パイロットの廉価な鉄ペン万年筆4種を比較する
勢いよく万年筆沼に引き摺り込まれて……。
パイロットのリーズナブルな鉄ペン万年筆。カクノとライティブとコクーンを所有していることは何度か記事にしているのだけれど。
つい、プレラにも手を出してしまったのです。ああ……! 茶色がね、好きなんですよね。
所有していないパイロット鉄ペンは、ペン習字ペン、デスクペン、カヴァリエ、カスタムNS、キャップレスとなっております。いずれ買ってしまうかもしれない(不吉な予感)
私は金ペンは2本だけ所有しています。エリート95sとエラボー。エラボーはちょっと特殊なので除外ですが、エリート95sのF字と鉄ペンのF字を比べると、金ペンは柔らかめでしなりやすくインクが出やすく少し字幅が太め。力のかけ具合で筆で書いたような字幅の増減が見られます。書き心地はするするぬるぬる。一方、鉄ペンは硬めで字幅は細め。少々の力でも字幅に変化は少なく、細かいものを書くのにも向いている。書き心地はややカリカリ。でも値段差ほどの書き心地の差はないなとも思っています。どっちも力をあまり入れずに書くのに向いている。値段差は見た目の差、所有欲を満たす部分に大きくかかってそう。金も高いですしね。
古い時代、インクが酸性だったので、鉄ニブは弱くて金ニブが重宝されたと推察される。今の鉄ニブはステンレスなのと、一部のインク以外は酸性ではないので大丈夫みたい。メッキを施された鉄ニブだけ、クラシックインクは避けたほうがいいらしい。
ま、要するに書くだけなら鉄ペンで充分だと私は思いますよってこと。
パイロットの鉄ペン4種を買ってみて思ったのは、それぞれの個性があるなぁということ。こんなシチュエーションならこの万年筆だなっというのが見えてきたので、私なりに比較してみたいと思います。
価格は2024年11月時点です。値上げから間もないため楽天ショップやYahoo!ショップにはまだ前の値段のものも多そう(コクーン)
カクノ
定価1100円。実勢価格800〜900円。11g〜16g。最大径φ 16.0mm。全長131mm。
メリット
大容量(1.1ml)のコンバーター、con-70nが使える
透明軸を選べばインク残量が見える
色の種類が多く好みに合わせられる
極細EFが選べる(残りは細Fと中M)
この中では一番リーズナブル!
デメリット
キャップにクリップがない(転がらないように?小さな出っ張りはある)
キャップに空気穴があるためインクが乾きやすい(誤飲の窒息予防のため)
子ども向けだけあって、ちょっとカジュアルすぎる?
こんなシチュエーションに
インク沼にハマったあなた(私)に。比較的安価なのでインクごとに1本の万年筆の夢が叶う(密閉瓶で保管するか、空気穴を接着剤で塞げばインク乾きも解決)
子ども向きなので子どもと一緒に使う人に
コクーン、ライティブやプレラとニブが同じなので、極細EFニブの供給元として使える (供給元としてはペン習字ペンの方が安いですね)
ライティブ
定価2200円。実勢価格1700〜2000円。13g。最大径φ 13.5mm。全長142mm。
メリット
大容量(1.1ml)のコンバーター、con-70nが使える
インナーキャップのおかげでキャップの気密性が高い
キャップにクリップがある
新しいだけあって、デザインが今っぽい
デメリット
特にないかも……
字幅は細Fか中Mで極細EFはない
強いていえば、透明軸のキャップと首軸の黒い部分が透明だったらもっとかっこよかったかも
限定色としてではなく定番色の種類を増やして欲しい(願望)
こんなシチュエーションに
万人におすすめ! イチオシ
キャップの新機構のおかげで乾きにくい&(鉄ペンは)分解洗浄しやすいので顔料インクにも良さそうと思う
長めなので手が大きめの人にも
プレラ
定価3300円。実勢価格2500〜3000円。透明軸は定価3850円。実勢価格2700〜3300円。14〜18g。最大径φ 13.4mm。全長120.4mm。
メリット
ショートサイズで蓋を取り付けることで通常の筆記用具の長さとなるため、胸ポケットにピッタリ(エリート95sとほぼ同じ長さ)
透明軸の色彩逢いにカリグラフィー用がある(残りは細Fか中M)
色の種類が多い
キャップにクリップがある
デメリット
コンバーターはcon-40(0.4ml)
ショートサイズなのでキャップなしで書きたい人には向いてない
キャップのクリップが指に干渉しないように向きを考える必要がある
手の大きな人には小さいかも
ライティブほどにはキャップに気密性はなさそう
こんなシチュエーションに
胸ポケットに入れたい人
カリグラフィーに挑戦
透明軸かつキャップの色で中のインクを分けたい人にピッタリ
コクーン
定価4400円。実勢価格2500〜3500円。24g。最大径φ 13.2mm。全長138mm。
メリット
流線型でかっこいい
上記3つは樹脂軸だがコクーンは胴軸とキャップが金属で高級感がある
重めなペン好きにはこれ一択
大人っぽい色
キャップにクリップあり
デメリット
コンバーターはcon-40(0.4ml)
字幅が細Fか中M で極細EFはない
キャップのクリップが指に干渉しないように向きを考える必要がある
ライティブほどにはキャップに気密性はなさそう
首軸と胴軸の段差が大きく持ち方によっては気になる
こんなシチュエーションに
せっかく万年筆を使うんだから、ちょっと高級感が欲しいときに
万年筆の重みで字を書きたい
とにかくデザインが好きな人に
コンバーターに関する注意事項
ひとつ注意事項。カクノに使っていたコンバーターcon-70nはちょっと幅が広がるのかライティブにはゆるゆるになってしまいました。共有は難しいかもしれません。
もし1本だけ買うならどれにする?
悩ましいですが、私なら、ライティブのマットブラックF字にします! con-70nも同時に購入し、インクは定番の色彩雫の月夜ですね。
他の色と違ってマットなのが雰囲気いいのですよ。F字は小さな字も書けるし、かと言って細すぎるわけでもない。インクが乾きにくいのでたまに使う場合でも問題ない。
コンバーターは大容量がやっぱり楽。
なんだかんだ月夜が一番人気なのも納得な良き色です。50mlにするかお試しに15mlにするかは悩みどころですね。そこにインク沼も広がっていますからね……。春暁なども最高ですしね……。耐水性を考えると普通のブルーブラックもいいし……。