幼馴染への「めっちゃ、ごめんね」
スクールカースト上位の香苗ちゃん
小学校低学年のころ、近所に住む香苗ちゃん(仮名)という同い年の女の子と仲良くしていました。クラスは違うけど、活発でしっかり者、すっきりした顔立ちの美人さんで、学校でも目立つ存在でした。どうして私が仲良くしていたのか不思議です(苦笑)。
香苗ちゃんとは一度も同じクラスにはなりませんでしたが、高学年になると、なんだか彼女と仲良くすることに気後れするようになってきました。香苗ちゃんはスクールカースト上位で、私の苦手な子たちと仲がいいからです。一時は香苗ちゃんに挨拶することすらできなくなりました。
でも、何がきっかけだったかまた話すようになり、卒業するころにはまた仲良しになっていました。
中学は別々になりましたが、お互いに生徒会役員だったので、市内の中学の生徒会役員が集まるイベントで会ったときには談笑したりしていました。
香苗ちゃんを疑ってしまった
お互いに成績が良かったので、私と香苗ちゃんは同じ高校に合格しました。合格者を集めた説明会では、香苗ちゃんはうれしそうに声をかけてくれました。説明会会場の体育館を出たところで、香苗ちゃんのお母さんに声をかけられました。
「お母さん、入院されてるんですってね。お元気だったのに、寂しいね」
このとき私の母は病気で入院中で、香苗ちゃんのお母さんは誰から聞いたのかそのことをご存知でした。
母にそのことを話したら、香苗ちゃんのお母さんに電話をかけたそうです。おそらく、気遣ってくれたことのお礼と、これから娘をよろしくという話をしたのでしょう。母が私の同級生のお母さんと話したのは、おそらく香苗ちゃんのお母さんが最後だったと思います。
香苗ちゃんとは別のクラスになったのですが、高校でも彼女は目立っていました。一年生で生徒会役員になり、校則の全面見直しを提案したそうです。いつも華やかな友達と一緒にいたり、男子といるので、また近寄りがたい人になってしまいました。
当時の私は、母が亡くなり、すごく自信を失っていました。そのうえ、以前記事にしたとおり、他のクラスの面識のない女子に目をつけられ、すれ違うときにこそこそ笑われていました。この女子が香苗ちゃんと同じクラスの、同じグループにいたのです。
そのせいで、私はなぜか「香苗ちゃんが私の悪口を言ったのではないか?」という被害妄想に陥ってしまったのです。
キラキラしている香苗ちゃんと話すことに気が引けた私は、香苗ちゃんが話しかけてくれても、そっけなく対応したことがありました。そのことをよく思わず、クラスの仲のいい子たちと私を笑いものにしたのではないか?と勝手に思い込んでしまったのです。
いま思えば単なる被害妄想で、この「お嬢様」の気まぐれで選ばれてしまっただけのことでしょう。当時、陰キャのくせに目立つことをやったので(悪事ではありません!)彼女のS心をくすぐったのだと思います。
たぶん、香苗ちゃんは何もやっていません。彼女はきつい言い方をして敵を作ることはあったけど、陰険なことをする性格ではありません。
香苗ちゃんは2年生の途中でアメリカに留学して卒業が1年遅れたので、高校ではほとんど話せないまま、私が先に卒業しました。
飛行機で隣に座った香苗ちゃんらしき人
社会人になった私は、関西地方に赴任していました。社会人2年目の夏休み、伊丹空港から故郷に向かう飛行機に乗った私は、窓際の席で本を読んでいました。離陸直前に通路側の席に年の近い女性がやってきました。
彼女は涼しげな顔をして日経新聞を読んでいました。その横顔をちらりと見て、
「もしかして香苗ちゃんかな?」
と思いましたが、私は反射的に「気づかれたくない!」と思ってしまいました。香苗ちゃんらしき人(以下、香苗ちゃん)もこちらを見ることはなく、私は顔を伏せたまま、目的地に到着しました。
飛行機を降りるときに、香苗ちゃんが手荷物棚に入れていた荷物をとってくれました。私は顔も見ずに「ありがとうございます」とだけ言って受け取りました。
もしあれが香苗ちゃんだったとしても、香苗ちゃんじゃなかったとしても、とても失礼な行為でした。
香苗ちゃんは高校の同窓会にも来ないし、Facebookもやっていないようですが、名前を検索するとある業界で活躍されていることがわかります。東京で頑張っているようなので、いつかまた会えたらいいなと思うのですが、ご縁があれば会えるでしょう。
とりあえず、香苗ちゃん、めっちゃ、ごめんね。
高校で話しかけてくれたりしたのに、こちらから避けてごめんね。
小学校でも高校でも、陰キャの私がキラキラしている香苗ちゃんに話しかけちゃいけないと思って、かえって失礼なことをしてしまいました。
飛行機で会ったときは、失礼な態度ばかりとっていたので合わせる顔がなかったんです。ちゃんと顔を見てお礼を言って、
「もしかして、香苗ちゃん?ひさしぶりだね」
と言うべきでした。
私がヘタレなせいで、失礼なことばかりやっていました。めっちゃ、ごめんね。