全ビジネスパーソンに届け!『社長の言葉はなぜ届かないのか?』
すごくすごく楽しみにしていた本が発売になりました。
昨日はこの本を読みたいがために有休をとった みさと です。
おはようございます。
本を読み終わっての思考の束を書き散らしてみようと思います。
編集者について考える
顧問編集者という定義
前作『書くのがしんどい』を読んで著者の竹村さんを知り、Xをフォローしてその後の活動を影から拝見。「顧問編集者」という職の定義が気になっていました。
私は過去にいわゆる編集者をやっていたことがあります。本や雑誌ではない特殊なものを扱う編集者だったので、一般的に想起される編集者とは違うと思いますが、編集者は編集者。”人にコンテンツを届ける”ということを生業としていました。
その編集者を辞めて今はとある自治体に入り込んで仕事をしています。仕事を知っていくうちに、この組織に必要なのは編集力だと思い、それを武器に仕事をしてきたつもりです。情報のとり方、人へのアプローチ方法、言葉の裏に潜むものを掴んでテキストにする能力、その他たくさんの知識と発想力が大いに役に立っているのを感じています。
そんな日々で出会った【顧問編集者】という定義。
著者の竹村さんの会社「株式会社WORDS」のサイトを開くと
社長の隣に、編集者を。
こんなフレーズが出てきます。
これだよ、これ。射抜かれました。
私は自分の経営者(=ボス)と直接やり取りする機会はそんなに多くはないですが、何度か議論やインタビューをしたことがあるのでボスの人柄は多少なりともわかっているつもりです。普段は、そのボスの想いや指示を私の上司にあたる方が預かってきて、その指示を受けて我々は動きます。でも、「ボスがこう言っていたからこの資料ほしいんだけど」と言われたとき、違和感を感じることが多々あって戸惑うのです。本当にボスはそんな指示出したか?あの人がそんなこと言うか?と疑問に思うことがちらほら。ボスがこう言った、というその言葉自体を直接的に捉えすぎて、その言外の意味に気づいてないんじゃないの?ちゃんと「それはこういうことですか?」と深堀できていないんじゃないの?
ちなみに結局トンチンカンな資料を出してしまって「そこまでやれなんて言ってない」とか言われてしまうこともあります。上司が怒られるわけですが、遠くで見ている身としては、ちゃんと聞けてないからボスの言葉が部下に届いていない、もったいない。と思っています。
いまこそ、社長の隣に、編集者を。
そうだよ、下手するとこぼれおちてしまうボスの想いを外に届けるには編集者が必要だよ。
編集者の価値は客観性
編集者という言葉はその定義がとても広いよなと思ってきました。編集者ってなに?どういう人?何をする人?と考えると難しいけれど、本の中に「編集者の価値」を語った部分があり、納得。
何かを引き出すにはまず興味を持つことが大事だと思っています。でもその興味ってのはちょっと厄介で、興味を持てば持つほど客観性を保てなくなる。のめり込んでいってもいいけど、冷静にならなければ道を誤ることは多いと。だから常に、「自分の発言を外から見守りジャッジする、もう一人の自分」を頭に置いておくことにしています。
これが客観性なんだな。
うまく言語化してくださって、スッと納得できた。
で、これはある種の特殊スキルなんだ、ということにも気づけました。
『社長の言葉はなぜ届かないのか?』を読んで
情報を発信するのではなく、コンテンツを発信する
私もいま、間接的にですがボスの言葉を届ける仕事をしています。やっていく中で、これはボス本人が語ったほうがいいのではないか、と思う場面は多く、インタビュー記事を作成してみたり、紙面にボスの想いのようなものを載せてみたり、いろいろやってはきました。でもやっぱり無機質な印象になってしまう。これはどうしたらよいのか。このうまくいかない感はどこからくるのか。
それが、この本を読んで解明されました。
ボス本人が語らないとダメなんですね。しかもただの情報を流すのではなく、コンテンツ=「何かしら心が動くもの」を。妙に納得しました。情報発信をしっかり!とたくさん言われてきましたが、それだけでは企業は見向きもされないんだな。
noteにいろんな企業の経営者の方々がアカウントを作っておられますが、たしかにその人たちの記事はおもしろいコンテンツが多いと感じています。企業としてのお知らせを垂れ流しするのではなく、そこには経営者の想いがのっかっているから、妙に親近感のわく記事になっていたりして興味深い。
こういうことなんだな、「届く」ってのは。
広報担当や事業担当のトップも読むべき本
この本の中でも「第4章 企業のためのコンテンツ制作入門」はもっともページ数の多い章になっています。
どういうことを書いたらいいのか、ビジョンを語るにはこういう工夫が必要だ、ネタ切れを防ぐ方法などなど、至れり尽くせりの内容です。この章だけで全5回シリーズくらいのオンラインセミナーで集客できるんじゃないだろうか。
うちのボスも例にたがわず忙しい方です。ご本人が自分で語るのはなかなか難しいかもしれないと思います。そこで出番なのが、広報担当や事業担当なんじゃないかな?外に発信する材料をボスにもらいにいく。ボスを取材しまくれば、もうちょいボスの言葉は届くんじゃないだろうか。そもそものこちらのスタンスを変えないといけないのではないだろうか。
ボスを理解して、きちんと想いをくみ取って、人間臭いエピソードなんかも加えて発信してみたらどんな反応になるのか、やってみたいと思ってしまう。
いざやってみたいと思ったとき、普通は「どうやったらいいのかわからない」となると思うのですが、この本「第4章」は本当によくできたノウハウが詰まっていました。いいからとりあえずこれを信じて、第4章最初から最後まで真面目にやってみたら、なにか化学反応が起こるのでは?!
まずは広報部門にこの本広めたいです。
経費で買えないだろうか。お願いしてみる価値ありそう。
経営者自身の言葉で語る―私たちは推し企業になれるか
今はSNS全盛期で一個人でもどんどん情報を取りにいける時代です。たとえば無名のデザイナーさんがXで自分の思う「良いデザイン」を言葉にして投稿したとする。世間の目に触れるタッチポイントが増えてその方の信念や想い、世界観が広まっていったとする。すると「この人の考え面白いな」「こんな風に考える人ってどんな人なんだろう」と興味がわいてきます。興味がわくと調べようとするのが人間の性。その人自身の言葉で綴られたものに触れられると、人柄が見えてくるし、共感できる空気感があるのなら自然とファンになっていくはずです。
企業もこれと同じ。
企業が語るのではなく、その企業のなんとかさんや、企業の象徴である経営者が語る言葉には人間味があるはずです。私は、Xの企業アカウントにはそんなに惹かれないけどnoteのそれは大好きです。noteの企業アカウントには書き手が「〇〇会社」ではなく「〇〇会社 △△部 氏名」となっている記事がたくさんあるからです。もっとすごいのが「氏名|〇〇会社代表取締役」のアカウントですけどね。まさに『社長の言葉はなぜ届かないのか?』で竹村さんがずっとずっと主張されている「経営者の直接の言葉は大きな影響力がある」ことをわかっている方たちの行動なんだろうなと思います。
経営者のnoteアカウント=生き方の知恵の集合体な気がします。
こうやって経営者自ら語るものに触れると、直接お会いしたことなどないのにその人の人柄が見えてきます。日常でどんなことに目が向く人なのか、何が好きで何を鬱陶しいと感じるのか、仕事ってどんなものだととらえているのか、などなど。うわべだけの無機質な言葉ではなく、人情のある生きたセリフだからこそ、「この人、気になるな」となるわけです。
気になっちゃったらもう、その企業のことはこちらの頭にインプットされますね。もっと知っていってさらに興味がわけば会社のことも調べ、就職活動している方はその企業の転職サイトを覗き…となるかもしれません。
知らないと何も評価できないし、知っていても上辺だけの情報はちょっと疑う。だけど生きた言葉によって語られたものには血が通う。情感のこもったものに人の心は動く。
経営者自身の変に作りこまれていない言葉を、経営者自身が発信することでファンを拡大できたら。採用すら変わるのでしょう。企業側が評価される時代なんだから、こちらを見てほしい方たちの「推し」にならなきゃいけないんですね。
経営者の言葉がより届くようになることを本気で願うその覚悟に拍手
今日のこのnoteには引用をたくさん載せました。
これには理由が。
この本の「はじめに」にあったものがこちら↓↓
想いがひしひしと伝わってくる「お願い」ですね。
著者の竹村さんも出版社の総合法令出版も懐が深い・・・!
これはぜひ貢献せねば!との思いで今日のnoteを書かせていただいたのでした。
ちょっとでも気になった方はぜひ手にとってみてください。この書籍タイトルに何か感じ取るものがあった人ならばきっと「こうすればよかったのか!」と背中を押してもらえる一冊になるはず。
本気でおすすめです。
担当編集の市川さんのこちらのnote、制作秘話載ってて面白いですよー!
ブクログにも感想書きました📝