モヤモヤ…もやもや…する! 神様ゲーム 読書感想
あらすじ
小学4年生の主人公が住む街で連続猫殺害事件が起きる。
主人公達少年探偵団は犯人探しを始めたが、
そんな時転校してきたばかりのクラスメイト”鈴木くん”が
自称神を名乗り始め、猫殺しの犯人を言い当てる。
はたして鈴木くんは本当に神様なのか。
それ以外にも色々と事件が勃発し、、、
感想
ジュブナイル向けに書かれた作品なので、
200ページ程度の物語で、平易な文体で書かれていることもあり
すらすらと読める。
ただ色々な所で書かれているが、後味がすごく悪い。
全然青春していない。
イヤミス好きにはオススメかもしれない。
駄文と愚考(ネタバレ注意)
思いっきりネタバレから書いてしまう。
主人公は物語の肝の事件 親友殺害事件の共犯者が
父親だと推理し、その上で神様(鈴木くん)に天誅をお願いする。
しかし実際に天誅を受けたのは主人公の母親だったというオチ。
ただ母親が共犯者だったという確証は提示されないまま物語は終わる。
え、父親じゃないの?
父親が共犯者の方が矛盾無くない?
そう思った。たぶん読者全員が思われたのではないか。
なんかこういう作品読んだな
なんていうんだっけな
と思い調べると”リドル・ストーリー”というジャンル? らしい。
物語中の謎の明確な答えを読者に与えないまま終わる物語
そこで既視感がわかった。芥川龍之介の”藪の中”だ。
”藪の中”という作品は、ある殺人事件の証人数名による語りのみで物語が進む。
しかし出てくる証人の全員が、所々一致しない証言をする。
結局、物語内で明確な答えは出ずに終わってしまう。
最初”藪の中”を読んだ時は、
最後、降霊術で実際の被害者の言葉を聞く場面で、
被害者は自分で刃物で自殺した と語るので
答えは自殺で決定じゃないか と思ったものだ。
ただ、これは本当に降霊術で被害者が乗り移っていると信じた場合で、
本当は降霊術なんてできていなくて、
ただの降霊術ババアの適当証言かもしれない
ということも考えられ、じゃあ結局真実はなに?となる。
この”神様ゲーム”も”藪の中”と一緒で
鈴木くんを神様だと信じるならば母親が共犯者ということになる。
だが、鈴木くんが神様だという確証はなく、
神様ではない可能性もあり(現実的に考えるなら神様な訳ないわけで)
そうすると父親が共犯者だ という方が納得がいく。
降霊術を信じるのか
鈴木くんは神様と信じるのか
どちらを選ぶかは読者に任され、
どちらを選ぶかで物語が変わってくる。
こんなの読者に丸投げで不誠実。
明確な答えをくれ
と思う方もいると思う。
ただ私はこのような形式とても好みです。
本当の答えは一生わからないけれど、
言い方を変えると一生味わい続けることができる物語
とも言えるだろう。
実際、一時期”藪の中”のことばかり考えていたことを思い出した。
味のなくならないスルメを考えたが、
さっきまで私が”藪の中”を忘れていたように
どうしても興味は無くなっていくわけで、
そうなっても答えのわからない物語は
味のなくならないというよりは
飲み込むことが一生できないスルメ
なのかもしれない。
ガムじゃん
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