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自作詩ブログ 【雲と時計と珈琲ひとつ】より、 作品をご紹介させて頂いてます。 何もなくとも、 日々は過ぎてゆきます。 そんな日々の中でも、 少しづつ、心は、思考は動いてゆく。 …
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#朗読

【詩】Mist

【詩】Mist

白い雲の中の様な

深い森の

ずっと奥の方へ

一匹のうさぎが駆けてゆく

森の一番

大きな木の下で

静かに座り込み

ランプ片手に

本を広げようとした

少女の横を

微かな風を纏いながら

そのうさぎが

駆け抜けてゆく

どうした事かと

本を投げ出し

ランプ片手に

立ち上がって

うさぎを

追いかける少女

目が眩むような

眩い光の中へ

ふたりは吸い込まれてゆく

【詩】除夜の鐘

【詩】除夜の鐘

今年も過ぎてゆく

除夜の鐘が百八つ

鳴り止んだら

新しい年が始まる

変わらない日々に

感じているけれど

鏡に映る自分は

年々変わってゆく

早く大人になりたいと

願った幼い私

あの人の声を聴いて

胸がきゅっとなって

それが恋だと知った私

守るべきものを

この手で愛でながら

淡々と日々をこなす私

この人生を振り返り

静かに こたつで

みかんを食べている私

いつの私

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【詩】ちいさなお家

【詩】ちいさなお家

街が夜へ

着替え始める

小さなお家の

小さな窓が

夜道を照らすランプの様に

ほわんと

オレンジ色に光り始める

小さな窓に

小さな影

私は

その影に手を振る

すると

小さな影は

飛び跳ねながら

手を振り返してくれた

君と出会ったのは

こんな雪の日でした

君の話す声は

柔らかに降り積もる

耳の奥に残る残影

君のまつ毛に

ふわりと舞い降りた

一粒の雪の結晶

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【詩】 九月の風鈴

【詩】 九月の風鈴

微熱を帯びた夕日を

数多の煌めきと共に

抱きしめる静かな海

波打ち際

足首に冷たく

ゆるやかな波を絡ませながら

歩く君の蜃気楼

移ろう季節の旅人のよう

君の幻に線香花火の

蛍の様な灯火を重ねて見てる

砂粒が風に舞う

風鈴の音が ひとつ

チリーンと鳴った

まだ砂が熱を持ったままの

九月の海辺で

君を想う

 これまで、ここでは過去作品を
ご紹介させて頂いていましたが、

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【詩】傘

【詩】傘

曇りの日には

悲しい気持ちになって

雨の降る日は

涙を零す

そういうものだと

ずっと思っていました

そんな日を繰り返して

いつか消えてゆくのだと

思っていました

ある日

冷たい雨が

髪に落ちてこなくなって

不思議に思い

振り向いたら

あなたが傘をさしてくれていました

やさしく笑う

あなたが そこにいて

わたしも笑っていました

【詩】レンズ

【詩】レンズ

綺麗な物や

素敵な事を見つける度に

あなたに伝えたい

遠く離れていても

あなたの笑顔が見たくて

喜ぶ声が聴きたくて

そう想える人

あなたがいてくれる事が

私のしあわせ

美味しものを食

【詩】ユメモノガタリ

【詩】ユメモノガタリ

どれくらいの時間を

生きてゆくのか

それは誰にもわからない

生きてゆく時間の中で

どれくらいの人と出会うんだろう

夢物語では

生まれる前の世界で

必ず逢おうと
約束した魂がいるという

それは自分の半身の様な存在で

この世に生まれてくる時に
ひとつだった魂は引き裂かれ

右と左に分かれて
走り出した

互いを探して

果てしのない世界で

何の手掛かりもないまま

もがいて

泣き

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【詩】雪うさぎ

【詩】雪うさぎ

灰色の空

見上げたら

数え切れない雪が落ちてきて

ひとつ目

瞼に落ちて

ふたつ目

瞳に落ちてきた

降り止まないね

こんな日だから

小さな雪うさぎ作って

ふたつ並べてみました

あなたと私の様に

そっと

寄り添い合わせてます

雪うさぎ達も

しあわせそうに

お話をしてるみたい

平日に一篇づつ
自作詩ブログ
【雲と時計と珈琲ひとつ】より
ご紹介させて頂いています。

本日

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【詩】そんな僕らの小さな物語

【詩】そんな僕らの小さな物語


頬寄せ合って

温かくて

しあわせだねって

微笑み合う

そんな僕らの小さな物語

君と僕がいる

くすぐったくて

やわらかくて

静かな光に包まれた時間

君の優しい瞳に

吸い込まれながら

同じ夢を見ていたいんだ

その胸に

悲しみが溢れる時は

僕の名を叫んでほしい

僕がこの両手で

その悲しみを

外の世界へ汲み出してあげるよ

その胸に

しあわせが溢れる時は

僕の名を呼

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【詩】両手でそっと包み込む光

【詩】両手でそっと包み込む光

あなたに会いに行きたい
会いに行けない

もやもやした気持ちで
ベランダから見上げた夜空は

星が綺麗で
月は神秘的な美しさでした

誰かを想う気持ちも
綺麗で

誰かを愛する心も
神秘的で美しい

そんな光を
そっと向けたくなる人に

出会えたこと

かけがえのない巡り合わせ

【詩】遠吠え

【詩】遠吠え

アレルギーで霞んだ右眼の世界

のぼせる様な温度の世界

君のいないこの世界

ちぐはぐな感覚の世界なのに
均等に時間だけは動いてる

ばらばらになった魂は
いつ集めればいい?

かき集めても
遠吠えひとつしてみても

君のいないこの世界では
私は元通りの姿にはなれない

奇跡の魔法でもない限り

私は違った私になり続ける 

君のいなくなったこの世界で

私は君の輪郭をなぞり続ける

虚空に向か

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