パレットクラブ日記 第20回・寺本愛さん×anccoさんの対談
※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。過去の授業内容はこちら。
今週も、課題なしの授業が続く。今回は、イラストレーターの寺本愛さんが、anccoさんにインタビューをして進める対談形式だった。アーティストタイプのイラストレーターであるお2人の仕事について知ることのできる、貴重な機会となった。
anccoさんの個展
前半は、2020年に開かれた個展「MILK LAND」の話題。anccoさんにとっては4年ぶりの個展で、制作では自分のスタイルを思い出すのが大変だったという。
個展では、ギャラリーから様々なチャレンジを求められたそうだ。まず、平面作品ではリソグラフ印刷に挑戦。蛍光カラーを用いた鮮烈な色と、細々と配された可愛いキャラクターが印象的だった。また、立体作品として、陶器、ガラスの作品や、3Dプリンターで出力されたキャラクターも制作された。とくに目を惹かれたのが、オパール加工を施したという陶器のキャラクターだ。ミルクがかったような甘みのある色合いで、イラストの可能性の広がりを感じさせるものだった。
かわいいモチーフのインスピレーションはどこから?という質問には、気分と流行り、あとは好きなビンテージトイや昔のアニメなどから……とのことだった。古いものが好きだという anccoさん。やはり、制作の源には「好き」があるのだと思った。
クライアントワーク
後半はクライアントワークのお話だった。意外なことに、anccoさんはWEBサイトを持っていない。インスタグラム をポートフォリオとして利用しているそうだ。作品を選別して掲載しているので、投稿数は少ないという(といっても300点以上掲載されている)。
クライアントワークのうち、半数以上は海外からの案件で、カナダや中国などの会社とのお仕事例が紹介された。海外案件では、制作はanccoさんに委ねてもらえる場合が多いとのことで、ラフの提出や修正はあまり発生しないものらしい。アーティストタイプのイラストレーターならではのお仕事スタイルなのだなと思う。お話を聞いているだけでも、海外にはアーティストを大切にする土壌があることが感じられた。機会があれば海外案件にもぜひ携わってみたい!と、思いを新たにさせられた。
インスタグラム経由の発注では、怪しいDMが来たりしないのか?という質問には、「怪しいのは無視する。気になるものには改めてメールをもらうようにすると、相手の本気度がわかる」との答え。翻訳にはDeepLを使っていること、海外からの銀行振込は書類を整えるのが大変なので、支払いにPayPalが使えるか確認していること……などなど、お金周りの細かいお話も聞けてとてもためになった。
パレットクラブでは様々なタイプのイラストレーターが講師として来てくれるが、今回はこれぞアーティストタイプ!な方のお話が聞けて、違う世界を覗けたような気持ちになった。自分はおそらくアーティストタイプではないのでは……と現在は思っているけれど、これからどんな風になるかはわからない。まずは良い作品を描くことから。明日も頑張ります。