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パン屋さんまで散歩するある晴れた晩秋

冬の気配がし始めた11月の晴れたお昼間。

だらけた何日かを過ごしたら無事やる気が出てきたの。今日はやる気みなぎりウォーキング。かねてからの野望であるパン屋さんを目的とした散歩決行日。

たまに散歩するお気に入りの小道の先にいつのまにかできていたパン屋さん。Googleマップで見る限り、ハード系メインの私好みど真ん中のお店。

おおよそ30分ちょい。この肌寒くなってきた晩秋にはぴったりの距離ではないか。リュックにサーモスの水筒を入れて出発する。


駅を通り抜けて南へ歩く。急に気温が下がった今日この頃。ビル横の道に冬の気配のする乾燥した風が通り抜ける。体が温まるまでもう少し。ぶるっと少し震えながら足早に歩く。

途中から住宅街の中の小道へ入っていく。歩行者用の小さなトンネルを抜けるとそこは両脇に木々が生い茂る緑豊かな小道。ここから物語が始まってしまいそうな美しさ。さっきまであんなに風が強くちょっと寂しい晩秋だったのに、急に目が覚めるよう。そよ風と明るい晴れ間。木漏れ日。秋の柔らかな日差し、葉っぱが煌めいて揺れている。今なら私、光合成できるかもってくらい緑に溶け込む。深呼吸。

紅葉。緑から黄色、そして赤へのグラデーション。端っこの落ち葉をわざと踏む。カサリカサリと楽しい。大きな丸いどんぐりが光ってる。見るたびに拾って帰りたくなるけど、昔、子どもと一緒に集めたどんぐりからゾウムシの幼虫がわんさか出てきて悲鳴をあげたのが忘れられないので見るだけに留める。

風が木の葉を奏でる。さやさや……さわさわさわ……ざあぁぁぁ……? 音を表現するのは難しい。こう聞いてると、『どっどどどどうどどどうどどどう』はかなりの強風と思われる。こんな表現を思いつくなんて、宮沢賢治の偉大さよ。


汗ばむこともなく到着する。最近よく歩くからか近く感じるわ。もうお昼前で空いている。店内、いい匂い。どれも美味しそう。せっかくなので、カンパーニュのサンドイッチ、ドライフルーツが入ったフリュイ、オリーブの入ったハード系のパンを購入する。ほんとは全種類買いたいくらい。また次回のためにとっておこう。


ふたたび、来た道を帰る。さっきいい場所見つけた。広めの公園、藤棚の下のベンチ。12時過ぎて誰もいない貸切の贅沢空間。これは、サンドイッチでお昼にすべきでしょう。ちょっと出るの遅くなったと思ったけど、私ナイスな判断よ。

サンドイッチは、めちゃくちゃおしゃれな味がした……。我が家の男性陣は絶対食べたがらない味。私は好きだ!!! 表面は歯ごたえあって中身はふわっとしてるカンパーニュ。しっとりとしたむね肉とベビーリーフ、ちょっとナッツが入ってる。味付け、これは異国の味! スパイス……なんだったっけ。本格的なカレーを作るときに使うスパイスの風味がする。クミン? いや、私の苦手なパクチーを一瞬感じたからコリアンダーなのかなぁ? 甘くないクリーム状の何か。これはわからずじまい。それと覚えのある酸っぱい味。お酢じゃなくて、この茶色、この味は、そうだ、バルサミコ酢だわ! なんだか謎解きしてる気分になる。美味し過ぎなくて美味しい。わかる? わかりやすくチーズ、ハム、マヨネーズやソース、揚げ物!とは一味違うしみじみとした美味しさというか。いやぁ、当たりのパン屋さんだ!

幸せな気持ちでテクテクと帰る。これ、大人の遠足。最高。

ヘッダーの写真は、フリュイをスライスして、魚焼きグリルで表面を30秒ほどカリッとしたものと、ルピシアさんのマスカット烏龍茶。帰ってからおやつにした。花はスーパーの298円(税抜き)の花束から落ちた花を小さいデュラレックスに。私こんなに毎日楽しく過ごしてていいのかしら。生きてて楽しい。ほんと、ありがたいことよ。

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