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ペン習字に没頭する時間は、人がいる中でのモバイルひとり空間

実家の帰省中も、ペン習字の時間は欠かさなかった。

両親とうちの家族と妹家族。さほど広くもない実家で常に人の気配がする。ひとり時間が必要な私はずっと人の気配がしていると、ふらっとスーパーに買い物に行ったり散歩に行ったり何かしら自分用の時間を確保したくなるものだけど。

ペン習字に没頭する時間は、その代わりになってるような気がした。字が私と向き合う時間。シュッと周りの音が遠のいて、話しかけられて聞こえてて答えているけれど、私はここにひとりある。横に並べたお手本の字をよく見て、同じ字になるよう集中して手を動かす。

万年筆エラボーのペン先がトレーシングペーパーの表面をサリサリと撫でる感触。プラチナインクのブルーブラックの美しい色。2枚だけ、せいぜい10分15分の時間だけれど、心が落ち着く。

ジャーナリングは、なんだか見られるのは恥ずかしいからあまりできないのだけれど、ペン習字はいい。A4の下敷きとB5のトレーシングペーパー、お手本をテーブルの上に広げて。誰に見られたって構わない。私、字を書くのが好きだわ。

ざわついていた私の心は静かな湖面のよう。

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