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京本政樹さん、ごめんなさい

 人の名前で「遊ぶ」のは大変失礼ないことだと教員時代に子どもたちにも教えてきた。姓名には、それぞれに歴史や願いがあるのだがらと。
 しかし、つい先日、こんな事があった。それは、たわいもない「聞き間違い」からくるものなのだが、夫婦して腹を抱えて笑ってしまった。

 退職して、家にいる時間が長くなって気づいた。午後のTV番組では、懐かしめの2時間ドラマがよく放映されている。「ええ、こんな若かったんやあ」とか、「最近は見なくなったけどまだ、生きてはるよね」とか、演じている方には、失礼なことも言いながら、それでも、ついつい見てしまう2時間ドラマ。とりわけサスペンスもの。
 その日も、オープニングのフラッシュバックテーマがいまだにバラエティー番組で使われる2時間サスペンスが映っていた。
 ふたりで、遅めの昼食をとってた時だった。

 妻が言った。
「京本正樹!」
 私が言った。
「えっ、今日も手羽先?」

 実は、タイミングよく、「今晩は何しよかあ」と夕飯メニューを相談しながらの昼食だったのだ。言うまでもなく、昨夜のメニューは塩焼きの「手羽先」だった。

 一瞬の間の後、
食卓をはさんで私の前に座っていた妻が、腹を抱えて笑い出した。目に涙を溜め、「もう、息でけへん!」
と叫んでいる。
 一瞬の間の後、妻がなぜそこまで笑っているのか理解した私もメガネを外して顔を押さえて笑った。

「きょうもと まさき」
「きょうも てばさき」

 笑いは色んな偶然が重なって起こるものだと改めて感じる次第である。
昨夜のメニューが、「ねぎま」とか「すなずり」だったら起こっていない笑いだ。
 そして、TVの京本正樹さんは、トレードマークのかっこいい髪型で「ええもん(悪役ではない方)」を演じられていた。

 これから、手羽先を食べるたびに(焼き鳥大好きなもんで)、京本さんを思い出すことだろう。
 でも、名前で笑ってごめんなさい。

 

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