terasawa55

はじめまして。インスタで古典、近代小説、哲学書、美学の本を投稿していますが、このnot…

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はじめまして。インスタで古典、近代小説、哲学書、美学の本を投稿していますが、このnoteでは、将来的には、作家のベスト3や、アメリカ文学書のベスト3など、私の個人的主観で投稿したいと思っています。 今は投稿数を増やすため、一冊ずつです。よろしくお願いします。

最近の記事

「悪魔の辞典」を読んで

日本の期待される新人に与えられる芥川賞、その賞の名前になっている、芥川 龍之介の作品、「侏儒(しゅじゅ)の言葉」は、この「悪魔の辞典」にインスパイアされて書かれたそうです。 ビアスは鮮やかな結末、最後の一行で、全てがあきらかになる、そんな物語を書いた作家だった。そしてビアスが、結末を書かなかったのは、自分の人生の物語だけだった。旅に出て、国境を超えて、行方不明になって、ビアスは人生を終えた。 芥川 龍之介は、私が好きな作家ですが、蜘蛛の糸など、ストーリーは民話、外国の作品から

    • 「文学とは何か」を読んで

      加藤周一さんは、1919年に生まれ、東京大学医学部を卒業し、1951年に留学生として1951年に渡仏し、医学研究のかたわら西欧各国の文化を摂取、日本文化の特徴を示唆し、文明批評、文学、思想、社会学などで多彩な分野で文筆活動を展開しました。2008年に逝去されてます。 目次をみると次のようになってます。 文学とは何であるか 一 客観的な方法 二 作家の体験 三 言葉による表現 四 文学の前提 何が美しいかということ 一 美の感じ方の違い 二 日本的な美しさ 三 現代風俗 何が

      • 「空港にて」を読んで

        この本は村上龍さんの短篇集で、「コンビニにて」、「居酒屋にて」、「公園にて」、「カラオケルームにて」、「披露宴会場にて」、「クリスマス」、「駅前にて」、「空港にて」の八篇が収められています。 この本を読むと、海外に希望を持って、日本を出ていく人の描写が多いですが、あとがきを読んで納得しました。 「この短篇集に収められた作品は、幻冬舎編集の留学情報誌のために書き始めた。雑誌の性格上、留学のために海外に出て行く人物を主人公にした。わたしは、居酒屋や公園やコンビニなど、日本のどこ

        • 「空間の日本文化」を読んで

          この本は日本の空間論についての本です。著者のオギュスタン・ベルクさんは、パリ大学の博士号を取得し、風土学の領域を開拓し、独自の画期的な理論を構築するとともに、フランス日本学に新次元をもたらした第一人者です。 目次を見ると次のようになっています。 Ⅰ 環境に置かれた主体 空間の精神的組織化  1 主体は適応可能である。   ・音の知覚   ・知覚されたものの言語化   ・・・・・・・ 2 象徴は有効である   ・空間にリズムを与える「間」   ・共存状態の設定「縁」   ・

        「悪魔の辞典」を読んで

          「職業としての小説家」を読んで

          この本はタイトル通り、村上春樹さんの小説家という職業について書かれている本で、目次を見ると次のようになっておます。 第一回 小説家は寛容な人種なのか 第二回 小説家になった頃 第三回 文学賞について 第四回 オリジナリティについて 第五回 さて、何を書けばいいのか 第六回 時間を味方につけるー長編小説を書くこと 第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み 第八回 学校について 第九回 どんな人物を登場させようか? 第十回 誰のために書くのか? 第十一回 海外に出て行く。新し

          「職業としての小説家」を読んで

          「ノルウェイの森」を読んで

          学生最後の年に、同じ研究室にいた友人から、「村上春樹の『ノルウェイの森』読んだ?」と聞かれ、「まだ読んでないよ、面白いの?」と言い、翌日、購入し読んだ。そしてビートルズの「ノルウェイの森」が入っているテープ?(CD?)も購入し、哀愁を感じながら読んだ記憶があります。 物語の概略だけは少し覚えていますが、ストーリーはほとんど忘れてしまいました。ちょっとレビューしてみました。 ドイツに向かう飛行機で37歳の主人公のワタナベが、ハンブルク空港に着陸したとき、飛行機の天井のスピーカ

          「ノルウェイの森」を読んで

          「ザ・ゴール」を読んで

          タイトル:ザ・ゴール 著者: エリヤフ・ゴールドラット この本はビジネス書ですが、物語のようになってます。 表紙の裏に次のように書いてます。 「アメリカ製造業の競争力を復活させた、TOC(制約条件の理論)の原典。 全米で250万部を超えるベストセラーを記録!日本で出版されると、世界経済が破滅してしまう!?これまで翻訳が許可されてなかった、いわくつきの一冊」と書いてます。 また物語を読んでいくと、読むに従って、自然とTOCの原理が頭に入ってきます。企業のゴール(目標)とは

          「ザ・ゴール」を読んで

          水上勉の「寺泊、わが風車」を読んで

          水上勉さんの本で一番、記憶、心の琴線に触れたのはこの本です。この短篇集には、「寺泊」、「太市」、「千太郎」、「棗」、「冬日帳」、「リヤカーを曵いて」、「山寺」、「踏切」、「雪みち」、「短い旅」、「わが風車」、「墨染」、「また、リヤカーを曵いて」、「ながるる水の」の14篇の短篇が収められています。 表紙の裏面に次のように書いてます。 「雪ふりしきる越後の漁船、・・・行きずりの(私)の眼に映った男女の情景に人生の断面を鮮烈に入り取り、川端康成賞を受賞した名編「寺泊」、幼女と妖女

          水上勉の「寺泊、わが風車」を読んで

          「稲盛和夫の哲学」を読んで

          色々なビジネス書が出版されてますが、ツール、手法、フレームワークなどを学んでも、最終的にはそれを使う人の問題になります。 稲盛和夫さんのこの本は、人間学、哲学などを基軸にしてビジネスを論じているのでとても興味深かった。 目次は次のようになってます。 1 人間の存在と生きる価値について 2 宇宙について 3 意識について 4 創造主について 5 欲望について 6 意識体と魂について 7 科学について 8 人間の本性について 9 自由について 10 若者の犯罪について 11

          「稲盛和夫の哲学」を読んで

          「細雪」を読んで

          この小説「細雪」は、学生時代に読んだ本です。もちろん谷崎潤一郎の代表作品であるし、日本を代表する小説の一つです。 物語の概略については、裏表紙に書いているのをまとめて書きます。 【細雪】(上) 「大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様のなかに、昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを、四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。三女の雪子は姉妹のうちで一番の美人なのだが、縁談がまとまらず、三十を過ぎていまだ独身でいる」 【細雪

          「細雪」を読んで

          「グッド・バイ」を読んで

            この本は短篇集で、太宰治作品のなかで読んで無かった本で、最近購入して読んだ本です。 目次は次のようになっています。 ・薄明 ・苦悩の年鑑 ・十五年間 ・たずねびと ・男女同権 ・冬の花火 ・春の枯葉 ・メリイクリスマス ・フォスフォレッセンス ・朝 ・饗応夫人 ・美男子と煙草 ・眉山 ・女類 ・渡り鳥 ・グッド・バイ 太宰 治の生家は、私の実家から二時間かからない場所にあり、太宰治が泊まった宿は、車で三分ぐらいの場所です。 同郷のためか、作品を読むと引きづられそうに

          「グッド・バイ」を読んで

          「夢幻のなか」を読んで

          立原 正秋の作品が好きで読んでいましたが、引っ越ししたとき、どこに片付けたか分からなくなり、探すことができませんでした。しかし、この前ダンボールの片付けをしていたら立原正秋の作品のほぼ全集がでてきました。今日はそのうちの一冊、「夢幻のなか」と言うエッセイ集を紹介します。 この本はエッセイ集になってます。 Ⅰ わが風景の構図  ・春の雪のなかを  ・山桜のなかを  ・蝉しぐれのなかを  ・紅葉のなかを Ⅱ 書斎の周辺  ・すだちの秋  ・唐招提寺の月  ・蕎麦汁の味  ・水

          「夢幻のなか」を読んで

          「美学辞典」について

          この本を創作するに於いて著者は、序文で次のように書いてます。 「あるとき美学の教科書を書かないかという依頼を受けた。しかし、当初はまったく意欲を覚えなかった。授業の際に自分で教科書を使ったことがないので、その必要性や有用性を理解することができなかった。・・・教科書という客観性と美学という学問の性質とをどのように調停するか難問と思われた。・・・ 客観的な知識と主観的な意見や思想とを区別して呈示し、美学という学問の全体像については、自由な構成できる余地を残すことにした」 目次

          「美学辞典」について

          「日本的感性」を読んで

          この本の裏帯に次のように書いてます。 「花の好みに現れるように、日本人には西洋人とは違う感じ方がある。『おもかげ』、『なごり』、『なつかしさ』など、日本人にとってそのものに『詩』を感じる言葉がある。〈世界〉が〈われ〉のなかでどのように響き合うのか。それが感性であるならば、その多くは文化的な環境のなかで育まれ、個々の文化に固有の感性が生まれるだろう。本書は、日本的感性を和歌を素材として考察し、その特性である『ずらし』と『触覚性』を明らかにする」 カントが主観的普遍性という言葉

          「日本的感性」を読んで

          「八甲田山死の彷徨」を読んで

          この本の裏表紙に次のように書いてます。「日露戦争前夜、激寒の八甲田山中デ過酷な人体実験が強いられた。神田大尉が率いる青森隊は、雪中で進退を協議しているとき、大体調が突然「前進」の命令を下し、指揮系統の混乱から、ついに199名の死者を出す。少数精鋭の徳島大尉が率いる弘前隊は、210km、11日間にわたる全行程を完全に踏破する。2隊を対比して、自然と人間の戦いを迫真の筆に描く長編小説」 この本はchobbyさんもコメントで書いているように、新田次郎の代表作と言ってもいい作品だと

          「八甲田山死の彷徨」を読んで

          「立原道造の夢みた建築」を読んで

          建築家、詩人である立原道造は、次のような詩を残してます。 「われら 天に飛ぶ鳥なり イオニアの紋ある列柱に羽根やすめ 高らかにうたひなむ  われら おごりたかきさすらひの武士」 立原のうたった建築は、かつての栄華が刻まれながら、廃墟となった今もなおそこに無言で立ち続けてます。 丹下健三、菊竹清訓、黒川紀章などのメタボリズムを標榜する建築家がビックプロジェクトを抱え、日本の都市化推進を果たした。一方、立原道造は、自然と一体になり、自然と融合した、「田園的建築観」、田園的な

          「立原道造の夢みた建築」を読んで