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家の間取りから意図を推測する日
義実家の片付けの手伝い。
会館ではなく家で義母の葬儀をしたいと夫が決めた。義父のときは会館だったけど。
仏壇の和室と続きの和室の二間。法事が執り行えるようにと間取りを作ってるんだな、と前々から思っていた。私の両親の田舎の家にもある昔ながらのあの間取り。
幾人かは来てくれるらしいので仏壇の部屋一間だけだと手狭だと思うけど、続きの和室は襖も取り外していないし端っこに雑多にものが残ってる。
夫に聞く。ここ、襖取って空けた方がいいんじゃない?
葬儀屋さんも空けた方がいいと言ってたらしいけれど、義姉によると、お坊さんの着替えや待機する場所がないから、襖を閉められるようにしてる、とのこと。
ふむ。
確かに、リビングとダイニングは広々し過ぎてるし仕切りドアも曇りガラスで着替えてもらうのは難しい。田舎の家みたいな縁側もない。でもこの家、ちゃんとしたハウスメーカーに建ててもらってる。間取りのノウハウがきっと詰まってるのに、二間使えない間取りなんだろうか……?
もし、設計した人が、法事の際に来た人がちょっと着替えることを想像してたら、どこ……??
あ!!
そうそう、そうだよ。やけに広いクローゼット兼納戸的なスペースが1階のど真ん中にあるんだよね。今はものがいっぱいだけど、床に置いてるもの全部運び出したら、余裕で着替えられる広さじゃない?
玄関とも和室とも廊下で繋がっていて、プライベートスペースは通らずに済む配置。ああ、もう絶対ここだわ。
スペースをあけるために、2階へとりあえず荷物を運んで運んで。思ったより広々してる。椅子を置いて、ちょっとしたテーブルになる小さな棚を置いても、充分着替えることのできる広さ。
和室の雑多なものも2階に運んで、襖を外す。外すのが畳スレスレで、元々畳に敷いてたカバー?の上に葬儀屋さんが敷いて行った畳を覆うカバー?が干渉するので反対側にしか外せない。この寸法のギリギリな感じ、職人魂を感じるわ。襖はリビングと和室の間の壁のリビング側、きっとここだよねって壁に立てかける。やっぱりここだわ。
夫は、初めてここの襖外したのを見た、広い、と驚いてる。
もう、今の時代、もし親戚呼んで法事するならホテルやら会館でやるもんね。そもそも、もう集まらない時代だわ。私も田舎の家で法事してるの見たことない。父から、この襖を取り払ってここにずらーっとお膳を並べて会食したと聞いただけ。亡き祖母が料理などを取り仕切ってたらしき巨大な鍋が棚に残っているのを見て想像するだけだもの。時代は変化し続けてる。
残されたものを見て、推測することばかりだな。そんな寂しい気持ちで綺麗になった二間をみる。