ダイエットと、三日坊主の私　第５話

《前回までのあらすじ》
　45歳、体重増加に悩む会社員・田中真美は、最後の砦と信じてダイエット専門の習慣化パーソナルトレーナー・佐藤直樹と出会う。
　真美は佐藤のアドバイスに従い、計画を立てること、そして、必ず自分を褒めることを実践することにした。

▼ 前回の話はコチラ。

持続可能な目標設定

　また一週間が過ぎ、真美は再びカフェに向かった。彼女は前回の佐藤のアドバイスに従い、忙しい日には5分間のストレッチや深呼吸を取り入れるよう努めた。結果として、全ての日に何かしらの活動を続けることができ、少しずつ自信がついてきた。しかし、彼女の中には依然として「これで本当にダイエットが成功するのか」という疑念が残っていた。
　
　一方、体重は不思議と、少しずつではあるが減ってきているのは事実だった。佐藤からは、体重よりも、体脂肪の重さが大切だ、ということを繰り返し伝えられていたが、どうしても体脂肪率よりも体重が気になる。日々増減を繰り返す体重の変化に、真美はもどかしさを感じていた。

　佐藤は先にカフェに到着しており、いつものように笑顔で真美に挨拶をした。「こんにちは、田中さん。先週はどうでしたか？」

「おかげさまで、忙しい日でも何かしらの運動を続けることができました。でも、正直なところ、これで本当に効果があるのか心配です。」真美は率直に打ち明けた。

「その気持ちもよくわかります。今日はその疑念を解消するために、持続可能な目標設定について話しましょう。」佐藤は優しく答えた。

「持続可能な目標設定ですか？」真美は少し興味を持ちつつも、半信半疑で尋ねた。

「そうです。ダイエットに限らず、どんな目標でも持続可能でなければ意味がありません。無理な計画は一時的に効果があっても、長続きしないものです。今日は、あなたが続けられる現実的な目標を一緒に考えていきましょう。」佐藤は具体的な説明を続けた。

「なるほど…どうやって持続可能な目標を設定すればいいのでしょうか？」真美は少し前向きな気持ちで尋ねた。

「まず、目標を具体的かつ測定可能にすることが重要です。例えば、『体重を減らす』という目標では漠然としすぎていますが、『3ヶ月で3キロ減らす』というように具体的な数字を設定すると、達成度がわかりやすくなります。」佐藤は続けた。

「3ヶ月で3キロですか…。それなら無理なくできそうです。」真美は少し安心したように答えた。

「そうですね。そして、その大きな目標を達成するために、週ごとの小さな目標を設定しましょう。例えば、週に0.25キロずつ減らすことを目指すと、3ヶ月で3キロに到達します。そのために、毎日の食事や運動を少しずつ調整していきます。」佐藤は具体的なプランを示した。

「週に0.25キロずつ…それなら少しずつ進められそうです。でも、どうやって食事や運動を調整すればいいのですか？」真美はさらに詳しく尋ねた。

「まずは、食事の記録をつけてみましょう。何をどれだけ食べたかを記録することで、自分の食生活を見直すことができます。そして、カロリーの摂取量を目標摂取量に近付け、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。」山田は説明を続けた。

「食事の記録ですね。それは難しそうですが、やってみます。」真美は少し不安げに答えた。

「最初は慣れないかもしれませんが、続けることで自分の食生活に対する意識が高まります。また、無理なダイエットではなく、栄養バランスを考えた食事を摂ることが重要です。食事は楽しみながら健康的に取り入れましょう。」佐藤は励ましの言葉を添えた。

「わかりました。そして、運動の方はどうすればいいでしょうか？」真美は続けて尋ねた。

「運動も持続可能な形で取り入れることが大切です。無理に毎日長時間の運動をする必要はありません。先週のように、忙しい日には5分間のストレッチや深呼吸を続け、余裕のある日には少し長めのウォーキングや軽い筋トレを取り入れると良いでしょう。」佐藤は具体的な運動プランを示した。

「少しずつ取り入れていくのですね。確かに、それなら続けられそうです。」真美は納得したように答えた。

「その通りです。そして、重要なのは、自分のペースで無理なく続けることです。毎日の小さな努力が積み重なって、大きな成果を生み出します。焦らずに、一歩一歩進んでいきましょう。」佐藤は優しく励ました。

「わかりました。毎日の小さな努力を続けていきます。」真美は前向きな気持ちを持って答えた。

「それでは、今週の目標を設定しましょう。まずは、毎日食事の記録をつけること。そして、忙しい日には5分間のストレッチや深呼吸を、余裕のある日には10分間のウォーキングや軽い筋トレを行うことを目標にしましょう。」山田は具体的な目標を提案した。

「はい、その目標に従って頑張ってみます。」真美は力強く答えた。

「素晴らしいです。また来週お会いして、どのように感じたかを一緒に振り返りましょう。そして、さらに効果的な方法を一緒に見つけていきましょう。」佐藤は励ましの言葉を添えた。

　真美はカフェを出るとき、心の中に新たな決意と希望を感じていた。山田のアドバイスに従い、自分自身を少しずつ変えていくことで、本当に目標に近づけるのだと確信した。彼女のダイエットの旅は、今後長く続けられるような形で進んでいくのだった。