった虚説にもとづく提案にしかなりえなかった。
ついこのあいだまでは「原発は温暖化ガスを出さない」などと,真っ赤なウソを吐いてきた原子力村の言説が,こんどは「運転中にかぎっては温暖化ガスを出さない」というそれに,あとずさりする要領で変更させて(変節して)いた。
ところで,その “運転中” という限定を付した意味は,それでは「付されていなかったとき」に比較して,はたしていかほどに意味の相違性を期待しえたというのか。
実際,「原発が運転中には温暖化ガスを排出すると認めた(最近になってゲロした)事実(真実)」は,それではどのような科学的な事実:「証拠」にもとづいて表白することなったのか? この付近の説明を必要かつ十分に説明するための努力がおこなわれてきた形跡は,みつからない。
本来,再生可能エネルギーからは一番縁遠く,それこそ極端なくらい向こう側に属するごとき「原発=原子力エネルギー」をとらえて,その仲間であると位置づけた発想そのものが,欺瞞・虚偽でしかありえなかった。
それなのに,なにやら「原発は稼働しているときは温暖化ガスを出さない」などと,愚にもつかない《隠語風の符牒》や《合い言葉》を使いまわしてきた事実からは,不正直かつ不誠実な姿勢しか伝わってこない。
c) たとえば槌田 敦がつぎのような図解を提示し,原発は「運転中にかぎっては温暖化ガスを出さない」などと「想像的に語った文句の空虚さ」を批判していたが,いまだに原子力村側からの反論は出ていない。
当該の問題を定性的かつ定量的に,そのCO2 の排出の問題に関して分析したなんらかの実証的な成果を,この原子力村側から第3者に向けて分かりやすく説明し,納得をえられる努力がなされてはいなかった。
d) つぎの表は(2段落あとに置いたそれ),いまから52年も以前に公表されていた「論文」
和田 明「原子力発電所の温排水問題-拡散問題を中心として」という論題の「解説」(正確には論文ではなかった)『日本原子力学会誌』第15巻第6号,1973年6月,https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaesj1959/15/6/15_6_386/_pdf/-char/ja
において,その冒頭に開陳されていたものである。
この表のなかには,本日のこの記述における議論に関係する統計・数値が珍しくも記載されていた。なお,この論稿,和田 明「原子力発電所の温排水問題-拡散問題を中心として」は,上のリンク先住所から閲覧できる。
以下の記述では,本部筆者なりに関心を引く段落のみを紹介してみたい。またさらに,和田のこの解説について本ブログ内では,つぎの記述がくわしくとりあげ議論していたので,できればこちらの参照を願っておきたい。ここでの記述としては,つぎの段落でのように再論しておく。
e) まずは前もって,この表をじっくり観て,次段の引用文に進んでほしい。
※-2 「プーチンのロシア」が2022年2月24日,ウクライナ侵略戦争を始めたため,より明らかになった原発の危険性-予備的な議論-
1) トヨタ自動車の再生可能エネルギー利用への取り組み
「トヨタ,工場で風力発電」という記事が『日本経済新聞』2023年1月4日に掲載されていた。(リンク先住所〔 ↑ 〕へのクリック・可)
再生可能エネルギーの一種である風力発電とて,この設備・装置・機械を保守管理・点検整備するさいには「炭酸ガスの排出」につながるほかない作業を各種・各様に,必らず必要とする。
だが,その運転そのものに関していえば,原発のように非常に有害であり後始末にたいそうな手間ひまがかかる核燃料のような種類の燃料は,いっさい使わない。というか,それこそいい意味での風頼み(その有効利用)でもって,機械工学的に力学の原理を活用して電力を生産する風力発電に対して,わざわざ「原発を比較をする」という意向は,あまりに無理が過ぎたとしかいいようがない。
2) それほどにまで,いわば「天地に近い差異がある」原発と風力発電であるにもかかわらず,前段に紹介した『日本経済新聞』2024年12月18日朝刊「社説」は,「原発と再生エネ活用を競争力の土台に」などと,それこそ土台からして話になりえない「異次元の混濁」を意図的に想像妊娠的に語りえていた。
通常の火力発電,石炭・石油・天然ガスを燃料に炊いて電力を生産させる方式であっても,原発とは違いが大きい。放射性物質を燃料に使用する発電方法は,それら化石燃料とは根本から性質を異ならせるし,こちらのすべての発電方式は,また別に再生可能エネルギーを利用する電力生産方式とも明確に区分される点は贅言を要しない。
火力発電には,化石燃料である石炭・石油・天然ガスを利用する方式があり,またこの火力発電には広義においていえば,ウラン燃料を炊く原子力発言も含む。これら火力発電はすべてを束ねての話,再生可能エネルギーの各発電方式とははっきりと区分される。
ところが,その付近の分類を間違いなくほどこしておくべき区分を,なにを意図的にでも勘違いしたのか,火力発電は「石炭・石油・天然ガスを燃料とする発電方式」であり,再生可能エネルギーは「太陽光や風力や水力や地熱による発電方式」であるが,
その区分のあいだに「原発(原子力)による発電方式」を,これが温暖化の原因となる炭酸ガスを排出しないと〈みなした観点〉に立ったつもりでなのか,再生可能エネルギーの「お仲間」に同列させるといった「完全に無理無体の,つまり非科学的な独自の解釈」を強引に押しつけていた。
以上の説明が間違いだと完全に反論し,排除できる識者がいたら,ぜひとも批判を返してほしいものである。ここでは「土台」から話題になっていた,そのそもそもの議論をしよう。
それらのどの発電方式であっても事故は起きる。風力発電の故障事故についてはつぎの2つの記事を紹介しておく。しかしながら,原発事故のその後において持続している長期間の混沌ぶりに比較してみたら,ずいぶんとその原因究明は明晰に分析・報告されている。
※-3「プーチンのロシア」が2022年2月24日,ウクライナ侵略戦争を始めたため,より明らかになった原発の危険性-現実的な議論-
1)『毎日新聞』2025年1月3日朝刊5面「国際」に掲載された記事の見出しが,「露,日韓攻撃リスト 原発など計160カ所標的」であった。この記事を画像にして紹介する。
2)『NHK』が報道した記事「英紙 “ロシア 日本と韓国の原発など攻撃対象リストを作成” 」2025年1月1日 8時40分,https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250101/k10014683781000.html を,つぎに引用する。
上記の記事について同じ『NHK』の別の記事がさらにつぎのように報道していたが,ここでは『時事通信』から「同文になる記事」から一部分を引用しておく。
「ロシア,日韓攻撃対象リストを作成 奥尻島基地,関門トンネルなど―英紙」『時事通信』(外信部)2025年1月1日 07時22分,https://www.jiji.com/jc/article?k=2025010100140&g=pol は,このようにも報じていた。
3) ところで,茨城県東海村に建造された日本原子力発電・東海第2原発の位置は,正確に観ると,どこに立地しているのか?
東京駅からの直線距離は110数キロしか離れておらず,しかもその半径30キロ圏内に96万人が暮らしている。もしもである,この原発にミサイルが撃ちこまれして大爆発を起こしたりしたら,そのときは,風向きにもよると東京都心と周辺地域は,完全にアウトである。
岸田文雄政権のとき,米帝国主義国家体制のためであれば軍事費(防衛費)を2倍(GHQ比率で2%)に増やすと,安倍晋三が首相であった時期にトランプに約束した「アメリカへの大判振る舞い」的な予算設定を受けてだが,勝手に決めていた。
しかしながら,それでもって日本全国に散在する原発を,仮りに「非常事態になったさい」,某国から狙われたらきちんと守りきれるというのか? あるいは,アメリカインド太平洋軍(在日米軍?)がそういった深刻な事態の発生に対処して,必らずなにか行動してくれると期待しているのか?
それでも『日本経済新聞』2024年12月18日朝刊1面(ただし「早刷り」)の冒頭記事として掲載・報道されたのが,つぎにかかげる新聞記事の画像資料であった。つづけて,同日の同じ朝刊の3面の記事もかかげておくが,こちらは「最終刷りの3面」(電子版)になっている。
しかも,早刷りでは1面から消した(事後そう変更しておいた)記事を圧縮した体裁で,こちらの最終刷りの3面の右上部分に移動し,配置させるかたちにして,つまり無理矢理に突っこんでいた。
こちらの紙面(3面)でいうと,右上の部分に上下に細く配置されていた「原発・再エネ『最大限活用』時期エネ計画案」(♯)という見出しの「記事部分」は,どうしても無理な変更をしていた結果があったのか,少し奇妙な記事の割り付けになっていた。
この3面の記事として出す結果になる操作していたけれども,それは「最終刷り」(電子版として公開される版)において必要となった始末なのであって,「早刷り」版のほうでは1面において,前段で紹介した(青っぽい色調となった)画像のように,しかもこの12月18日朝刊の冒頭記事に位置づけて報道したのだから,かなり奇妙な印象を与えた「早刷り」版から「最終刷り」版への「紙面の変更があった」ことになる。
「原発・再エネ『最大限活用』時期エネ計画案」という標語みたいな文句は,前後する日に発行された『日本経済新聞』2024年12月13日朝刊の記事のなかでも,重宝された表現であったと推察してもよい。
本日の記述をさらに続けたいが,準備している材料が多めであったため,そのまま以下に連結するとまたもや長文になるので,ひとまずここで終わりにする。
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【付記】 「本稿(前編)」の続き中編は以下のリンク先住所である。
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