ほきくんのリハビリ記録56 いよいよ
<脊髄小脳変性症>を患っていて、身体がほとんど動かなくなりました。
身体もほとんど動かなくなってしまったので、仕事を・・・辞めました。
それから1年半
特別にやることもないので、
毎日朝から晩までリハビリリハビリリハビリ・・・
ある日
<ゲストティーチャー>をやってみませんか。
という依頼を受けました。
<講演>ではなく、自分の経験が生かせそうな
<ゲストティーチャータイム>を構想してみました。
その構想はぼんやりとしていて曖昧な箇所もあります。
その構想を、具体的な<授業シナリオ>にしていました。
今号は<後編>です。
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【ゲストティーチャーシナリオ】後編
【質問2の前に・・・】
<Aのバリアフリー>は<具体的なバリアフリー>と言います。
いい部分は、はっきり見えて、多くの人が使いやすい。。
ただ、それらを整備するにはお金と時間がかかります。悪い部分と言っていいかもしれない。ね。4年生だけで整備するのは難しいかも。
<Bのバリアフリー>を正しく言うと、<心のバリアフリー>と言います。
車椅子を使っていたり困っていたりしそうな人に、
「声をかける」のが<心のバリアフリー>です。ということは誰でも使えるのがいい点。
ただ、目には見えなくて少しわかり辛い、というのが悪い点かな。
<パワポ7・・・7秒の間>
みんなが調べた<点字ブロック>はA?B?
さっき紹介した<すきまフリー>は?
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では次の問題です。
【質問2】
Bのバリアフリーのことを正しく言うと何だったけ?
<心のバリアフリー>でした。
どんなことが<心のバリアフリー>なんだっけ。
声を掛けることが<心のバリアフリー>でしたね。
声をかけてもらうと
病気や怪我などでみんなと同じ動作が出来なくても、
あなたは私と何も変わらない。
というメッセージのようなものが伝わってくるんだ。
病気の私と元気なあなたとの間の壁、
つまりバリアがフリーになる印象を受けます。
だから声掛けが<心のバリアフリー>なんです。
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みんなだったらどんな声を掛けますか?
<パワポ>
~2回繰り返す・制限時間3分・・・~
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【質問3の前に・・・】
どんな「声掛け」ができそうかを考えてもらいました。
では何人かに発表してもらうよ。
発表してもらった中に「おはようございます。」っていう挨拶もありました。
そこで○×クイズです。
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【質問3】
(「こんにちは」などの挨拶も立派な声掛け、つまり<心のバリアフリー>である。)
○か×か?
マルは手をグー、✕はチョキ シンキングタイム10秒・・・
どうして○?
どうして✕?
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【質問4の前に・・・】
答えは○です。
これはほき君の体験なんだけど、<挨拶>をしてもらえると
病気や怪我などでみんなと同じ動作が出来なくても、あなたは私と何も変わらない。
というメッセージのようなものが伝わってきたんだ。
病気の私と元気なあなたとの間の壁、つまりバリアがフリーになる印象を受けます。
だから、挨拶は<心のバリアフリー>なんです。
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次の問題を出す前に、こんな<声掛け>もあるんだよっていうエピソードを紹介します。
みんなは<車椅子>とか<歩行器>をよぉく観たことある?
ほきくんはほとんど歩けないから、
歩くのを助けてくれる<歩行器>という福祉道具を使っています。
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さっき聞いた時には<福祉道具>をじっくりと観たことがある人はいなかったね。
でもこの間
ほきくんが<<歩行器>を使って外を散歩してる時に、あるおっちゃんとすれ違いました。
すれ違う時、おっちゃんは足を数秒止めて何かをじっと見ています。
ほきくんの<歩行器>です。
そしてほきくんに声をかけました。
「あんちゃんの歩行器、かっこいいなぁ。」
「オレもじいさんになったら、そういうかっこいい<歩行器>使うよ。」
どうしてなのかな。
そんな風に声をかけられて・・・なんかうれしくなりました。
病気のほきくんと元気なおっちゃんの間のバリアがフリーになった感じがしました。
ということは、このおっちゃんの声掛けも!?
そう、<心のバリアフリー>だったんだね。
<パワポ9>
おっちゃんの何気ない一言も私にとっては大きな<心のバリアフリー>で
私は大変勇気づけられました。
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用事があって外に出ないといけないとき、大きな不安に襲われます。
電車の乗降はできるかな!?段差に足を引っかけて転んだらどうしよう。
そんな不安な気持ちも、「おはよう」などの挨拶を聞くと少し消えます。
挨拶をしてもらえると
「大丈夫。困っているときにはいつでも手を貸すからね。」
と言われてる気になります。
どんな<声掛け>でもありがたいです。
勇気が出てきます。
さぁ次の問題です。
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ある日Aくんという小学生が、新宿に用事ができたので電車に乗りました。
そんなに混んではいなかったけど、あいてる席はありません。
ベンチのはじっこで座っていた人がげしゃしたので、
ラッキーなことに座ることができました。
立っている人は数人、そのうちの一人は、ほきくんみたいに、<歩行器>を使ってます。
そんな時、みんなだったらどうする?
うん、みんなは<席をゆずる>だろうね。
でもね、みんなやAくんに気をつけてもらいたいことがあるんだ。
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【質問4(クイズ)】
困っている人に声を掛けるときに気をつけてほしいことを次の2つから選ぼう?
<パワポ10>
A:~に困っているはずだから、そこを助けてあげよう。
と自分だけで判断して、援助をする。
B:どんなことを手伝えばいいの?
その人の希望を聞いてから、希望通りの援助をする。
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答えを言う前に、またほきくんの体験を話すね。
歩行器や車いすを使っている人の多くは、
みなさんのように素早く<電車の乗降>ができません。
歩行器を使っているほきくんもそうです。
降りたいけど間に合わなくて、
電車のドアが閉まってしまったということも何度かありました。
これまで、
私が電車内で立っていると、ほぼ全ての方が席を譲ってくれました。
でも時々
電車から下車するときにばたばたしたくないので、あえて、
立っていたいときもあるんです。
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ある日電車を使って散歩してると、1人の若者が座っていました。
その若者が私に声をかけてきました。
「座りますか?それとも、立っていたままの方がいいですか?」<パワポ10>
若者は「私の希望」を聞いてくれたのです。
「希望」を聞いてもらえないと、自分は人形!?、と少し寂しい気持ちになります。
「希望」を聞いてもらえると、私も、「健常」な人と同じ、一人の人間なんだ!!、
と勇気づけられます。<パワポ13>
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<心のバリアフリー>って、
病気や怪我などで困っている人を<勇気づける>ことなのかもしれません。<パワポ14>
ほきくんからの宿題です。
2つのうち、1つを実践してみてください。
ⅰ:声かけることの大切さを家族の誰かに教えてください。
ⅱ:困っている人を見かけたら、まずは挨拶をしてみてください。<パワポ15>
前田先生に<みんなの授業に参加しませんか。>っていう依頼をもらって1か月。
この1か月、どきどきわくわくが止まらなくて、よく眠れませんでした。
今日は本当に楽しかったです。」ありがとうございました。
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前号今号で<ゲストティーチャーシナリオ>を読んでいただきました。
緊張しながらも、冷静に、<ゲストティーチャー>の役目を全うできそうです。
シナリオ通りに<ゲストティーチャーの20分>流すことができたら、
M小学校の4年生の子どもたちやその担任の先生方にも
満足いただけるんじゃないかなと思っています。
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授業日が決まりました。
【12月05日(木)2時間目】
です。
いよいよ本番です。